メトトレキサート(MTX)は関節リウマチの治療において、中心的な基盤となる薬剤に位置付けられています。日本リウマチ学会では関節リウマチ診療にあたる医師がMTXを適正に使用することを目的に、2011年にMTX診療ガイドライン(初版)を刊行しました。そしてMTXを服用するのは患者さんであり、正しい使用には患者さん自身の治療への理解が重要であることから、MTXを服用する患者さん向けの冊子 「メトトレキサートを服用する患者さんへ」を作成し、看護師や薬剤師などの医療従事者による服薬指導にも広くご活用いただいてきました。
その後いずれも改訂を重ねて2023年4月には、MTX皮下注射製剤の記載も含めた「関節リウマチにおけるMTX使用と診療の手引き(「ガイドライン」呼称より変更)2023年版」を刊行し、同年10月には英文でも日本リウマチ学会の学会誌であるModern Rheumatologyに発表したところです。これに伴って今般、患者さん向け冊子の改訂も行い、「メトトレキサートを使用する患者さんへ 第4版」が完成しました。皮下注射製剤を加えたために「服用」から「使用」へと改題しており、具体的な使用例をさらに現状に合わせるなど、看護師を含めた委員会メンバーで改めて議論を尽くしました。本冊子は乾癬性関節炎の患者さんにもご使用いただけます。
MTXの投与開始時に患者さんに説明する際には、本冊子を広くご活用いただき、MTXがより一層適正に使用されることを願ってやみません。
2024年1月11日
一般社団法人日本リウマチ学会
理事長 田中 良哉
ガイドライン委員会
委員長 田中 栄
MTX診療ガイドライン小委員会
委員長 亀田 秀人