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勤務医からの視点 向井 正也(66号)

地域医療支援病院におけるリウマチ診療

向井 正也
札幌市病院事業管理者、市立札幌病院院長(リウマチ・免疫内科)
 
掲載:2020年6月

高度急性期病院での診療

当院は市内中心部にあり、明治2年開設で昨年創立150周年を迎え、北海道内では市立函館病院に次ぐ歴史のある病院です。診療科33科、届出病床数672床、常勤医師数(研修医を含む)197名です。高度急性期病院の地域医療支援病院でDPC特定病院群の指定を受け、総合入院体制加算1などを取得しています。私は昨年4月から病院事業管理者・院長に就任しています。最大の目標は赤字からの脱却であり、1月末からの新型コロナウイルス感染に感染症指定病院としての対応という事態がなければ年度黒字化の可能性がある程に回復しました。

リウマチ・免疫内科は医師数4名(私、片岡 浩部長、近藤 真医長、冨田智子副医長)です。各診療科とは院内携帯電話一本で気軽に連絡が取れ、お互いすぐに相談できます。このため多岐にわたる膠原病の様々な病態や妊娠を含む合併症に対しても院内ですべて対応可能であり、充実した診療体制が取れています。

当院は地域医療支援病院なので、新患の患者さんが直接来院するということは稀であり、多くは地域の医療機関からの紹介で受診してきます。また地域完結型医療を目指すべく落ち着いている再来患者はかかりつけ医療機関に逆紹介することが求められます。しかし、札幌市内の主要な医療機関はどこもリウマチ膠原病の診療を行い、また、多くの疾患で診療ガイドラインがありプライマリケアの先生たちが診断から治療に当たってくださり、当院に急性期の新患が来院することは減っている印象です。代わりに高齢で治療に難渋するような合併症を持つ患者さんが増えています。このため急性期の治療が終了しても自宅に戻ることができない方も多く、リハビリなどのために後方医療機関を探すことに苦労しています。一方で再来患者は落ち着いていても、かかりつけ医の先生には治療の荷が重いということがあり、またリウマチ専門の開業されている先生のところは予約を取るのも大変という状況で、逆紹介もあまり進んでいないのが実情です。

当院では毎年10名程度の初期研修医が来ます。研修医の臨床のファーストタッチの機会を増やすことを心がけ、総合的に患者を診療する技術を身に着けてもらうようにしています。その指導医として当科が大きな役割を果たしています。リウマチ膠原病の診療は全人的な診療が求められますので、まさに適任です。このような指導もあってかリウマチ領域に興味を持つ研修医もおり、各科のリクルートが激しい中で年に1名程度の研修医がリウマチ領域を選んでくれ、大学などの後期研修施設に巣立っています。

 

リウマチ・免疫内科(左から、近藤先生、私、冨田先生、片岡先生です。)

リウマチ・免疫内科(左から、近藤先生、私、冨田先生、片岡先生です。)