※内容を改訂しました(25/11/04)
※重要情報があれば適宜更新いたします。
膠原病・リウマチの患者さんへ 2025年10月発行 第3版
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)とワクチンの基礎知識
2025年11月4日更新
【目次】
1:COVID-19について(治療中の方へ)
2:新型コロナワクチンについて(考え方と注意点)
1:COVID-19について(治療中の方へ)
Q1−1:免疫抑制薬・生物学的製剤・抗リウマチ薬・ステロイド(グルココルチコイド)を続けても大丈夫?
A:自己判断で中止・減量せず、主治医の指示に従って継続してください。ステロイドはとりわけ投与量が増えるとCOVID-19の発症がしやすくなるとのデータがありますが、他のお薬自体は特別にCOVID-19にかかりやすくなるという確実なデータは現時点で示されていません。一方、年齢・糖尿病・高血圧・慢性腎臓病・心血管疾患・喫煙・COPD・妊娠後期・肥満(特にBMI≥30)、ステロイド内服などは重症化リスクとされています。また、膠原病の活動性が高い時に感染するとCOVID-19が重くなりやすい可能性が報告されており、治療を途切れさせないことが大切です。
基本の感染対策は、①人との距離を保つ、②不織布マスク、③手洗い/アルコール手指消毒です。
症状が出たら:発熱・咳・息苦しさ・強いだるさ・のどの痛み・味覚/嗅覚の異常などがあれば、まず “かかりつけ医” へ電話で相談してください。受診先が分からない場合は、都道府県が公開している『診療・検査医療機関(発熱外来)』一覧から探せます。薬の自己調整はせず、必ず主治医の指示に従ってください。薬剤によって継続したり中止することがありますので、できるだけ早く確認をお願いします。
基本の感染対策は、①人との距離を保つ、②不織布マスク、③手洗い/アルコール手指消毒です。
症状が出たら:発熱・咳・息苦しさ・強いだるさ・のどの痛み・味覚/嗅覚の異常などがあれば、まず “かかりつけ医” へ電話で相談してください。受診先が分からない場合は、都道府県が公開している『診療・検査医療機関(発熱外来)』一覧から探せます。薬の自己調整はせず、必ず主治医の指示に従ってください。薬剤によって継続したり中止することがありますので、できるだけ早く確認をお願いします。
Q1−2:家族に感染者が出たら?
A:厚生労働省『新型コロナウイルスに関するQ&A(一般向け)』の「予防法」等にある濃厚接触の定義や家庭内での注意事項(マスク・換気・食事/寝室の分離・共用品の消毒など)を確認し、かかりつけ医にもご相談ください。
2:新型コロナワクチンについて(考え方と注意点)
Q2−1:接種した方がよい?
A:一律ではなく個別に判断します。高齢・肺の病気・基礎疾患がある方では重症化を防ぐメリットが相対的に大きい場合があります。当該シーズンの株に合わせたワクチンが用意されますので、主治医と相談して要否・時期を決めてください。
Q2−2:ワクチンでリウマチ・膠原病が悪化しませんか?
A:多くの研究で、接種後の悪化(フレア)は全体として少なく、重いフレアは稀と報告されています。不安がある方は病状が安定している時期に接種するのが一般的です。
Q2−3:接種の前後、薬はどうする?
A:基本は継続です。リツキシマブ使用中は接種の時期を調整(例:次回投与の2〜4週間以上前に接種)することがあります。メトトレキサート(MTX)は、病状が安定している場合に限り、接種後1〜2週間だけ休む方法が検討されることもあります。長く休むことは推奨されません。必ず主治医に確認してください。
Q2−4:接種すれば感染しませんか?
A:感染や発症を完全には防げません。ただし重症化を防ぐ効果は示されており、接種後も基本の感染対策は続けてください。また、MTX・アバタセプト・ミコフェノール酸モフェチル・リツキシマブ・シクロホスファミドなどでは抗体の上がり方が弱いことがありますが、効果が全くないわけではありません。主治医と接種のタイミングを相談してください。
Q2−5:追加接種は?
A:当該シーズンのワクチンとご自身の重症化リスク(年齢・病気・お薬・前回接種からの期間・感染歴)を合わせて個別に決めます。主治医と相談してください。
Q2−6:副反応は?
A:注射部位の痛み・腫れ、発熱、だるさ、頭痛、筋肉痛などが出ることがあります。多くは数日で改善します。アレルギー(アナフィラキシー)はまれで、接種後15分は体調の変化に注意します。市販の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン等)を使える場合もありますが、妊娠/授乳・胃の病気・腎機能低下・普段から鎮痛薬を使用している方は、事前に主治医や薬剤師へご相談ください。予防目的で先に解熱鎮痛薬を飲むことは勧められていません。まれに接種約1週間後に腕が赤く腫れる “遅れて出る反応(いわゆるコロナアーム)” が起こることがありますが、多くは数日で良くなります。
参考文献
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- Connolly CM, et al. Flare after two-dose mRNA vaccination in RA. Arthritis Rheumatol. 2022;74(1):28-32.
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- Israel Ministry of Health. Decline in VE against infection and symptomatic illness. 2021-07-05.
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- 厚生労働省. 第75回 予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会 資料1-4-1(2022-01-21).
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- 厚生労働省. 第27回 予防接種・ワクチン分科会 資料(モデルナ追加接種の安全性)(2021-12-23).
- 厚生労働省. 新型コロナワクチンQ&A(一般向け)(2023-05-10).
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