医学生・若手医師のみなさま 医学生・若手医師のみなさま

勤務医からの視点 東 千夏(71号)

日々診療で感じる

東 千夏
琉球大学病院 整形外科

私は琉球大学整形外科の東千夏と申します。2000年に大学を卒業し整形外科学講座に入局しました。私が学生や研修医の頃の関節リウマチの患者さんは、関節破壊が進行し、人工関節置換術を行っても関節拘縮が著明だったり、人工関節が早々に緩んでしまったりと、関節機能を保つのにとても難渋しているイメージでした。2010年からリウマチ診療に携わっていますが、その頃とは全く違って、関節リウマチは内科的な治療で関節破壊を抑制することのできる疾患になっていました。メトトレキサートはじめ生物学的製剤、JAK阻害薬など、コントロール不良な患者さんにほぼ効きます。しかし、沖縄という平均所得の低い地方では、生物学的製剤やJAK阻害薬のような高価な治療薬は、特定の人にしか使用できないのが現状です。75歳以上の後期高齢者、身体障害者2級以上の方、生活保護の方、企業の主要ポストの方、医療従事者や公務員などは比較的スムーズに導入できます。しかし、30代から50代の働き盛りで疾患活動性が高く、生活に様々な支障が出ている世代では、「子供が小さく夫一人の収入でこんな高い薬は使えない」、「子供が県外の大学に進学したので難しいです」、「私は独り者なのですが、仕事はパートですから…」などほぼ経済的理由から、生物学的製剤やJAK阻害薬が使用できない患者さんが数多くいます。以前、子育てがひと段落し、生物学的製剤を開始した50代の女性が「こんなに調子が良くなるのなら早く始めれば良かった。でも当時はやはり無理でしたけどね…」と話していたことがありました。患者さん自身が労働し、しかも働き盛りで、関節破壊を出来るだけ抑えたい方に、よりよい医療が行えないことに矛盾や葛藤を感じている今日この頃です。このような矛盾を解決するために、働いている方を対象に「お茶会」と称した患者会を企画したことがあります。やはり患者さん同士の口コミは絶大で、その後「私ももっと良い治療薬使おうかしら」と生物学的製剤を開始した方がいらっしゃいました。「なかなか良い企画だった、今後も継続していこう」と奮起した矢先のCOVID-19大流行となってしまいました。

また、私自身は2020年4月からリウマチ・スポーツグループのチーフを拝命し、2020年10月から琉球ゴールデンキングスというBリーグのプロバスケットボールチームのチームドクターをグループのメンバーで担当しています。リウマチとスポーツは相反する分野のように思っていたのですが、運動器(関節)の障害が起きる前の予防やリハビリがすごく重要であり、治療や診断にエコーが有用であるなど、意外に共通点があります。とにかく私が医師としてやるべきことは目の前の患者さんのために最善の医療を提供することに尽きると思いますので、私自身も日々精進して参ります。

 

チームドクターのメンバー(前列左が筆者)

チームドクターのメンバー(前列左が筆者)

自作のシーサーと

自作のシーサーと

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