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勤務医からの視点 中野 直子(69号)

愛媛県の小児リウマチセンター設立に向けて

中野 直子
愛媛県立中央病院 小児科

「愛媛の松山」といえば…? 松山城、坊っちゃん、正岡子規、坂の上の雲で有名になった秋山兄弟、いや、リウマチではやはり道後温泉でしょうか?

道後温泉本館の修繕工事期間に入っても人気は落ちることなく、コロナ禍においても県内からの観光客が来られて持ちこたえているようです。

愛媛のリウマチ診療は、成人では愛媛大学膠原病内科を中心とした医療体制が整い、松山では歴史ある道後温泉病院、松山赤十字病院がしっかりと支えています。一方、小児のリウマチ診療は全国的にも貧弱で、愛媛も例外ではありません。実際のところ、四国四県で小児のリウマチ専門医は私のみの状況が続いています。

私は横浜市立大学で小児リウマチの診療のイロハを学び、愛媛大学膠原病内科の先生方に助けられてリウマチ専門医、指導医を取得し、2019年10月から当院に就任しました。

当院は四国で人口の最も多い松山市の中心に位置する三次救急病院であり、小児において県下最大の小児外科・周産期センターを含む小児医療センターとして位置付けられています。肺炎、喘息、急性脳症・脳症、川崎病、急性巣状細菌性腎炎などの急性期疾患の治療と、白血病や悪性腫瘍患者の治療を、同じフロアで院内感染のトラブルなく常時展開できる優れたスタッフが揃っています。大学病院では経験できない三次救急や専門的領域にも対応でき、研修医にとっても魅力的な病院です。ところが、内科や他科も含めてリウマチ専門医が不在であり、リウマチ診療が行われていないという弱点がありました。これまで大学では私が当たり前の様に処方していたトシリズマブでさえ、採用申請を提出しないと使用できない状況でした。また小児膠原病ではJIAが最多ですが、乾癬や付着部炎型の病型も意外と多く、脊椎関節炎の評価のための内視鏡検査も行っています。また近年小児IBD患者が増加しており、バイオ製剤でのコントロールを必要とする患者が当院に集中して紹介されるようになり、新規症例数は小児膠原病患者の2倍を占めるようになりました。

さらに、泣き面にハチで膠原病もIBDも血漿交換を含めた重症患者が連続して紹介され、集中治療を必要とするケースも1年半で4人に上りました。このように、私の赴任時から想定外の問題が山積で、想定外の忙しさが続き、体も心も燃え尽きそうでした。

ところが、当科は循環器、血液、神経領域の素晴らしい人材が揃っており、少しずつ助け合い、日々細やかなチームワークで事故なくのりきることができ、いまでは世界標準レベルの治療を展開することができています。それぞれのスタッフは決して免疫疾患の専門家では有りませんが、一緒に論文を読み、治療を進めることで個人のスキルも上達し、気がつけば愛媛の小児のIBDおよびリウマチセンターが自然に出来上がっていました。このチーム力があれば、どんな環境でもどのような疾患も対応できる勇気と自信を与えてくれました。何をするかより誰とするか、仲間を大切にして増やしていきたいと考えています。

 

当科のかけがえのない仲間と。筆者は後中央です。

当科のかけがえのない仲間と。筆者は後中央です。

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