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いま思うこと

佐々木 喜子

某日、指導医の先生方と。左から松岡先生、丹野先生、向井先生、田中先生

佐々木 喜子
東京都リハビリテーション病院 リハビリテーション科

 私は柳田國男の遠野物語発祥の地、岩手県遠野市の出身です。炎症性関節疾患におけるヒアルロン酸の研究をしておりましたが、平成21年岩手医科大学大学院を修了し、現在は東京都リハビリテーション病院でリハビリという新たな視点から、関節リウマチの診療に携わっております。今日のリウマチ学の進歩はまさに『日進月歩』であり、このことはリウマチ患者さんにとって、またリウマチ診療に関わる医師にとっても、素晴らしい福音であることに違いありません。多くの患者さんが生き生きと毎日を過ごされるようになってきたことは、本当に嬉しいことです。
 その一方で、リウマチは完全に克服されたのか?という問いに対し、残念ながら私はNoと答えるでしょう。関節破壊が進行し高度な変形を呈する患者さんに対し、彼らのこれまでの人生を取り戻せるのか?という問いに至っては、答える術がありません。しかし本当に驚くべきことですが、関節リウマチに対する治療法が殆どない時代、ルノワールは変形した指先で絵画を描き、エディット・ピアフは痛みを抱えたままシャンソンを歌い続けました。彼らの情熱や努力を思うとき、私はひとの持つ無限の可能性というものを感じずにはいられません。おそらく、希望とは人智の及ぶところでなく、病や身体的障害によって何ら妨げられるものではないのかも知れません。
 医療の進歩に関わらず、人の為しうる医業にはどこかに限界点があるということも、忘れてはならないでしょう。日々謙虚に研鑚を積み、患者さんに寄り添った臨床家でありたいと思っています。

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