抗CCP抗体とは
抗環状シトルリン化ペプチド(cyclic citrullinated peptide: CCP)抗体(ACPA)は上皮細胞に存在するフィラグリンのシトルリン残基を認識する抗体です。抗CCP抗体は関節リウマチに特異性の高い抗体であり、関節リウマチの診断だけでなく、診断確定前に関節リウマチの発症を予測することもできます。抗CCP抗体陽性の関節リウマチでは骨破壊の進行が速いことも知られており、関節リウマチの治療法を決める上でも重要な検査です。
抗CCP抗体の感度と特異度
関節リウマチにおける抗CCP抗体の感度は60~80%、特異度は90~95%以上と言われています。早期関節リウマチでは感度は下がるものの特異度は高く、関節症状がありかつ抗CCP抗体が陽性である患者においては関節リウマチ、あるいは早期関節リウマチである可能性が高いと言えます。
検査時の注意点
関節リウマチに関連する特殊検査については、診療報酬の上で細かな規則がありますので、検査を行う際には注意が必要です。
- 抗CCP抗体,MMP-3,抗ガラクトース欠損IgG抗体,免疫複合体(C1q),免疫複合体(モノクローナルRF),IgG型リウマチ因子,免疫複合体(C3d)のうち2項目以上を併せて実施した場合には,主たるもの1つに限り算定されます。
- 抗CCP抗体を診断に用いる場合、関節リウマチと確定診断できない者に対して診断の補助として検査を行った場合に、原則として1回のみ算定されます。ただし、検査結果が陰性だった場合は、3月に1回算定可能です。
- 抗CCP抗体を治療選択に用いる場合、患者1人につき1回のみ算定されます。ただし再度治療薬を選択する必要がある場合には、3月に1回に限り算定できます。
専門医への相談のポイント
何らかの関節症状があり、かつ抗CCP抗体が陽性の患者を診た場合には、専門医へ相談することが推奨されます。
東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 中央検査部 臨床検査医学講座
越智小枝先生
更新日:2022年5月22日