リウマチ Vol.41 No.2 indexに戻る

リウマチ Vol.41 No.2             
「慢性関節リウマチを中心とした画像診断の動向」
 
松井宣夫
名古屋市立大学整形外科
 
実地医家のための教育講演―2

 リウマチ性疾患の画像診断には単純X線とMRIが双璧である。単純X線は主として骨変化の描出,MRIは軟部組織の病変に威力を発揮する。

1.各種画像診断法
 リウマチ性疾患において骨・関節および関節周囲軟部組織における各種の画像診断法は(表1)確定診断,病勢の進行,活動性や治療効果の判定や治療法の決定,さらには全身ないしは関節外病変を把握する上から必須の検査法である。慢性関節リウマチ(以下RA)の各種画像診断の意義について述べる。

2.単純X線検査
 RAの画像診断のgold standardはいぜんとして単純X線診断である。経済面からもまず行われる。
 RAのX線変化の特徴は,軟部組織の変化,骨萎縮,骨びらんerosion,骨破壊,関節裂隙狭小化,関節変形である。
 Forrestierらは関節炎(症)のX線学的診断,ABCD'S methodを紹介し,アプローチしやすく表現している。
 A:Alignment  B:Bone mineralization  C:Cartilage space  D:Distribution  S:Soft tissue

3.関節病変の進行
 進行度の判定にはSteinbrockerの4段階stage分類(stageT〜W),Larsenらの6段階grade分類(grade0〜X)がある。後者は前者より細かくstandard filmを参照にして各関節毎にgradeを決定するので客観的評価の点ですぐれている。手指のerosion,関節裂隙狭小化を点数化したSharpの評価等もあり,薬物療法の治療効果等に用いられている。

4.鑑別診断
 RA,OA,Charcot関節,痛風,化膿性関節,SLE,乾癬性関節炎など代表疾患につきX線変化の特徴,鑑別点について示す。

5.CT
 CTはコンピューターにより二次元断層面を表示するもので1970年代に開発された。近年機器の進歩発展はめざましく,関節内や骨内の異常をとらえ,三次元的位置関係表示も明らかとなっている。RAの脊椎・脊髄病変,関節病変の把握と術前planningならびに術後評価の一助となる。
 3D-reconstruction像は視覚的に理解しやすく,いかなる視点からの観察も可能である。今後ロボット手術への発展も可能としている。

6.MRI
 MRIは,組織の持つ↑1↑H(水素核)含量に応じて発生する共鳴信号をコンピューター処理する検査法で無侵襲かつ画期的画像診断法である。RAでは炎症性滑膜,パンヌスや骨軟骨のerosionや破壊をよく描出する。RAの早期診断に有用である。RAのような滑膜病変の検出にはMRIが主力となる。炎症性滑膜やパンヌスと関節液はT1協調画像で,低信号,T2協調で高信号となるため両者,鑑別は困難だった。
 炎症等への集積性を有する常磁性体ガドリニウム(Gd-DTPA)を用いてT1強調画像法で活動性滑膜炎やパンヌスの描出が可能であり,これらは早期リウマチの診断や,治療効果の判定にも応用されている。
 RAの脊椎病変は単純X線像による評価が行われており,診断には限界があった。脳幹部,小脳,脊髄,頭頚部移行部,下位頚椎,上位頚胸部移行部が同時にかつ明瞭に描出し得る点はMRIの最大の利点である。造影MRIによりRAの炎症性肉芽などによる脊髄の圧迫状態が明瞭に描出され,myelogram以上の情報を提供してくれる。RA脊椎病変に対する治療上欠かすことのできない手段である。その他,判定量的MRI診断や骨・関節シンチグラフィー,関節鏡診断についても言及する。

文 献

1) Steinbrocker O, Traeger CH, Batterman RC:Therapeutic evaluation of rheumatoid arthritis. J Am Med Ass 140:659-662, 1949
2) Larsen A et al:Radiographic evaluation of rheumatoid arthritis and related conditions by standard reference films. Acta Radiol Diagn 18:481-491, 1997
3) 松井宣夫 他:慢性関節リウマチの画像診断.リウマチ37:587-599,1997
4) 松井宣夫 他:リウマチ性疾患の画像診断.臨床医26:342-345,2000

表 1 リウマチ性疾患における骨・関節の各種画像診断法

1) 単純X線検査
2) 関節造影法
3) Xeroradiography
4) X線CT
5) RIシンチグラフィー
6) 超音波診断法
7) 核磁気共鳴映像法
8) MD法
9) サーモグラフィー
10) 関節鏡検査

ページトップに戻る
Copyright Japan College of Rheumatology All rights reserved