序文
近年、治療法の進歩により関節リウマチ患者さんの疾患活動性は低下し、関節破壊の抑制も進んできています。その一方で、小児期から成人期への移行診療体制の構築、職場や学校での生活や妊娠・出産に対する支援体制の整備、高齢化が進む中での合併症対策など、ライフステージに応じた様々な課題への対処が求められています (平成30年11月厚生科学審議会疾病対策部会リウマチ等対策委員会報告書)。最近改訂された「関節リウマチ診療ガイドライン2020」ではライフステージに応じた項目が追加され、その問題意識は高まりつつありますが、患者さんやそのご家族を支援する体制はまだ十分とはいえません。その体制の構築のためには、医師だけでなく看護師、薬剤師、リハビリテーションスタッフなどのメディカルスタッフが協力してチーム医療を推進していくことが望まれます。
そこで、メディカルスタッフの方々が関節リウマチ患者さんのライフステージに応じた支援を行うための手助けになる情報提供を目的として、本ガイドを作成しました。事前に実施したメディカルスタッフの方々へのアンケート結果も参考にしながら、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、そして患者会(日本リウマチ友の会、あすなろ会)の方々が協働し、「関節リウマチ診療ガイドライン2020」に準拠する形で作成しました。移行期、妊娠・出産・授乳期、高齢期といったライフステージに応じた支援に関する情報を中心に、関節リウマチ全般に関する知識、患者支援制度、災害時の対応なども網羅した内容になっています。
本ガイドをお役立ていただき、関節リウマチ患者さんやそのご家族への支援の充実が図られることを、本ガイドの作成者一同、心より願っております。
2022年3月
厚生労働科学研究費補助金 免疫・アレルギー疾患政策研究事業
ライフステージに応じた関節リウマチ患者支援に関する研究
研究代表者
松井利浩
◆ 目 次 ◆
第1部 関節リウマチの基礎
第2部 ライフステージ別の患者支援
第3部 患者支援制度について
第4部 災害時に対する備えと対応について
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