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リウマチ Vol.41 No.2             
「血 管 炎──温 故 知 新」
 
長澤俊彦
杏林大学学長
 
特別講演

 血管炎とは血管壁の炎症を指す包括的概念である。その原因は多様で,呈する組織病型は限られているが,呈する臨床症候は多彩である(図1)。血管炎を呈する疾患の数は多く,それらの疾患を分類しようとの試みが長年なされてきた。しかし,「分類しようとすればするほど,元の木阿弥」との論説(Lie:Arthritis & Rheum. 1994)もあるように,満足すべき結果は得られていない。

 過去に提唱された数多くの分類を参照にして現時点で最も合理的と思われるのは,図2に示すように(1) 一次性か,二次性か(血管炎を100%生じるか,疾患の症候の一部として生じることがあるのか),(2) 大型,中型,小型血管炎のいずれか(炎症を生じる血管径の主座はどこか),(3) 共通する事象からまとめられるか(免疫複合体型,ANCA関連型,など)の3つの視点を組み合わせた分類であろう。

 血管炎の歴史は,1866年Kussmaul & Maierが結節性動脈周囲炎(PN)の剖検例を報告したことに始まり,図2に示した種々の疾患が報告され,1994年JennetteらがANCA関連血管炎の概念の提唱という経過を【辿】っているが,この間,動物モデルの開発,血管炎の遺伝的背景因子の解明,その他数多くの基礎的研究の進歩があって今日に至っている。

 この血管炎の歴史の歩みの中で,わが国には特筆すべきことが2つある。1つは,Takayasu Arteritis,Kawasaki Arteritisと2人の日本人臨床家の名前が疾患名として国際的に認知されていることである。他の1つは,1973年に難病の調査研究を目的に設立された厚生省特定疾患調査研究班の一つに,血管炎が採択されて「結節性動脈周囲炎と悪性関節リウマチ」研究班(班長塩川名誉教授)として発足し,その後図2の諸疾患が次々と調査研究の対象となり,現在の「難治性血管炎」研究班(橋本教授)に至るまで,わが国の血管炎の基礎と臨床の専門家が協力して横断的な基礎的研究はもちろん,疫学調査,診断と治療指針の作成などに輝かしい成果をあげてきたことである。

 本講演では,血管炎研究の基礎的研究の進歩を踏まえた上で,リウマチ・膠原病の臨床の立場から(1) PNの概念の再構築,(2) ANCA関連血管炎,(3) 膠原病と血管炎,(4) 血管炎と動脈硬化,(5) 血管炎の治療,に焦点を絞って,橋本会長からいただいたテーマの「血管炎―温故知新」を探ることにしたい。

図 1 血管炎の概念

図 2 血管炎の分類

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