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顕微鏡的多発血管炎(MPA)

顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis: MPA)とは

顕微鏡で観察できる太さの細小動・静脈や毛細血管など小型血管に炎症を起こし、出血や血栓を形成することで血流障害や壊死、そして、臓器機能に不具合を生じる全身性の自己免疫疾患です。病気の原因は不明で、遺伝性はないと考えられています。好発年齢は55~74歳、発症時平均年齢71歳で、女性にやや多いといわれています。

症状・検査

発熱、体重減少、易疲労感、筋痛、関節痛などの全身症状とともに、血管に炎症を生じるため、出血や虚血・梗塞によるさまざま症状・あらゆる臓器に障害を起こしえます。障害を生じやすい臓器は、腎臓・肺といわれます。腎臓では、尿検査異常(尿潜血、蛋白尿、赤血球円柱など)、腎機能低下(クレアチニン上昇)がみられます。肺では、間質性肺炎や肺胞出血が生じ、息切れ、空咳、血痰などがみられます。なお、腎臓や肺では急性な経過で進行する場合が多く、透析療法や酸素投与・人工呼吸器を要する重篤な状態になることがありますが、慢性に経過することもあります。ほか、皮膚では紫斑、皮下出血、皮膚潰瘍などがみられます。神経では手足のしびれや筋力低下などの末梢神経障害がみられ、治療後も残ることがあります。血液検査所見では、炎症反応の上昇(CRP高値、白血球数増加、赤沈亢進)および、自己抗体であるANCA(抗好中球細胞質抗体)のなかでもMPO-ANCAの検出が多く、有効な診断根拠の一つとなっています。

診断

腎・肺・神経などの主要症候、細小動静脈血管の炎症・壊死などの組織所見、MPO-ANCA陽性などの検査所見から診断します。また、指定難病のため重症度に照らした上で医療助成の対象となることがあります。早期発見・治療による予後の改善があるので、病初期の的確な診断・治療が望ましいです。しかし、感染症、薬剤、悪性腫瘍、血栓塞栓症、その他の膠原病などでも血管炎を疑うような症状やANCA陽性化があるので、充分な鑑別が必要です。

治療

炎症を消失させ、その状態を維持することが目標になります。治療としては、副腎皮質ステロイドや免疫抑制剤としてシクロフォスファミド、リツキシマブ、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル、アザチオプリン、透析療法の一つである血漿交換などがあります。また、リスクとベネフィットを鑑みて、ステロイド単独や無治療も考慮することがあります。

生活上の注意点

感染症に対する注意が重要です。また、ステロイドや免疫抑制剤による副作用・合併症に留意し、また、この病気は再燃することがありますので、定期的な診察を受けましょう。

主治医への相談のポイント

感冒などでみられる発熱、易疲労感、関節痛などの全身症状が感染症治療を行っても改善しない場合には、血管炎が関与していることがあるので、早めに主治医に相談をしましょう。

杏林大学 腎臓・リウマチ膠原病内科
川嶋聡子先生

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