医学生・若手医師のみなさま 医学生・若手医師のみなさま

卒後7年目、臨床と研究を経験し思うこと

稲毛 純
慶應義塾大学医学部内科学教室 リウマチ膠原病内科

2014年に慶應義塾大学医学部卒業後、横浜市立市民病院で2年間の初期研修、川崎市立川崎病院で総合内科での内科一般トレーニングを1年間おこない、2017年に慶應義塾大学リウマチ膠原病内科へ入局しました。

初期研修を開始した当初は循環器内科、小児科を考えておりましたが、徐々に感染症や免疫学に興味をもつようになり、初期研修終了までに決められなかったため、総合内科でのトレーニングを積み、最終的にその1年間に最も惹かれたリウマチ膠原病学を選択しました。

私が惹かれた理由として、リウマチ膠原病領域の疾患の多くは、「なぜ、その疾患を発症するのか?」という疑問が残っているからです。診断・治療は、まだ困難な点は残されているものの、大きく進歩してきております。一方、予防戦略は、正確な発症機序がわからないため、まだスタート地点にも立てていないのが現状です。発症後の患者さんにおける負担を目の当たりにすると、今後は予防医療を発展させていくことも私たち若手医師の役割の一つと思います。

私は入局と同時に大学院に入学し、臨床・基礎研究の2側面から、この領域に取り組むことにしました。リウマチ専門医を取得し、今年で大学院も卒業になりますが、臨床も研究もまだまだ満足のいくレベルにありません。特に、予防戦略の構築に関してはライフワークにしたいという思いもあり、来年度からは、学術振興会特別研究員PDのポストを得て、東京医科歯科大学ゲノム機能多様性分野で、ゲノム配列情報を中心とした基礎研究を継続することにいたしました。これまでの基礎研究の中心は転写産物 (RNA) やタンパク質の解析であり、上記の通り診断・治療戦略の進歩には大きく貢献しましたが、それらが疾患発症の原因なのか、または発症した結果をみているだけなのかがわからないということが難点でした。そこで、因果関係がはっきりしているゲノム情報を、これらのデータに統合することで、発症機序も含めた病態探索をし、より精密な予防医療を構築することができると期待されます。

今後の自分の行く先は正直わかりませんが、最終的には患者さんへ還元していくことをゴールにするために、今できることのベストを尽くしながら、精進して参りたいと思います。