埼玉医科大学 リウマチ膠原病科
埼玉医科大学リウマチ膠原病科の和田琢と申します。2007年に同大学を卒業し、その後大学に残り初期研修と後期研修として内科ローテを1年行った後に、入局いたしました。入局と同時に大学院に入学し、最初の1年は社会人大学院として臨床に専念し、その後3年間は大学院にて基礎研究を行い、2014年に医学博士を取得いたしました。しばらくは再度大学病院で臨床中心の生活となり、リウマチ専門医を取得の後に、2016年から1年半、オハイオ州立大学のRheumatology and Immunologyに客員研究員として留学しました。
帰国後は臨床と研究(主に臨床研究)を両立した生活を送りながら現在に至っています。臨床については大学病院の病棟、外来だけではなく、熊谷市と秩父市の総合病院でリウマチ膠原病の専門外来を行っております。また、最近は脊椎関節炎の診療と研究に力を入れており、2020年12月より本邦では珍しい脊椎関節炎の専門外来を立ち上げるに至りました。
リウマチ膠原病はマニアックな領域と思われるかもしれませんが、実際には診断に至っていない患者さんも多く存在しており、地域で専門外来を行っていると、患者さんの数は非常に多いことを実感します。その一方で特に内科の専門医が非常に少なく、私が外勤で行っている熊谷市は人口約20万人、秩父市は人口約6万人と多くの方々が生活しているにも関わらず、市内の基幹病院に常勤のリウマチ膠原病を専門とする内科専門医が一人もいません。さらに、大学病院までは車で1時間以上かかり、大学病院以外に対応可能な病院もほとんどないのが現状です。そのため、苦しい想いをされていた患者さんを診療する機会を数多く経験し、その経験からこの地域のリウマチ膠原病診療に貢献したいと強く思うようになりました。
その気持ちを持ちながら、ここまで勉強してきたことや実臨床の経験に基づいて実践し、さらには地域の病院と大学をつなぐ架け橋を作り上げることで、患者さんを救うことが出来た時には、「自分が患者さんを救ってあげることが出来た」と強く実感し、非常に大きな喜びを感じています。
リウマチ膠原病は全身疾患であり、全身を診ることが出来るようになるという点で非常に魅力的であることは、この道に少しでも興味を持たれた方なら言うまでもないことかもしれません。その一方で高い専門性を有する領域であることも魅力的な点であり、特に地域の医療への貢献度は計り知れません。皆さんも一日も早くその喜びを経験出来るよう、私も心から応援しております。