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海外留学体験記 矢野 紘一郎(66号)

人工足関節をもっと学びたくて
~危険な都市ランキング全米3位での超短期留学~

矢野 紘一郎
東京女子医科大学 整形外科・膠原病リウマチ痛風センター

2020年1月~同年2月の2ヶ月間、米国メリーランド州ボルチモアに超短期留学させていただきましたので、その報告をさせていただきます。

2018年8月に新たな人工足関節(TM ankleTM; Zimmer Biomet社)が本邦で発売となりました。当院ではこの手術を積極的に行っており、その手術手技の最先端を学びたいと考え渡米を決意しました。留学先はTM ankleTM手術件数全米一のMercy Medical Centerで、TM ankleTM第一人者であるLew C. Schon先生の手術・外来見学をさせていただきました。噂通りTM ankleTMの症例数は圧倒的で、手術日はほぼ毎日1~2件のTM ankleTM手術を行っていました。重度の内外反変形、固定術からTM ankleTMへの変換、他機種からTM ankleTMへの再置換術など、非常に難しい症例も多数見ることができ、期待通りの成果を得ることができました。人工足関節以外にも多彩な足の手術を見ることができ、また、Schon先生は外来を非常に丁寧に行うため、足の診察方法・画像の読み方・治療法・手術のIC・モンスターペイシェントやVIP患者への対処法など、足診療のほぼ全てを学ぶことができました。

ボルチモアは全米第3位の治安の悪さと言われていますが、幸い危険を感じたことは一度もありませんでした。マリファナ臭がプンプンする場所や路上でご休憩されている方がいる地域はありましたが、無料バスに乗ろうが一人で歩きまわろうが極めて安全でした。ただ、それは危険と言われる地域に行かなかったためと思われます。

ワシントンD.Cが近いため、ワシントンウィザーズ(NBA)の試合を観に行ったりもしました。スタッフとして会場に入る機会をいただけたので、八村塁選手に会う(見かける?)こともできました。ただ、ハーフタイム中だったため写真を撮ったりサインを貰えるような雰囲気ではなく、選手が出ていった後にロッカールームの写真を撮るのが精一杯でした(無念)。NBAオールスターを観るためにシカゴにも行きました。さらにSchon先生の外勤先がニューヨークだったため一緒についていき、マンハッタンを片っ端から観光し、床屋で髪もNY流?に切ってもらうなど、公私ともに濃密な2ヶ月間でした。

今回の留学を通じて、他医師の手術・外来を見学することは、テキストや論文に記載されていないような細かいテクニックを学ぶことができ、非常に有意義であることを再認識しました。ぜひ今後の診療に生かしていきたいと思います。

最後に、本留学に携わっていただいた関係者の皆様にこの場を借りて深謝いたします。

 

ワシントンウィザーズ(NBA)の試合を観に行ったりもしました。

ワシントンウィザーズ(NBA)の試合を観に行ったりもしました。

Lew C. Schon先生(右)と筆者

Lew C. Schon先生(右)と筆者