医学生・若手医師のみなさま 医学生・若手医師のみなさま

勤務医からの視点 綾部 敬生(67号)

VUCAな時代の施設間協力

綾部 敬生
慶友整形外科病院
綾部 敬生

当院は医師28人、令和元年度の全身麻酔下手術件数3647件、14の整形外科専門センターを有する群馬県の整形外科専門病院です。その中で、慶友リウマチセンター(医師1人)のセンター長として約1000人の患者さんを、私は担当しています。今年度行った当センター通院関節リウマチ(RA)患者調査結果(N=1022)を紹介させていただきます。全体の平均年齢は67.6歳で、高齢者を3群に分けると、65歳~74歳例(A群)は26.0%、75歳~84歳例(B群)は20.2%、85歳以上例(C群)は5.1%でした。当院でも、高齢患者の高齢化が急速に進んでいると実感しているところです。eGFRcys(mL/min/1.73m²)平均は、全体72.7に対してA群:69.8、B群:59.6、C群:44.3と高齢化とともに腎機能の低下は明らかで、アンカードラッグであるMTXの服用率は、全体:43.3%、A群:47.7%、B群:26.0%、C群:1.9%と85歳以上例は、極端にMTXの服用率が低い結果でした。一方で生物学的製剤使用率は全体:17.2%、A群:13.5%、B群:25.1%、C群:30.7%と年齢とともに上昇し、JAK阻害薬使用率は、全体:9.8%、A群:12.8%、B群:13.5%、C群:13.5%と高齢者間ではあまり差はみられませんでした。疾患活動性は、全体では平均DAS28ESR:2.2と寛解に達し、低疾患活動性以下達成例は68.5%でした。高齢RA患者が急増する現在のRA治療においても、今まで同様にアンカードラッグであるMTXを使いこなすことはキーポイントですが、当センターでは経過良好例に対して、副作用の懸念から積極的にMTXの減量や中止を行ってきた結果、他施設に比較してやや低いMTX服用率になったのかもしれません。

RA患者が通院する施設環境はいろいろで、クリニック、病院、内科医主治医、整形外科医主治医、都市部、地方などいろいろな違いがあり、また患者背景も異なります。それぞれの施設に得意、不得意分野があり、それぞれの工夫を凝らしてチーム医療を実践した結果が、施設の治療成績結果に如実に反映されますが、他施設と自施設の結果を比較検討することは、非常に多くのことを学ぶことになり、自施設のRA治療をさらに進化させることにつながります。当センターの特徴は、医師以外のメディカルスタッフの協力、支えによるところが大きいところ、整形外科専門病院のRAセンターであるところで、他施設の工夫を取り入れながら、当院独自の進化を遂げてきたと思います。施設間協力にもいろいろありますが、これからのVUCA(V:Volatility,U:Uncertainty,C:Complexity,A: Ambiguity)な時代に適応していくために、一歩踏み込んで、治療成績などについても学びあえる関係を築いていけたらと思っています。

 

慶友整形外科病院

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