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研究紹介 辻 英輝(70号)

リウマチ学会奨励賞受賞後の抱負

辻 英輝
京都大学医学部附属病院 免疫・膠原病内科 助教
辻 英輝

2021年度リウマチ学会奨励賞を受賞して

この度は、リウマチ学会奨励賞という大変栄誉ある賞をいただき、誠に光栄に存じます。ご評価いただきました選考委員の方々をはじめ学会関係者の皆様、ご推薦いただきました森信暁雄先生、研究を直接ご指導いただきました荒瀬尚先生、大村浩一郎先生、笹井(中嶋)蘭先生、寺尾知可史先生、三森経世先生にはこの場をお借りして、厚く御礼申し上げます。
私は、平成18年に神戸大学を卒業後、兵庫県立尼崎病院にて初期臨床研修と救急科・総合診療科の後期研修をした後、京都大学免疫・膠原病内科(臨床免疫学)に入局しました。京都大学は臨床研究と基礎研究の両方の側面から難治性疾患の病態解明と治療法の開発にアプローチしており、その環境は私にとっては絶好の勉強の機会となり、以下の成果を得ることができました。
抗MDA5抗体陽性の皮膚筋炎は急速に進行する間質性肺炎を合併し予後不良な疾患です。高用量ステロイド、タクロリムス、シクロホスファミドによる三剤併用免疫抑制療法についての多施設共同前向き臨床試験を行いました1)。6か月生存率は従来行われていたステップアップ療法(33%)に比べ三剤併用免疫抑制療法(89%)が有意に高い成績が得られ、三剤併用免疫抑制療法の有効性が示されました。また、関節リウマチの関節破壊には一時点の疾患活動性(DAS28)よりも時間平均DAS28を用いるモデルが適合することを示しました2)。そのモデルを用いてHLA-DRB1*04:05が独立した関節破壊因子であることを同定しました3)。大阪大学微生物病研究所免疫化学分野(荒瀬研究室)に出向し、全身性エリテマトーデス(SLE)における抗DNA抗体の産生とHLAクラスII分子の関連について研究しました4)
研究によって難治性の病態を解明し、その成果を診療に還元できることに大きな喜びを感じました。また、私の周囲には高い医療水準を持ち世界の先駆けとなる研究を行っている指導者がたくさんおられたことは、とても良い影響を与えてくれました。今回の受賞を励みに今後さらに診療と研究に取り組み、医学の発展に貢献できればと思います。
最後に、これまでの研究を支えていただきました関係者の皆様にこの場を借りて深く感謝いたします。誠にありがとうございました。

1) Multicenter Prospective Study of the Efficacy and Safety of Combined Immunosuppressive Therapy With High-Dose Glucocorticoid, Tacrolimus, and Cyclophosphamide in Interstitial Lung Diseases Accompanied by Anti-Melanoma Differentiation-Associated Gene 5-Positive Dermatomyositis. Arthritis Rheumatol. 2020;72(3):488-498.
2) Time-averaged disease activity fits better joint destruction in rheumatoid arthritis. Sci Rep. 2017;7(1):5856.
3) Significant joint-destructive association of HLA-DRB1*04:05 independent of DAS28 in rheumatoid arthritis. Ann Rheum Dis. 2019;78(2):284-286.
4) Anti-dsDNA antibodies recognize DNA presented on HLA class II molecules of systemic lupus erythematosus risk alleles. Arthritis Rheumatol. 2022;74(1):105-111.

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