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リウマチ学の仲間を増やそう

リウマチ学の仲間を増やそう アンケート結果

今回、JCR男女若手共同参画委員会では、「リウマチ学の仲間を増やそう」という趣旨にてアンケート調査を行いました。対象は A)専攻医 と B)教育施設です。結果を報告いたします。なお、本アンケート結果には慶応義塾大学リウマチ・膠原病内科教授の金子祐子先生が2022年の第33回日本リウマチ学会関東支部学術集会で発表された内容を含みます。

 

A)専攻医

専攻医からの回答

仲間を増やすアイディア募集
  • 〇全身疾患でプロブレムが多く治療が画一的でないので、初期研修医には難しい。内科専攻医だがサブスぺが未決定の専攻医に声をかける
  • 〇研修医は手技が嬉しいので関節エコーを教える
  • 〇ハンズオンセミナーや他院・他科との情報交換の機会を作る
  • 〇専攻医制度を含めてライフプランを立てやすいように紹介
  • 〇アカデミックな面だけでなく働き方やリウマチ内の専門の多様性
  • 〇専門医資格取得のハードルを下げる(内科全般、手術症例必須緩和など)
  • 〇ワークライフバランスを保てる
まとめ

アンケートの集計結果と自由記載の意見をとりまとめてみました。

  1. 進路について。内科の他の分野と迷ったうえで初期研修医の時にリウマチ学専攻を決めた方が多いようです。
  2. 専攻理由について。リウマチ・膠原病疾患の臨床に興味があることや総合的に全身をみることができることが魅力である一方、全身疾患でプロブレムが多く、初期研修医には難しく感じることが多いようです。
  3. ライフプラン、ライフスタイルについて。リウマチ専門医取得までの道のりについての問題点として、内科や整形外科とのダブルボードでの専門医試験の準備が厳しいこと、臨床と研究の両立の難しさが問題になっています。また、家庭との両立などモデルケースを踏まえたアピールも必要なようです。
  4. リウマチ専門医になるストーリー(方法、基準、期間など)がわかりやすく明記されたものが必要(簡素化)。(ガイドラインの一般公開)
  5. 専門医になるための準備(症例登録と試験)が難しいため、受験資格や更新条件の緩和を希望されています。
  6. 提言などについて。様々な科の若手医師が参加する研究会、ハンズオンセミナー、情報交換会の開催、ソーシャルメディアでの発信、リウマチ専門施設の拡充なども必要とされています。

 

B)教育施設

教育施設からの回答1
教育施設からの回答2
教育施設からの回答4

初期研修医にリウマチ学の魅力を伝えるため
  • 〇外来で診療見学と実際の診療を通じて面白さを体感
  • 〇内科全般のディスカッションをして前進を診ることをアピール
  • 〇慢性疾患を全人的に診療する醍醐味
  • 〇大学病院では膠原病・リウマチを受け持ったことが無い研修医が多いので、患者数も多くどんな診療科なのかを肌間隔で触れる
  • 〇医学全体で分子標的療法が主流で、リウマチ・膠原病は先駆け
  • 〇女性も働きやすい
  • 〇論文の書き方・学会報告
学生にリウマチ学の魅力を伝えるため
  • 〇系統講義(3年)・臨床実習(4年)・卒前臨床実習(5年)とそれぞれ特徴と目的を活かしてプログラムする
  • 〇講義では免疫学とリンクして臨床と基礎をつなぐ
  • 〇総合診療の要素がある
  • 〇患者さんの一生を診る診療科である
  • 〇全身臓器を診療する
  • 〇学問・診療の進歩が著明
  • 〇初期研修医と一緒に病棟や外来見学
専門を未決定の医師にリウマチ学の魅力を伝えるため
  • 〇前進を診ることの面白さと重要性を体感
  • 〇トランスレーショナルリサーチが実践されている
  • 〇専門科を迷うなら総合診療要素のあるリウマチ学をお勧め
  • 〇守備範囲が広いので将来の開業にもつながる
  • 〇勉強会に誘う、案内を送る
  • 〇緊急性が少なく忙しすぎないので学術的研究もできる
  • 〇整形外科での運動器の治療としてリウマチ学は必須
アピールポイント
  • 〇前進を診るザ・内科である、総合診療の要素がある
     決められないなら全身の臓器を診るリウマチ科に来れば?
     将来の開業時にも内科全般の知識があると役立つよ!
  • 〇慢性疾患である
     患者さんの人生に長期に寄り添った診療ができる!
     忙しすぎずワークライフバランスがとれる!
     育児との両立も可能!
  • 〇基礎と臨床が密接に関連している
     進歩が著しく学術的にも楽しい!
     役に立つ研究ができる!
学会としてすべき取り組み
  • 〇全国の大学に膠原病リウマチ学講座を設置するよう働きかけ
    (卒前教育や初期研修医が興味を持てるように)
  • 〇研修医・諸学者向けの教育セミナー・勉強会開催
  • 〇研究側面を押すと嫌がられることがあるのでバランスが大事
  • 〇ネットを通じた働きかけ
  • 〇各施設の有機的連携、短期人材交流
  • 〇整形外科にも門戸を
まとめ

アンケートの集計結果と自由記載の意見をとりまとめてみました。

  1. 新たに加わった医師について。施設によって差がありますが、1-3人が多いようです。卒後年数は様々であり、専攻医のみならず中途採用も多い傾向です。勧誘方法としては、説明会、ポスター、ホームページなどありますが、個人的勧誘の効果が高いようです。
  2. 学生へのアピールについて。講義、実習を通してリウマチ学の魅力、多様性、やりがいを伝えつつ、興味をもった学生さんにはより深く伝えているようです。とくにハンズオンでの実習は効果的なようです。
  3. 初期研修医に対して。学生時代にリウマチ膠原病患者を担当したことのない医師も少なくなく、病歴の取り方から治療方針決定までのプロセスを指導医と一緒に行うことで全身を診る診療科としての魅力、重要性を体感してもらっているようです。ハンズオンでの指導は効果的なようです。また、内科、整形外科のみならず、リハビリテーション、免疫学など関連する分野も多く、スキルアップできる点も魅力のようです。
  4. 専門を決めていない医師に対して。全身を診る診療科であることの魅力と幅の広さ、個別化医療の重要性、治療が研究と密接に結びついている点をアピールしているようです。また、慢性疾患であるため患者さんを長期にわたり全体をマネジメントできること、最後の砦のような診療科としての魅力もアピールしているようです。
  5. 各教育施設や学会が取り組み可能なリクルート法について。研修医や学生に対して基本的な内容の講演、オンデマンドやWEBでの講演の配信、とくに症例ベースや身体診察など研究に偏りすぎない臨床中心の内容が望ましいようです。また、キャリア形成モデルの提示、多様な働き方の提案、リウマチ膠原病学を標榜していない大学への講座の設置、学内でのポジションの向上、そして各施設での成功事例の共有も必要なようです。
  6. リウマチ学会への要望。リウマチ専門医の不在地域へのコンサルタント、短期人材交流事業、若手医師に学術的活動ができる研究支援、内科、整形外科、皮膚科など自科以外の研修ができること、リウマチ学の面白さをソーシャルメディアを通じてアピールすることなどが挙げられています。

最後にアンケートにご協力いただきました皆様に御礼申し上げます。

JCR男女若手共同参画委員会
委員一同