医学生・若手医師のみなさま 医学生・若手医師のみなさま

勤務医からの視点 金澤 洋(68号)

超少子高齢化、COVID-19パンデミック下でのリウマチ膠原病診療

金澤 洋
青森県立中央病院 リウマチ膠原病内科

当院は本州最北端青森県の県都である青森市にあり、病床数684床、医師数170名の唯一の県立総合病院です。青森市の人口は2020年10月の時点で約27万人、20年前から約5万人の減少、20年後の人口は約20万人までの減少が想定されています。また高齢化も顕著であり、65歳以上の人口比率が32.3%で20年前から15%も上昇しています。深刻な人口過疎、高齢化社会が進む青森市ですが、当科外来での関節リウマチ患者の平均年齢、発症年齢も上昇傾向にあります。外来初診時にはすでに様々な合併症を有することが多いので、EULAR recommendationに準じた治療はすることはできずに、一工夫必要な患者さんが増えてきています。

さて昨今の新型コロナウイルスの影響ですが、ねぶた祭り、ねぷた祭り、弘前さくら祭りなど全て中止となり、青森県での経済学的ダメージは計り知れないところです。また当院は第一種及び第二種感染症指定医療機関であり、当科入院病床が入院対応病床となったため、他科病棟のベッドを借りて、治療を行っている状況です。逆転の発想で、リウマチ膠原病に興味を持ってくれる医療スタッフが増えればと思っています。

また青森県ではリウマチ専門医の不足も深刻であり、人口千人あたりの日本リウマチ学会専門医数は0.017人で、全国で下から3番目、北海道・東北地区でも最低となっており、若手リウマチ専門医の育成も急務となっています。当科は青森県の中では数少ないリウマチ膠原病内科標榜科(青森市内では当院のみ)であり、生物学的製剤、分子標的製剤の使用は延べ900件となり、臨床経験を積むためには最適の環境と自負しています。弘前大学学長、消化器・血液内科学講座教授の福田眞作先生、准教授の櫻庭裕丈先生のご配慮により、本年度より渡邊里奈先生も着任されました。臨床経験に加え、免疫学的な基礎知識、研究も臨床現場では非常に大事ですので、大学病院との連携は必須と考えています。私はスターウォーズが好きなのですが、そのepisode 8の一場面で師であるヨーダがルーク・スカイウォーカーにむけて「The greatest teacher, failure is. Luke, we are what they grow beyond. (失敗は最大の師である。ルークよ、我々は超えるべき存在なのだ。)」と諭す場面があります。私もそのような気持ちで、青森県が他地域にも負けないリウマチ教育、医療体制の基盤を作っていきたいと考えています。

 

リウマチ膠原病内科外来にて、右側が筆者、左側が渡邊里奈先生

リウマチ膠原病内科外来にて、右側が筆者、左側が渡邊里奈先生