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海外留学体験記 園本 格士朗(69号)

集中しすぎて見えていなかったもの

園本 格士朗
産業医科大学医学部第1内科学
 

ドイツ南部の都市ErlangenにあるFriedrich-Alexander-University Medicine3で3年間を過ごしました。Georg Schett教授(Big boss)のもと10人のグループリーダーからなる巨大な研究グループで、私はその一人Aline Bozec教授(Boss)のサブグループに所属して高脂肪食と腸内細菌叢の研究に携わっていました。親族の不幸、家族の途中帰国、私自身の入院(ドイツの救急車にも乗りました)と、本当に盛りだくさんの3年間でしたが、日本にいたころには見えなかったものが見えたのが一番の収穫だったと思っています。

私は元来、「自分の興味のあることは一心不乱にやるが、他のことは頼まれても極力ことわる」という性格で留学まで過ごしていました(扱いづらかったとおもいます。これまでの上司・同僚の皆様方、反省していますのでご容赦ください)。いつもイライラしていたと思います。Alineのグループは、フランス、ドイツ、中国、日本等、8か国の出身者からなる、非常に国際的なグループですが、普段のふるまいは、中国・日本タイプ(アジア型とします)と、それ以外(欧州型とします)にきれいにわかれます。黙々とわき目もふらず、自分のことだけに集中して夜遅くまで土日もなく仕事をするアジア型と、助け合いながら和気藹々と仕事をして、5時になったらさっといなくなる(もちろん週末は来ない)欧州型です。私は当然前者で、わいわいやっている人たちを鬱陶しくすら思っていましたが、ラボミーティングでどんどんデータを出してくるのは欧州型と、欧州型の中国人でした。理由を聞きますと、「一人でやるよりみんなでやったほうが早いでしょ。」と至極当たりまえの返答でした。

たしかにイヤホンを外すと、「来週大きな実験があるんだけれど、みんな手伝ってくれない?」と助けを求める声や、「今日は時間があるけど、何か手伝うことない?」「明日(土曜日)ラボにくるんだけど、なにかしておいてほしいものある?」と手伝いを申し出る声があちらこちらで聞かれます。むしろ後者のほうが多いくらいでした。平日の11時ごろになると、ラボ内の話題は、ランチに何を食べるかで持ち切りになります。私も試しに生き方をガラッと変えて、欧州型の暮らしに寄せてみたところ、仕事も進む、休みもとれる、みんなと仲良くなってストレスが減る、と良いことばかりに感じました。

皆と仲良くなると自然と雑談も増えます。雑談は研究のことだったり生活のことだったりするのですが、その中で、実験手法の大幅な改善(384 well PCRを楽にやる方法や、ELISAの感度上昇)につながることや、ドイツでのライフハックにも出会いました。ほかには、入院していた時に友人が次々訪ねてきてくれてありがたかったです。

以上が私が留学にみつけた、「集中しすぎて見えていなかったもの」です。「日本人は何を考えているかがよくわからない」とよくいわれますが、実際私も同じ評価を耳にしました。「話さないから」というのが理由だとも聞きました。これから留学される皆様は、ぜひ雑談から初めてストレスの少ない留学生活を送ってください!

お気に入りの場所、Rosengarten Bamberg

お気に入りの場所、Rosengarten Bamberg

ラボメンバーでクリスマスマーケットへ(2019年12月、Aline撮影。著者右から4番目。)

ラボメンバーでクリスマスマーケットへ(2019年12月、Aline撮影。著者右から4番目。)

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