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勤務医からの視点 小嶋 雅代(65号)

急増する高齢リウマチ患者にどう寄り添うか?

小嶋 雅代
国立長寿医療研究センター フレイル研究部
小嶋 雅代

私は疫学者という立場で、リウマチ診療に関わるみなさまと患者さんをつなぐ情報提供ができたらという思いで研究を続けています。これまで主に名古屋大学・名古屋市立大学の先生方とご一緒にリウマチ患者さんの心理社会的要因に焦点を当てた調査を行い、「検査値には現れない具合の悪さ」を疫学的に数値で示す一方、患者さんの価値観をフォーカスグループなどの質的手法で分析することにも力を入れてきました。一昨年、厚労省のリウマチ等対策委員会に参加させていただき、ライフステージ別の患者支援の必要性を痛感しました。目下の関心は、いかにリウマチ患者さんのSuccessful Agingを可能にするかです。

2016年の国民生活基礎調査のデータを用いて全国のリウマチ患者数の推計を行ったところ、男女とも60代後半が最も多く、有病率は80代前半まで年齢と共に増加していました。50代後半~60代前半の発症が多いと考えられ、今後「団塊の世代ジュニア」がこの年齢に達する2030年前後、新たなリウマチ患者さんが急増すると予測されます。前回のガイドライン作成の折にリウマチ友の会のみなさまにご協力いただいて実施した患者アンケート調査でも、加齢に対する不安の声を多くいただきました。急増する高齢リウマチ患者さんをいかに支えるか、リウマチ医療に関わる全ての職種と患者さんとが協同して対策を考えるべき時が来ていると感じます。

生物学的製剤登場後の劇的な治療の進歩を、ある患者さんは「リウマチだけどリウマチではなくなった」と評しました。関節リウマチは骨粗鬆症、サルコペニアのリスクが高く、要介護状態に陥りやすい病態ではありますが、その前段階のフレイルの状態で適切な介入を行えば改善が可能です。さらには、もはや「リウマチだからフレイル」ではなく、「リウマチだけど健常」な高齢者を目指せる時代が来ていると思います。一般高齢者のフレイル予防のカギは運動・食事・社会参加であり、各地域で様々な取り組みが行われています。今後はそうした取り組みとも連携しながら、T2Tに則り初期治療が一段落した患者さんに積極的にフレイル予防を促していく体制が必要だと考えています。 ご関心がおありの方はお声をおかけください。リウマチ患者さんに最適なフレイル対策のエビデンスづくりにぜひご一緒に取り組みませんか?

なお、国立長寿医療研究センター病院のリウマチ外来患者さんの平均年齢は73.5±12.4歳(157名、2020年1月27 日)。渡邉剛先生がご担当で、合併症・併存症に注意し、呼吸器内科や老年内科と密な連携を取り治療を進めているとのことです。

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