リウマチ Vol.40 No.5 index
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リウマチ Vol.40 No.5

            
「膠原病の病像多様性・類似性の起源─モデルマウスに学ぶゲノム病理学─」
 
能 勢 眞 人
愛媛大学病理学第二講座
〈Keywords〉 disease-susceptibility loci:genome analysis:MRL mice:polygenes:polymorphism
 
綜  説


T.は じ め に


 膠原病は,1942年JAMAに,Klemperer Pら↑1)↑により提唱された病理形態学的概念である。当時は,「疾病は特定の臓器に存在する」というMorgagniによる「臓器病理学」の学説が支配的であったが,心臓,腎臓,皮膚などの全身に病変が及ぶ全身性エリテマトーデスや全身性硬化症などをこの学説にあてはめるには多くの問題があった。そんな中で彼らは,結合組織にフィブリノイド変性という共通した組織病理学的所見を呈する疾患に対し,結合組織系の系統的疾患としてcollagen disease(膠原病)という疾患カテゴリーを提唱した。しかしその後,フィブリノイド変性が膠原病に特異的な病変とはいえないこと,また,Burnet Mらにより自己免疫病の概念が提唱されたことなどの歴史的経緯から,現在では,結合組織疾患,リウマチ性疾患,自己免疫疾患の3つのカテゴリーを満足する疾患とされるに至っている。その結果,現在,膠原病の範疇に入る疾患には,Klemperer Pらが最初に挙げた,6疾患,いわゆるビッグ・シックスに加えて,シェーグレン症候群,高安動脈炎など,多岐にわたっている。しかし,これらの各疾患の多くは,その診断の根拠として,主に臨床所見,理学的所見からなる診断基準に従っているのが現状で,それ故,個々の疾患カテゴリーに含まれる患者は病因論的にも極めてヘテロな集団であると考えられる。

 また,1962年,Silver Mら↑2)↑によって重複症候群という概念が提唱されたが,現在,重複症候群の定義としては,「2つ以上の膠原病の特徴ある病態・病像が,重複して発症する疾患群」とされる。しかし,Silverの問題提起以降,重複症候群は疾患エンティティーとしては何ら解決されたとはいえない。一方,血管炎症候群は,1866年にKussmaulとMaierが提唱したperiarteritis nodosaを軸としてその分類に複雑な歴史的変遷を経てきたが↑3)↑,現時点では,1994年のChapel Hill Conferenceの分類↑4)↑が汎用されるに至っている。しかしながら,他の膠原病に合併した血管炎と区別する根拠についての本質的な問題が解決されたとはいえない。

 ここに,これから述べる内容の論点を明確にするために,1枚のスキーム(図1)を提示する。これは横軸に膠原病の各疾患名を,縦軸に膠原病の代表的な臨床症状,病理所見,理学的所見の発症,発現頻度を示すが,各疾患には,これらがさまざまな頻度で発症しているのがわかる。ここでは,こういった病理所見を一括して「膠原病の病像多様性と類似性」と呼ぶ。最近10年間(1987―1996)の日本病理学会剖検輯報による症例集計の結果のうち重複症候群の例を示す(表1)。2つ以上の膠原病の診断名が付けられたものがさまざまな頻度で認められるが,一番数の多いのは,多発性筋炎・皮膚筋炎と全身性硬化症の重複例で32症例あり,中には少数ながら,膠原病を3つ以上合併している症例も認められる。Silverらが重複症候群を提唱する根拠となった慢性関節リウマチと全身性エリテマトーデスとの重複例は13例あったが,このうち6例はシェーグレン症候群を,1例は全身性硬化症をも重複するものであった。

 この「膠原病の病像多様性と類似性」においてその起源に関する問題,すなわち,「膠原病の病像多様性と類似性は,膠原病が独立した疾患の寄せ集めであるためなのか,それとも,何らかの普遍的な機序による必然的結果なのか」という問題は,Klempererの提唱以来,病理学分野において解決しなければならない重要な課題である。前者とするならば,個々の疾患に何か特異的な病像があるはずであり,後者とすれば,その必然性とはいったい何なのか,ということになる。本稿では,われわれがその解決を後者に求めてきた一連の研究について述べる。

