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若年性シェーグレン症候群

シェーグレン症候群とは

シェーグレン症候群(sjogren syndrome: SS)とは涙や唾液を作っている外分泌腺を中心に炎症を起こす全身性の自己免疫疾患です。一般に、40-60歳台の女性に発症しやすい疾患ですが、小児期にも見られます。小児の膠原病の中では若年性特発性関節炎・全身性エリテマトーデス・若年性皮膚筋炎に次いで4番目に多い疾患です。

症状・検査

小児では成人のような目や口の乾燥症状(腺症状)が自覚されることは少なく、全身倦怠感・関節痛・皮疹・リンパ節腫脹などの膠原病を疑わせるような症状や、耳下腺が繰り返し腫れるなどが主な症状です。皮膚症状では環状紅斑と呼ばれる、中央が抜けたようになる紅斑が有名です。肺炎や神経障害、腎障害などの外分泌腺以外の全身の様々な臓器に障害(腺外症状)を起こすこともあります。小児は成人と異なり、腺症状よりも腺外症状が多いのが特徴的です。検査結果では白血球減少や免疫グロブリンの増加、様々な自己抗体が出現することがあります。この病気でよく出現する自己抗体としては抗核抗体・リウマチ因子・抗SS-A/Ro抗体があげられます。また抗SS-B/La抗体も陽性になることがあります。

診断

血液検査(自己抗体の有無など)と涙腺や唾液腺のダメージを調べ、「小児期シェーグレン症候群 診断の手引き」をもとに診断されます。小児慢性特定疾病・指定難病のため重症度に応じて医療助成の対象となることがあります。

治療

腺症状に対しては点眼薬やうがい薬が使用されます。腺外症状に対しては重症度に応じてステロイド薬や免疫抑制薬が使用されることがあります。

生活上の注意点

シェーグレン症候群には特別な制限は必要ありませんが、免疫抑制薬を内服している方は、特に感染症対策には気を付けてください。 妊娠・出産は可能です。シェーグレン症候群では様々な自己抗体がみられますが、この抗体が臍帯を通って赤ちゃんに影響する場合があります。頻度は低いですが、抗SS-A/Ro抗体は赤ちゃんに心ブロックを起こす場合がありますので、疑われた場合にはお母さんにステロイド薬を飲んでもらう場合があります。 小児期シェーグレン症候群では自覚症状がないことが多いですが、自己抗体が出ている場合には定期的な受診をしてください。これまでとは異なる症状が出た際には、主治医の先生にご相談ください。

千葉県こども病院アレルギー・膠原病科
井上祐三朗先生 / 光永可奈子先生

更新日:2022年5月22日