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海外留学体験記 茂久田 翔(68号)

研究留学 ― 帰国してから気が付くこと

茂久田 翔
広島大学病院 リウマチ・膠原病科

2015年10月から2018年8月まで、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンディエゴにありますスクリプス研究所にて、ポスドクとして基礎研究に従事させていただきました。

アメリカが地域によって雰囲気が異なることは、皆さまご存じかと思います。私が留学していたカリフォルニア州サンディエゴは、温暖な気候のため一年を通して過ごしやすい場所です。人口に占めるアジア人比率が高く、日本食が比較的簡単に手に入ることもあり、日本人にとって馴染みやすい環境かと思います。車を2時間程度走らせれば、南のメキシコとの国境や北のロサンゼルス市内まで観光することが可能です。一方で観光旅行とは異なり、留学で数年間を過ごすためには現地での生活に慣れていく必要があります。渡米して間もない頃は買い物をするだけでも分からないことの連続でした。そのほか生活に関するアクシデントには事欠きませんでした。そういった問題と向き合う中で、徐々にアメリカの文化・社会に慣れていくことができました。大変なことも多かったですが、他国の文化に触れることで、帰国後に日本の文化を外から考えることができるようになったと感じることも多く、今の自分にとってプラスになっている部分は多いと思います。

スクリプス研究所では、淺原弘嗣教授、Martin Lotz教授の御指導のもと、関節疾患に関する研究を行い、その成果を論文にまとめることができました(下記参照)。COVID-19流行前のことですので、現在は様変わりしているかもしれませんが、カリフォルニアでは研究室ごとの垣根は低く、実験機器や試薬を互いに共有していました。研究所のスタッフはみな親身に実験の相談に乗ってくれました。研究者にとっては過ごしやすい環境だと思います。研究生活の中で苦楽を共にした日本人研究者とは帰国後もメールなどで連絡を取り合うこともしばしばです。出身大学以外の仲間ができたことは、今後の日本での生活をより有意義なものにしてくれていると実感しております。

このような貴重な体験をすることができた背景には、私の留学に際し応援していただいた先生方のお力が欠かせませんでした。特に杉山英二教授、増本純也教授、菅野雅元名誉教授に深く感謝いたします。

(留学中の代表的な業績)
1) Inui M & Mokuda S, et al.
  Dissecting the roles of miR-140 and its host gene.
  Nat Cell Biol. 2018;20(5):516-518.
2) Mokuda S, et al. Wwp2 maintains cartilage
homeostasis through regulation of Adamts5.
 Nat Commun. 2019;10(1):2429.

日本人研究者とサンディエゴのレストランにて。左から2番目が著者、右から2番目が淺原弘嗣教授

日本人研究者とサンディエゴのレストランにて。左から2番目が著者、右から2番目が淺原弘嗣教授

スクリプス研究所(Department of Molecular Medicine)の外観(注)移転に伴い現在は解体されています。

スクリプス研究所(Department of Molecular Medicine)の外観(注)移転に伴い現在は解体されています。

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