医学生・若手医師のみなさま 医学生・若手医師のみなさま

開業医からの視点 林 真利(68号)

新米リウマチ開業医、一年半の短期成績

林 真利
林リウマチ整形外科クリニック
 

「船木ぃ~!」と絶叫する原田雅彦選手らの活躍した1998年冬季オリンピック長野大会から20年余り、長野市内で昨年平成31年4月にリウマチ整形外科クリニックを開業いたしました。開業翌月に時代は令和となりおめでたムードでよかったものの、翌年にはこのCOVID-19の蔓延…。グラフは開業からの患者数の推移ですが、緊急事態宣言下の今年4-5月は患者数が減り(絶対数はご勘弁ください)、その後全体数は回復傾向であるものの、リハ数は未回復です。一弱小経営者としては、今後訪れるあろう第3波に戦々恐々とする日々が続いています。おまけに前年同月比売り上げ50%減で支払われる持続化給付金は、前年が開院一年目で売り上げも少なかったために当クリニックは頂けない不運…。

長らく勤務した総合病院では、整形外科系リウマチ医として孤軍奮闘しておりました。桃原茂樹先生の論文(Mod Rheumatol. 2011 Aug;21(4):337-42.)にもあるようにリウマチ関連手術は確かに減少の一途でしたが、リウマチ患者の高齢化に伴い、変性疾患や骨脆弱性骨折(脊柱管狭窄症、圧迫骨折、大腿骨近位部骨折など)の手術は増加傾向にありました。もちろんより良いADLを期待しての手足の手術も増加しており、そういった点において、トータルマネージメントを達成できる整形外科系リウマチ医のこれからの活躍を期待します。

今後は手術しなくてもよいリウマチ患者さんを一人でも増やしていくことが使命と開業し、「リウマチ」を頭に持ってきたクリニック名(松野博明先生に倣いました)としたものの、長寿県である信州長野は膝や肩のOA疾患や骨粗鬆症患者も多数であり、勤務医時代には「レントゲンでは異常ないから」の迷セリフとともに開業医へ回していた患者さんを逆に受け止める立場になってしまいました(罰が当たりました!)。リウマチのバイオ点滴をする一方で、関節注射やトリガーポイント注射、外傷にも忙しく対応しており、地域のかかりつけ医として微力ながら貢献できる喜びも少しずつ感じています。また、リウマチ治療における薬物進歩のごとく、骨粗鬆症治療薬や神経障害性疼痛治療薬も劇的に進歩しつつあります。昨今はやりのweb講演会等でそれら知識を蓄えながら、実際に処方してみて有効性や安全性を確認する、といった地道な経験を積み重ねています。そして、学会等でご活躍の開業リウマチ医の諸先輩方を目標に、自分もいつか症例をまとめ、以前みたくJCR、ACR、EULARに参加したいものです。

 

素晴らしいスタッフに囲まれて

素晴らしいスタッフに囲まれて

林リウマチ整形外科クリニック患者数の推移

林リウマチ整形外科クリニック患者数の推移