混合性結合組織病とは
混合性結合組織病(Mixed Connective Tissue Disease;以下MCTD)は、全身性エリテマトーデス様・強皮症様・多発性筋炎/皮膚筋炎様のうち2つ以上の症状が混在し、血液検査で抗U1-RNP抗体という自己抗体が陽性となる病気です。2015年時点で1万人強の患者さんがいると推定されています。女性が多く、男女比は1:13程度といわれています。
症状・検査
症状は共通してみられる症状と、全身性エリテマトーデス・多発性筋炎/皮膚筋炎・強皮症類似の症状が混ざって出現する混合症状、合併症があります。どのような症状が出現するかの組み合わせは個人差があります。
- 共通症状
レイノー現象:寒冷刺激や精神的緊張により血管が収縮して手指や足趾が白くなり、その後紫色、最後に赤色への変色を経て元の色調に戻ります。症状は一過性です。末梢の血流が減ることにより生じるため冷感やしびれ感を伴います。最初の症状として表れることが多いとされています。 手・手指の腫脹:手指から手背にかけて腫れぼったくなります。80〜90%に見られ、MCTDに特徴的な症状です。 - 混合症状
全身性エリテマトーデス(SLE)様症状:多発関節炎、リンパ節腫脹、顔面紅斑、心膜炎・胸膜炎が見られます。腎炎症状(蛋白尿や血尿など)もみられますが、SLEに比べて軽症とされています。 強皮症様症状: 手指に限局した皮膚硬化がみられます。食道運動機能が低下し、食物が飲み込みにくくなったり、胸焼けを感じるようになったりもします。間質性肺炎(肺線維症)といって肺が硬く縮む合併症では、空咳や息苦しさを感じるといった症状が出ることがあります。 多発性筋炎/皮膚筋炎様症状:クレアチンキナーゼ(CK)上昇を伴い上腿や大腿の筋力低下を認めることがあります。 - 合併症
重要な合併症として肺高血圧症があります。肺高血圧症はMCTDの10%程度に合併し、動悸、労作時息切れ、胸痛が出現します。また、解熱鎮痛剤(特にイブプロフェン)の使用により無菌性の髄膜炎を誘発されることがあります。 検査は定期的な血液・尿検査、間質性肺炎などをみつけるためX線・CT検査、肺高血圧症の早期発見のための心電図・心臓超音波・呼吸機能検査などを行います。
診断
上記共通症状に肺高血圧症を含めた所見のうち1つ以上があり、抗U1-RNP抗体陽性でかつ混合症状のうち2種以上が見られれば診断されます。中等症以上が助成の対象です。
治療
MCTDの治療は副腎皮質ステロイド薬を中心とする薬物療法が基本となります。ステロイド剤の効果が充分でない場合には、免疫抑制薬(アザチオプリンまたはシクロホスファミド)を併用することがあります。肺高血圧症の合併がなければMCTDの予後は比較的良好です。
生活上の注意点
喫煙者は禁煙が重要です。レイノー現象を出現させないよう寒冷刺激を避け、また強い紫外線を浴びないようにも注意してください。
主治医への相談のポイント
風邪症状のない発熱、労作時の息切れ、レイノー現象を1日に何回も生じる場合は早めにかかりつけの医師に相談をしましょう。
松山赤十字病院リウマチ膠原病センター
押領司健介先生
更新日:2022年5月22日