U.膠原病のゲノム病理学へのアプローチ

 一般に,疾病は「遺伝要因」と「環境要因」に規定されるといわれてきた。単因子遺伝病はこの10数年間に連鎖解析とそれに続くpositional cloningにより,次々とその原因遺伝子が明らかにされてきたが,いわゆるcommon diseaseについては,環境要因と遺伝要因が複雑に絡んで発症する「多因子病」とされ,その遺伝要因の解析については,従来のメンデル・モルガン式遺伝分析法では限界があるとされてきた。1940年代に「量的遺伝学」が飛躍的な発展を遂げたが,その中でとくに注目すべきなのは,1949年にMather Kが植物遺伝学のなかで提唱した「ポリジーン遺伝」の概念である↑5)↑。この概念は,複数の遺伝子が補足し合ってはじめて量的形質,あるいは閾値効果に規定されて質的形質につながるとするもので,環境因子の影響を受けやすいとされている。さらに,Falconer DSの執筆した「量的遺伝学入門」↑6)↑は,量的遺伝学の確立を確固たるものとした。1980年代に入り,多型マイクロサテライトDNAが発見され,それは「メンデルの分離の法則」に従う有力な遺伝マーカーとして,またたく間にヒト,マウス,ラットの全染色体を対象に網羅的に探索され,その結果,量的遺伝形質を支配する遺伝子座,すなわちQTL(quantitative trait loci)の同定が可能となった↑7)↑。さらに,ヒトゲノム計画の達成を目前に控え,各マーカー位置からの遺伝子探索が容易になってきた。このような状況下に,病像の起源を,個体が持つ遺伝情報のすべてであるトータルゲノムに求める「ゲノム病理学(pathogenomics)」の展開が今や可能となったと考えられる。
 しかし,実際にヒトの膠原病のゲノム解析を行う場合にはいくつかの困難な点がある。1) まず,ポリジーン遺伝とすれば,1つの遺伝子の浸透度が低いこと,2) DNA多型が超多様であること,3) 家族構成の縮小化,である。したがって,ヒトの家系調査に基づく連鎖解析のみで遺伝様式や原因遺伝子を明らかにするのは困難であり,そこで,ヒトと病像相同性を有する,遺伝的に均一で,自由に交配可能な,疾患モデル動物が有用となる。すなわち,このモデル動物の感受性遺伝子座の解析から,直接,あるいはヒト染色体相同領域の探索を経て,ヒト原因遺伝子を決定するという方法である↑8,9)↑。

V.膠原病モデルとしてのMRL/lpr,MRL/gldマウス


 われわれは膠原病モデルとしてMRL/lprマウス,MRL/gldマウスを用いた(表2)。1978年,Murphy Eらによりに樹立されたMRL/lprマウス↑10)↑は,3―4カ月齢になると,lpr遺伝子の表現形質であるリンパ節腫脹に加えて,血管炎,糸球体腎炎,関節炎,唾液腺炎,間質性肺炎などを同一個体に自然発症する。同時に,種々の自己免疫現象が発現する。このような多様な膠原病病像を同一個体に自然発症するマウスは他に類をみない。一方,C3H/HeJマウスの突然変異遺伝子であるgld遺伝子↑11)↑は,lpr遺伝子の対立遺伝子でないにもかかわらず,lpr遺伝子と同様の形質を有するリンパ球の増殖を誘導する↑12)↑。このことから,gld遺伝子がlpr遺伝子のcounter partの関係にあるのではないかとの仮説↑13)↑のもとに,われわれはこのgld遺伝子をMRL系マウスに導入したMRL/gldマウスを,1993年に樹立した↑14)↑。このMRL/gldマウスを剖検すると,期待どおり,MRL/lprマウスとほぼ同様の膠原病病像を発症することが解った↑15)↑。

 MRL/lprマウスの由来であるが,図2に示すこれら4種類の純系マウス間の交配や戻し交配を通じて樹立されたマウスである。平たくいえば,雑種から生まれた一卵性双生児の集団ということになる。したがって,MRL系マウスはこれら4種類のマウスのゲノムのモザイクからなり,それぞれのゲノム比率は計算上図2のようになる。その後,リンパ節腫脹という常染色体劣性遺伝形式をとる突然変異形質を発現したマウスがMRL/lprで,一方gld遺伝子を導入したマウスがMRL/gldである。

