痛風とは
痛風(gout)とは、体内に過剰に産生された尿酸が関節に蓄積して結晶化し、炎症を引き起こして腫れや痛みを生じる病気です。風が吹いても痛いということで、「痛風」と呼ばれています。
症状・検査
母趾MTP関節に激しい疼痛を生じるのが特徴です。足根骨,足関節,膝関節、手関節、肩関節等に痛みが生じることもあります。痛みは発作的に生じます。この痛みの発作(痛風発作)と軽快を繰り返すうちに病態が悪化し、腎結石・尿管結石を併発することもあります。
診断
確実な痛風の診断は、発作中の関節の中に尿酸の結晶があることを証明することですが、血中尿酸値の変動や痛風特有の臨床症状があれば診断は可能です。
治療
痛風の治療法としては薬物療法と生活習慣の改善がメインです。薬物治療は痛風関節炎の治療と、その背景にある高尿酸血症の治療の2つに大別されます。前者は急性あるいは慢性の炎症を消退させることが目的であり、後者に対しては、生活習慣改善や尿酸降下薬による薬物治療が行われます。薬物治療について,痛風発作が生じ,炎症が強いときは、まずNSAIDsを使用します。NSAIDsが使用できない患者にはステロイドを内服あるいは局所関節内注射で使用します。高尿酸血症に対する尿酸降下薬には尿酸排泄促進薬と生成抑制薬があります。尿酸排泄低下型高尿酸血症にはベンズブロマロン、プロベネシドといった尿酸排泄促進薬を、尿酸産生過剰型高尿酸血症にはアロプリノールやフェブキソスタットなどの尿酸生成抑制薬を使用しますが、尿路結石、腎障害合併時には尿酸生成抑制薬が第1選択となります。また,発作をくり返していくうちに、発作の前兆を感じるようになることがあった場合にはコルヒチンを用い発作を抑えるのも一法です。
生活上の注意点
生活習慣の改善としては、過食を控えプリン体を多く含む食品(肉や魚の内臓や干物、エビ)やアルコールの摂取を控えることが重要です。また,水分摂取も大切です。過度な運動はかえって尿酸値の上昇を引き起こすため、負荷の低い運動(ウォーキング等)を勧めます。発作を起こしている場合は、安静・患部冷涼が必要があり、運動や保温は症状を悪化させるので入浴も控えましょう。
専門医への相談のポイント
尿酸排泄低下型高尿酸血症や尿酸産生過剰型高尿酸血症の鑑別、合併症検索、薬剤使用について、必要に応じて専門医にご相談をしましょう。
独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター整形外科
風間悠介先生
更新日:2022年5月22日