適応外薬に関する最新報告
平成21年8月に日本リウマチ学会より医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬に関する申請を厚生労働省に致しました。それに対して、平成22年4月27日に第3回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議(以下有識者会議)が開催され、有識者会議においてワーキンググループが提示した案が承認されました。その結果、学会・患者会などから要望が出された374品目の内139品目の評価が済み、109品目が医療上の必要性が高いと評価されました。この中にはシクロホスファミド(エンドキサン)、アザチオプリン(アザニン、イムラン)も含まれており、これら109品目についてはすでに5月20日付けで国からの開発要請が当該企業になされました。これを受けて、企業側より公知申請でいくか治験を行うかの開発方針に関する企業見解を含む企業報告書が6月下旬に国に対して提出されました。
当学会に関係するシクロホスファミドに関しては塩野義製薬が、アザチオプリンに関しては田辺三菱製薬とグラクソ・スミスクライン株式会社が、現時点ではそれぞれ公知申請を行う見解を示しています。今後の予定としては、下記の通りです。
1)企業の開発方針を受領した国は、本年7月あるいは8月中にその方針の妥当性につきワーキンググループに評価させ、有識者会議で確定する。
2)本年8月あるいは10月に医薬品部会にて事前評価を行う。
3)本年11月までに申請を行う。
これまで膠原病あるいはリウマチ性疾患の分野では適応外薬が日常臨床において頻用されているにもかかわらず、保険審査上などで問題視されて来ました。また、適応外薬を使用した際に発生する重篤有害事象に対する補償あるいは賠償の問題も未解決でした。しかし、今回の進展でようやくこの問題に解決の目処がつきつつあるようです。今後、塩野義製薬、田辺三菱製薬、グラクソ・スミスクライン株式会社各社の公知申請業務が順調に行われれば、シクロホスファミド、アザチオプリンなどの適応外薬の承認も速やかに行われると思います。日本リウマチ学会としても期待感を持って見守りたいと考えています。
ちなみに、メトトレキサートの公知申請に関しては、ワイス社の後を受けてファイザー社が公知申請作業を継続して行っており、年内の承認が期待されるところです。
平成22年6月30日
一般社団法人日本リウマチ学会
理事長 宮坂 信之