①薬に詳しい
近年、RAの病態が詳しく検討され、メトトレキサート(methotrexate, MTX)をはじめとする抗リウマチ薬(disease modified anti rheumatic drugs, DMARDs)や、免疫学の最新の知見に基づいて開発された生物学的製剤などの免疫抑制薬が使用されるようになり、RAの治療は「痛みを抑える」から「寛解導入」を目指す事が可能となりました。一方で、強力に免疫を抑える事により、感染症発症リスクの増加が問題点として挙げられるようにもなりました。
治療を進めていく上で、有害事象をできるだけ起こさない事、起こしたとしても重篤になる前に発見し対処する事が重要です。そのためにもRA診療の中で薬剤師は、「薬に詳しい」という特性を活かしたサポートが必要となります。その「薬に詳しい」の「詳しさ」というものは、化学的な構造や用法・用量、効能・効果、主な副作用を把握するという添付文書の内容を暗記するというものではなく、RAの病態や薬の作用・副作用の成り立ち、医療・介護における福祉サービス等のRA診療全体を把握する事です。
②コミュニケーションスキル
患者支援にはコミュニケーションスキルも必要になります。患者だけで無く、様々な人たちとも関わらずにはいられません。これには正解が一つでは無く、支援する人的資源にも時間的資源にも限界があります。しかし、諦めずに工夫を重ねる事で、より良い患者支援を行う事ができます。他の薬剤師から「患者さんに話を聞いてもらうためにはどうしたら良いか?」と、質問される事があります。患者に病態や治療の意義をどうしても理解してもらえない時、「何を言っても理解してもらえない」「どうせ話を聞いてくれない」と諦めず、「どうしたら理解してもらえるか」「話を聞いてもらうためにはどうしたら良いか」と考えて行動する事が大切です。
私の考えるリウマチ性疾患における薬剤師の役割とは、患者の病態や治療法、日常的な注意点などの説明を始めとした薬剤師として伝えなければならない情報だけでなく、薬剤師として取得している知識や情報を駆使して患者のトータルマネジメントに深く関わる事です。
フジ虎ノ門整形外科病院 薬剤管理室/日本大学薬学部
辻村 美保