日本リウマチ学会について 日本リウマチ学会について

ワークライフバランス

笠原 亜希子先生

ワークライフバランスを考えていけたら

笠原 亜希子先生

私は、現在卒後12年目で、7歳と4歳の子供を育てながら大学院生として臨床研究を行っています。今回僭越ながらこのような機会を頂きました。現在進行形で仕事と育児に奮闘中の一例としてどなたかの参考になりましたら幸いです。
私は京都府立医科大学を卒業し、初期研修後に母校の膠原病リウマチ科に入局しました。学生時代は志望科ではなかったのですが、研修医時代にローテートする機会があり、長期にわたって患者さんの人生に寄り添える科であることと、免疫学の面白さに惹かれて入局を決めました。その際にはあまり将来の見通しについて特に考えておらず、入局の際も女性が子供を産んでも働きやすそうかなどは全く見ておりませんでした。
その後結婚し、出産するという段になって気付いたのですが、当科では、子育てしながら仕事を続けられた先生が今までいらっしゃらず、私が初めて出産・育児を経て仕事に復帰した例でした。先にキャリアプランのお手本となる先生が居られなかったこともあり、その後のキャリアに関しては、上司である川人先生に相談しながら、手探りで積み重ねていきました。それがかえって、良かったように思います。
入局した後は、専攻医を経て、卒後5年目に第1子を出産しました。その後育児休業を経て、時短勤務の特定専攻医として復帰し、卒後8年目に第2子を出産した後は、夫の赴任に伴い、2回目の育児休業中を京都府の北部で過ごしました。その後、大学院に入学して復帰し、大学院生として臨床研究を行いつつ、リウマチ専門医も取得しまして、大学附属病院でリウマチ・膠原病外来や関節エコー、外病院で一般内科外来などに従事しています。復帰後も専門外来を継続して持たせていただいたので、リウマチ医としてもキャリアを途切れることなく続けられたことはとてもよかったと感じています。
医師として、出産・育児を経て仕事に戻るというのは、もちろん良い面も悪い面もありました。デメリットとしては、やはり臨床の経験を積むべき時期と出産の適齢期が重なっているため、そうしても臨床経験が不足しがちであること、そして自分だけではなく子供の体調不良などが頻発するため仕事を急に休まざるを得ない日があること、また知識を得るための研究会が、夜間や休日であるため参加しにくく、最新の知識を得る場が限られること。(これはコロナ禍でオンライン開催が多くなり、自宅からでも参加できるようなったので大変助かっています。)
もちろんメリットも多くありました。女性の患者さんが圧倒的に多い科で、実際に妊娠・出産・育児、などを経験出来たことで、患者さんの生活をイメージしやすくなり、負荷の程度などが理解しやすくなった、医師として共感しやすくなったと感じました。また、実際に産後授乳姿勢などの負荷で腱鞘炎になっていまいました。腱鞘炎になっただけでもフライパンや重いものを持ったり、子供を抱っこしたりなどの動作が本当に辛く、リウマチ患者さんの辛さの1%程度でも少しは実感できたように思います。
女性医師の働き方に関しては色々な議論があるとことかと思います。もちろん結婚を選択するかどうか、子供を持つかどうかに関しては個々人のライフプランがあるところかと思います。しかし、育児中の女性医師だけではなく、男女問わず様々な立場があると思います。例えば共働きの男性(特に若い世代では多く、配偶者が医療関係者のことも多いです。)また、共働きでなくても核家族化した現代においては、男性パートナーの家事育児への参加が必須な状況が多いと思います。自分自身の健康状態が思わしくなかったり、両親や義両親の介護問題を抱えていたりという人もあると思います。医師の特殊性もあり、負担の分配が難しい部分もあるとおもいますが、子供を持つ女性だけではなく、年齢や男女問わず様々な立場の人それぞれが、その人の望むような働き方が出来たらいいな、と思います。もちろん状況的に難しい点が多いので、あくまで理想ではありますが。
出産・育児を経て仕事量が変わったり、出来なくなったりした業務もありますが、必ずしもトータルしてその経験がマイナスではなく、特にリウマチ医としてはプラスとなっている面も多いと考えています。今後も上司である川人先生や当科のメンバーと話し合いながら当科なりのワークライフバランスを考えていけたらと思います。

笠原 亜希子 略歴

平成22年(2010年)に京都府立医科大学を卒業し、京都第二赤十字病院、京都府立医科大学附属病院にて初期研修を行う。その後平成24年(2012年)4月に京都府立医科大学附属病院膠原病リウマチアレルギー科にて前期専攻医、後期専攻医として勤務し、現在平成30年(2018年)4月より大学院生として臨床研究を行っている。

 
 

川口 洋平先生

キャリア形成とその環境形成における上司の役割

川口 洋平先生

私は2006年に名古屋市立大学を卒業後、関連病院で整形外科の外傷手術を一通り学んだ後、卒後8年目に漠然と大学院に入学しました。当時の名古屋市立大学整形外科の大学院生の教育システムは他大学の基礎教室へ出向し、研究をやらせてもらうというスタンスでした。しかし、私はせっかく大学に戻って来たのだから、“大学で臨床にも関わりながら、基礎研究がしたい”との思いがありました。

そこで当時名古屋市立大学整形外科で唯一molecular biologyを行っていた永谷祐子教授(現:名古屋市立大学医学部附属東部医療センター教授)の研究室のドアを叩いたのが関節リウマチとの出会いでした。

永谷教授は、投薬から手術までをトータルマネジメントするリウマチ整形外科医という多忙な仕事と育児を両立されておりました。ちなみに育児をしながら我々大学院生の指導をするということは、大学でも子育てしているようなものです(笑)。

部下である私も、そのvitalityに負けられないと思うようになり、夜な夜な細胞と向き合い、多くの学会発表を行い、土日は割り切って育児に奔走するという大学院生活を送りました。その甲斐あって、学位取得、現在はリウマチ学会評議員までやらせて頂いております。

女性上司の見習うべき点は、限られた時間の中で仕事を終わらせなければならない故の、要領の良さだと思います。私は永谷教授と出会い、時間の使い方を意識しながら働くようになりました。私のキャリア形成において、女性上司がそのロールモデルとなっています。ロールモデルは、自分で探すものであり、性別にかかわらずキャリア形成の一助になるものです。みなさん、自分のキャリアップにつながる、ロールモデルとなる身近な上司を見つけましょう!!

川口 洋平 略歴

2006年
名古屋市立大学医学部卒業

2006年
豊川市民病院臨床研修医

2010年
国立病院機構静岡医療センター整形外科 医員

2013年
名古屋市立大学病院整形外科 臨床研究医

2018年
名古屋市立大学医学部医学研究科博士課程卒業

2018年
名古屋市立大学グリア細胞生物学 助教

 
 

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