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リウマチ Vol.43 No.2             
21世紀のリウマチ診療と教育研修   −リウマチ学会の役割−   P.171
 
狩野庄吾
自治医科大学看護短期大学
 
会長講演
 21世紀のリウマチ研究は,ゲノム解析の成果を遺伝子工学と組み合わせてリウマチ性疾患の病因・病態解明および新薬開発が飛躍的に進むことが期待される。研究成果交流の場としてのリウマチ学会は,国際リウマチシンポジウムを同時開催し,今回新たに国際ワークショップを追加することにより国際化の方向性を進めている。

 リウマチ学の教育研修について5年前の第42回リウマチ学会総会において故柏崎禎夫教授が「21世紀へ向けてのわが国のリウマチ学」と題した会長講演でその重要性を指摘した。高齢社会の進展,全世界規模で行われている“Bone and Joint Decade”推進運動,卒前医学教育におけるコア・カリキュラムとコア・クラークシップの導入,卒直後臨床研修の必修化,専門医広告の自由化などリウマチ診療とリウマチ学教育研修をとりまく環境が大きく変わろうとしている時期にリウマチ学会がどのような主導的役割を果たすべきかについて考えてみたい。

 わが国は今日世界一の長寿国となった。65歳以上の人口が総人口に占める比率(高齢化率)は,1970年(昭和45年)に7%を超えて高齢化社会の仲間入りをした。1994年(平成6年)に14%を超えて高齢社会に突入し,2007年(平成19年)には21%を超えて超高齢化社会になると予測されている。社会の高齢化に伴って,骨粗鬆症,変形性関節症,関節リウマチなどリウマチ科の診療対象疾患の重要性が高まってきた。日常生活において痛みがなく自由に行動できること,QOLの高い生活をいかに長く保つことができるかが求められている。2002年(平成14年)に発表された「平成12年度国民医療費の概況」をみると筋骨格系及び結合織疾患の医療費は1兆9千億円で国民医療費の約8%を占めている。筋骨格系及び結合織疾患の医療費は,全年齢層では循環器疾患,新生物(がん),呼吸器疾患に次いで第4位であるが,65歳以上の年齢層では循環器疾患,新生物(がん)に次いで第3位を占めている。

 医療の現場におけるリウマチ診療の重要性が,卒前医学教育や卒直後臨床研修のカリキュラムや教育指導体制に正しく反省されているであろうか。残念ながら否といわざるを得ない。リウマチ学を教育研究する講座が独立して設置されている大学は増えつつあるものの少数にとどまっている。リウマチ科が独立した標榜科として設置されている臨床研修病院もなお少数派である。

 卒前医学教育にコア・カリキュラム,必須臨床(診療参加型)実習(コア・クラークシップ)が導入され,臨床研修必修化も2004年(平成16年)4月から導入される予定となっている。これらは将来どの専門診療科に進むにしても必要な基本的医学知識と臨床能力を身に付けることを目指している。超高齢化社会の地域医療のとって重要なリウマチ性疾患に関する診療の基本を卒前医学教育,卒後臨床研修において如何にすべての医学生,臨床研修医に身に付けさせるかを考えるのも,日本リウマチ学会の役割の一つであろうと考える。

 さらに,専門医の広告が解禁され,一定の要件を満たす専門医制度で認定された専門医の広告が可能となった。日本リウマチ学会も法人格を持つ団体となること,5年以上の研修を専門医認定の前提条件とするよう専門医制度を改定することなどの条件を満たせば,リウマチ専門医の広告について厚生労働省の認可を得ることができるようになる。現在この方向に準備が着々と進められている。

 これらの課題について,現状と問題点を会員の皆様と一緒に考えてみたい。
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