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好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA)とは

以前はチャーグ・ストラウス症候群と称されていた疾患です。気管支喘息やアレルギー性鼻炎をもつ患者さんで、白血球の一種である好酸球が異常に増加して細い血管に炎症を起こし、血流障害や壊死、そして、臓器機能障害を生じる全身性の自己免疫疾患です。病気の原因は不明で、遺伝性はいわれていません。発症年齢は、40~70歳が多く、発症時平均年齢が約55歳、男女比は1:1.7と女性に多いといわれます。

症状・検査

典型的な経過としては、もともとあった気管支喘息やアレルギー性鼻炎が悪化し、全身性の血管炎によって発熱、体重減少、関節痛や筋肉痛、とくに末梢神経障害による手足のしびれが多くの患者さんでみられます。その他、皮膚症状(紫斑、皮膚潰瘍など)、肺病変による咳や血痰、心筋障害による動悸や息苦しさなどもみられることがあります。また、腸の血管炎による腹痛や消化管出血、脳や心臓の血管炎による脳出血・脳硬塞、心筋梗塞などの重篤な合併症も起こることがあります。検査所見は、末梢血中の好酸球数の増多、炎症反応の上昇(CRP高値、白血球数増加、赤沈亢進)、血清IgE値の上昇がみられます。MPO-ANCAは約30~40%程度にしか認められません。

診断

気管支喘息あるいはアレルギー性鼻炎、好酸球増加、発熱、体重減少、多発単神経炎、消化管出血、紫斑、関節炎、筋肉痛など血管炎による症状の主要臨床所見と経過、好酸球浸潤を伴う細小血管の肉芽腫または壊死性血管炎などの主要組織所見などの検査所見から診断します。また、指定難病のため重症度に照らした上で医療助成の対象となることがあります。比較的予後良好な疾病といわれますが、しびれなどの末梢神経障害は残りやすく、また、病変が脳や心臓、消化管などにおよぶと重篤な経過になることがあります。

治療

好酸球による炎症を抑えるため、副腎皮質ステロイドを用います。また、脳・心臓・腸などの重要な臓器に病変がある場合には、免疫抑制剤としてシクロフォスファミドを併用します。また、近年、好酸球の活性化を抑える抗IL-5抗体のメポリズマブや末梢神経障害に対して、高用量ガンマグロブリン療法が保険適用になっています。

生活上の注意点

ステロイドや免疫抑制剤による副作用・合併症に留意し、また、この病気は再燃することがありますので、定期的な診察を受けましょう。

主治医への相談のポイント

気管支喘息やアレルギー性鼻炎の悪化とともに発熱、体重減少、関節痛や筋肉痛、末梢神経障害、皮疹など全身の血管炎が疑われる際には、早めに主治医に相談をしましょう。

杏林大学 腎臓・リウマチ膠原病内科
川嶋聡子先生

更新日:2022年5月22日