メディカルスタッフのみなさま メディカルスタッフのみなさま

音楽療法士からの声 山崎 郁子(64号)

リウマチ教室での音楽療法について

山崎 郁子
作業療法士・認定音楽療法士

神戸大学医学部附属病院では、リウマチ(以下RA)患者さんとその家族に対して、月に一度のリウマチ教室が開催されている。その教室で年に一回、音楽療法が取り入れられてから今年で10周年を迎えた。リウマチ専門医である三浦靖史医師、作業療法士、認定音楽療法士、看護師などの医療職と、神戸大学医学部保健学科の学生と国際医療福祉大学の大学院生がボランティアとして参加し開催されてきた。

各セッションは約1時間、クライエントは20人前後のグループ活動で、音楽療法によってRA患者さんの気分の向上、痛みの軽減に寄与できるのではないかという目的を持ってプログラムされた。1時間の内容は、まず大きな声で歌うことの意義を簡単に説明し、あらかじめ選曲した8曲の歌詞カードを配布すると同時にパワーポイントによる歌詞もスクリーンに提示して、順番にピアノ伴奏で歌うという流れである。選曲に当たっては、季節の歌、唱歌、歌謡曲、フォークソング、外国曲など、誰もが歌える馴染みのあると思われる曲を選び、全員が大きな声を出して歌えるように配慮した。ところが時々、ボランティアの大学生や大学院生が知らない曲があり、一番大きな声でリードしてもらおうと頼りにしていたことが外れたことがあった。そのため、若いボランティアの意見を選曲に反映するようになった。3回目、つまり3年目からは、チャイムバー(鈴木楽器製作所製トーンチャイム®)という楽器も導入し、ピアノ伴奏なしに、チャイムバーをコード伴奏で演奏しながら歌う曲を2~3曲含めた。チャイムバーを演奏しながら歌うことは、ただ歌っていた時よりも達成感が味わえるというメリットがあり、参加者には好評である。

10年間、クライエントから参加前後にアンケートに記入していただいてきたことをまとめると、次のような二つのフィードバックが得られた。一つ目に体調、疼痛、気分の3点が、参加後に改善した。二つ目には楽器演奏にはクライエントとスタッフが全員で参加できたことから、教室は楽しみながら一体感が得られる場となった。
このように、音楽を嫌いでない限り、音楽療法は意義深く楽しいものであり、RA患者さんにとってQOLを高める活動の一つになり得る。さらに、持ち帰った歌詞カードを日常の生活の中で歌うきっかけとすることで、教室で行うだけでなく日々の生活に音楽療法を取り入れることができると考えられた。

 

チャイムバーを持ったスタッフ、ボランティア

チャイムバーを持ったスタッフ、ボランティア

中央のスクリーンの歌詞を見ながら歌っている参加者、スタッフ、ボランティア

中央のスクリーンの歌詞を見ながら歌っている参加者、スタッフ、ボランティア