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ベーチェット病

ベーチェット病(Behçet disease:BD)とは

全身性に多彩な症状を起こす炎症性疾患です。病気の原因はいまだ不明ですが、病気になりやすい遺伝素因を持ち(素因を持つとかならず病気になる「遺伝病」ではありません)、かつ環境因子(ウイルス・細菌などの微生物、食事・喫煙などの影響)が加わることで、病気を発症するのではないかと考えられています。

症状・検査

症状:以下の4つの症状が特徴的といわれます。

  1. 口内炎:「再発する」「痛い」のが特徴的、
  2. 皮膚症状:手足に赤くて痛い発疹(結節性紅斑様皮疹)やにきびのような発疹(毛嚢炎様皮疹)など、
  3. 陰部潰瘍:陰部に痛い潰瘍(傷が深くえぐれたようになった状態)、
  4. 眼症状:おもに眼のぶどう膜という部分に炎症が起こり、「眼の充血」「眼の痛み」「見えにくさ」「眩しさを強く感じる」といった症状が出ます。

4つすべての症状が出る人もいれば(完全型)、一部しか出ない人もいます(不全型)。これらに加えて、

  1. 関節(関節の痛み・腫れ)、
  2. 精巣(「精巣上体炎」による睾丸の痛み・腫れ)、
  3. 消化管(腹痛、下痢・血便など)、
  4. 血管(動脈瘤:首や腕の血管に「コブ」ができる、静脈血栓症:「足が腫れて痛い」、肺血栓塞栓症:「息苦しい」「胸が痛い」など)、
  5. 神経(頭痛、手足の麻痺や感覚異常など)に症状が出てくる人もいます。

消化管・血管・神経病変を持つ人は「特殊型」と本邦ではいわれます。

検査

「ヒト白血球抗原(HLA)」という白血球の血液型で「B51」という型を持つ人がベーチェット病の人には多い(約60%)といわれていますが、病気でないひとでも日本人であれば約15%はこの型を持っているため、「HLA-B51陽性=ベーチェット病」というわけではありません。「針反応(採血のあとがよく残る)」もこの病気に特徴的といわれています。血液検査などでこの病気に特徴的なマーカーはみつかっていません。

診断

上記の特徴的な症状が繰り返し起こり、検査所見に異常があり、かつほかの病気(ウイルスなどによる感染症、別のリウマチ・膠原病疾患など)の可能性が低いとき、ベーチェット病と診断します(参考: http://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~jbehcet/jigyou/shindan.html)。ベーチェット病は指定難病のため重症度に照らした上で医療助成の対象となることがあります。

治療

第一選択薬はコルヒチンです。病変部位・重症度に応じて、必要があればステロイドを含む免疫抑制薬を使用します。眼・腸管・血管・神経に症状が出た人には、より強力な治療としてTNF阻害薬(レミケード®︎やヒュミラ®︎)を使用することもあります。難治性口内炎にはPDE4阻害薬(オテズラ®︎)も選択肢になります。

生活上の注意点

「症状が良くなったり(寛解)悪くなったり(増悪)することを繰り返す」ことがこの病気の特徴です。身体的・精神的ストレスや気候の変化が増悪のきっかけになることもあるため、ストレスを貯めずに規則正しい生活を送ることが望ましいです(それぞれの生活もあり「言うは易く行うは難し」ですが、心がけることは大切だと思います)。口腔内細菌がベーチェット病に関連するとの報告もあり、毎日の歯磨きと定期的な歯科検診をおすすめします。またタバコもベーチェット病の発症・増悪と関係する(とくに神経病変で)という報告もあり、禁煙もおすすめします(必要があれば保険診療での禁煙外来受診を主治医と相談ください)。

専門医への相談のポイント

眼の病変(ぶどう膜炎)はひどい場合は失明に至ることもあるため、眼の症状が出現したときには早急に眼科医を受診してください。腸管・血管・神経に病気が起こると手術が必要になったり、重い後遺症を残したりすることもあるので、これらの病変を疑うときにも早急に専門医(リウマチ科医やそれぞれの臓器専門医)を受診してください。

横浜市立大学医学部血液・免疫・感染症内科
副島裕太郎先生

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