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リウマチ Vol.43 No.4             
変性軟骨の再生とリウマチ P.623 - 623
 
腰野富久
横浜市立大学,甲賀病院,国際医療福祉大学 整形外科
 
Editorial
 関節軟骨は人体では全く地味な存在である。関節痛,関節炎が単に年寄りになれば皆ある程度は罹患するものとあまり問題にされなかった過去の時代には,全く小さな存在であった。実際,軟骨そのものに目が向けられなかったのである。
 関節軟骨は長管骨の骨端を覆い,関節面を形成している。血管はなく,酸素,栄養など軟骨細胞に必要なものは関節液から得ている。圧迫に対してクッションとなりスポンジの様な役割をしている。
 関節軟骨の発生は軟骨が骨端に発生して半球形に成長し,その中には管のようなものもみられ,これが関節液を灌流して軟骨細胞の栄養を補給しているのである。だんだん骨が成長して大きくなり,軟骨も厚みを増すと,このような管では間に合わなくなり,骨の方から血管の侵入を招いて,中央部が石灰化,骨化がはじまり,骨端核となる。骨端核の関節側が将来の関節軟骨articular cartilage,骨の側は将来の骨端成長層(epiphyseal plate, growth zone)となる。哺乳類でも小さい動物,例えばラットの雌などは骨端軟骨に骨端核の発生をみないまま一生を終るものがある。関節軟骨細胞が関節液から酸素,栄養が十分補える状態では骨化は必要ないものと思われる。              
 この関節軟骨も中高年になると3年で約1mm摩耗するといわれる。変形性関節症では関節軟骨は変性しているが,これはよくみると,変性・摩耗と再生の攻め合いであることがわかってきた。決して変性一方向ではない。これには生力学的条件が重要な関係をもつこともわかってきた。その関節の条件とくに力学的条件を改善して過剰な圧迫力が一定の部位のみに加わらないようにすることが重要で,これにより再生の方が優勢になり,かなりきれいに関節軟骨が再生され,これが人間の中高年の変性した関節軟骨でも再生が可能となることがわかってきた1)。
 軟骨の再生に関して種々の報告がなされ,動物実験などで成果があがり,小児の小部分の欠損ならば何とか再生させられるところまできたようである。しかし従来,変形性関節症などの中高年の変性軟骨は再生しないものとされてきた。動物実験(多くは小さい四足歩行の動物で行われている)で得たものが,中高年の人間で全く通用しないのはこれら生力学的条件が全く異なることによるもので,老化が原因ではない。
 民間等で軟骨に効くなどとしていくつかのものが発売されている。はたしてこのまま野放しでよいのであろうか。関節軟骨を正しく評価するには片脚荷重X線像で関節裂隙の幅を正しく計測し,これを専門家の集まる学会で報告され正しく評価され,その批判に耐えなければならない。これからの学会もこれら専門家グループによる効能批判のためのdiscussionの場をもちたいものである。
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