医学生・若手医師のみなさま 医学生・若手医師のみなさま

市中病院だからこそできる医療

柏木 聡

左より稲荷医師,大澤部長,柏木(筆者),中川医師

柏木 聡
尼崎医療生協病院 整形外科・リウマチ科

 私は1999年に大分医科大学を卒業後、大学の医局には所属せず民間病院に入りました。初年度は一般内科を、それから整形外科を学び始めました。北海道、名古屋、新潟と、研修病院を探しながら、整形外科・膠原病内科・麻酔科の勉強をしてきましたが、北海道で膠原病を学んだ事がきっかけでリウマチ学を専攻する事になりました。リウマチ学は主に新潟県立リウマチセンター村澤章先生の下で学び、昨年、現病院に戻ってきました。
 ここではリウマチ科の立ち上げから始め、呼吸器合併症などで困った症例は近隣大学病院の先生に相談しながらこの1年半を過ごしてきました。患者5名から始めた外来は徐々に増加し、入院ではRA教育入院・生物学的製剤・LCAP・手術などを行い日々の診療に従事しています。
 近年、生物学的製剤の導入でリウマチ治療はめまぐるしく変わってきています。一方で往診患者さんの家に行くと受診できない寝たきりの患者さんもいらっしゃいます。市中病院にいると、治療学は進歩していますが地域末端までそれらが行き届いていないことを感じます。学会・研修会などでは生物学的製剤が輝きを放っており、あたかもそこに治療が集約される印象を持ちますが、決してそうではないと思います。今一度、治療だけでなく医療の原点に立ち戻り、全人的にリウマチ患者さんを見る医療を実践できればと思っています。