免疫抑制薬とは
免疫抑制薬は体内で起こっている過剰な免疫反応や炎症反応を抑える薬です。ステロイドだけでは効果が乏しい場合にステロイドと一緒に使用して治療効果を高めたり、副作用によりステロイドを減量しなければならない場合などで使用されることが多い薬です。
免疫抑制薬の種類、適応疾患、作用機序、副作用
全身性エリテマトーデスをはじめとする自己免疫疾患でさまざまな免疫抑制薬が使用されます。主な免疫抑制薬の種類、適応疾患、作用機序、副作用を表に記載しています。
使用上の注意点
日頃から手洗い、うがい、人混みを避けるなどの感染症対策をしっかり行う必要があります。免疫抑制薬を内服している時は生ワクチンによる予防接種はできません。妊娠または授乳では使用できない薬剤がありますので、必ず主治医の先生と相談しましょう。
表)主な免疫抑制薬の種類、適応疾患、作用機序、副作用
一般名 | 主な商品名 | 適応疾患 | 作用機序 | 副作用 |
---|---|---|---|---|
シクロフォスファミド | エンドキサン | 治療抵抗性のリウマチ性疾患 | DNA複製阻害 | 感染症、汎血球減少、不妊症、脱毛、嘔気、出血性膀胱炎 |
タクロリムス | プログラフ | 関節リウマチ、ループス腎炎、間質性肺炎合併多発性筋炎・皮膚筋炎 | カルシニューリンの活性化を抑制し、T細胞の活性化を抑制する | 感染症、白血球減少、腎障害、心筋障害、神経障害、高血糖 |
アザチオプリン | イムラン | 治療抵抗性のリウマチ性疾患 | DNA複製阻害 | 感染症、汎血球減少、肝障害、間質性肺炎、悪性腫瘍 |
ミゾリビン | ブレディニン | ループス腎炎、関節リウマチ | DNA複製阻害 | 感染症、汎血球減少、肝障害、腎障害、間質性肺炎、消化性潰瘍 |
ミコフェノール酸モフェチル | セルセプト | ループス腎炎 | DNA複製阻害 | 感染症、汎血球減少、肝障害、消化器症状 |
産業医科大学医学部第1内科学講座
上野匡庸先生
更新日:2022年5月22日