 組織病理像では,糸球体腎炎は,管内増殖型や分節性にワイヤーループ型病変を呈するもので,一部には半月体形成性腎炎を発症する個体もある。血管炎は,全身性の肉芽腫性動脈炎で,とくに腎の葉間動脈,小葉間動脈に好発し,血管外膜側に活性化マクロファージの集簇に伴う外弾性板の破壊をinitiationとし,中膜の変性,内弾性板の破壊,内膜肥厚へと進行する。関節炎は,多発性で,関節滑膜局所へのリンパ球,好中球浸潤に伴う滑膜表層細胞の多層化に始まり,滑膜下組織の肉芽性炎症病巣の形成,骨,軟骨組織へのパンヌスの形成に進展する。また,小導管周囲へのリンパ球浸潤に始まる唾液腺炎,涙腺炎をも発症し,腺房組織の破壊,小導管の反応性増殖病巣の形成に進展する。これらは,従来,それぞれヒトのループス腎炎,結節性多発動脈炎,慢性関節リウマチ,シェーグレン症候群のモデルとして幅広く研究され↑16)↑,われわれもまた,これらの病変形成におけるマクロファージの機能異常とマクロファージ機能制御因子の異常の重要性を指摘してきた↑17,18)↑。

W.MRL/lprマウス膠原病の遺伝解析

 MRL/lprマウスが樹立された当時は,これら一連の病態,病像はlpr遺伝子を原因遺伝子とする単一遺伝子疾患と考えられた。1992年,このlpr遺伝子がアポトーシスを誘導するFasの欠損変異であることが長田重一らのグループにより明らかにされた↑19)↑。トランスポゾンの第2イントロンへの挿入による欠損変異である。ついで1994年,gld遺伝子はFas ligandのミスセンス変異であることが明らかにされた↑20)↑。Fas分子は,免疫系では主に活性化T,Bリンパ球に発現し,活性化Tリンパ球のFas ligandの結合によりこれらの細胞にアポトーシスが誘導される。それ故,Fas欠損変異やFas ligandのミスセンス変異はアポトーシス不全を引き起こす。そのため,自己反応性リンパ球の出現を生じ,また免疫応答の収束を妨げて,これらの細胞の持続的な活性化を許す結果,自己免疫病が発症すると説明されてきた↑21)↑。実際われわれは,MRL/gldマウスに抗Fas抗体を投与することですべての膠原病の発症を予防,あるいは治療できたことから↑22)↑,これらの膠原病の多様な病変は,FasとFas ligandの分子間反応の不全によって引き起こされるといえる。

 しかし,極めて重要なことは,「Fas介在性アポトーシス不全を誘導する単一遺伝子変異のみでは,膠原病は発症しない」ということである。というのも,lpr遺伝子を他の系統マウスに導入した,少なくともC3H/lprやB6/lprマウス,またC3H/gldマウスの組織所見を解析した結果,いずれの膠原病病像もほとんど発症していないことを1989年にすでに明らかにしていた↑35)↑(表3)。一方,lpr遺伝子やgld遺伝子を持たないMRLマウスでも1年以上歳をとると,軽微ながらも膠原病病像を発症する。そこでわれわれはFas介在性アポトーシス不全をMRL系マウスの膠原病の「促進要因」として捉え,膠原病の原因遺伝子をMRL系マウスが有する遺伝的背景に求めるに至った。

 まず,この膠原病の背景遺伝子は,単一の遺伝子か,それとも複数の遺伝子群か,という問題である。これに応えるために「背景遺伝子群の再構成」を図った。すなわち,膠原病を発症しないC3H/lpr系マウスとの戻し交配マウス群(N2世代と呼ぶ),あるいは兄妹交配のマウス群(F2世代と呼ぶ)を作出し,これらのマウス間で個々の膠原病病像が遺伝的に解離するか否かを解析する方法である。その遺伝的原理を,図3で,MRL(Mで表示)系とC3H(Cで表示)系マウス間での戻し交配系の場合を例に説明すると,F1世代マウスの生殖細胞では減数分裂の際に各染色体の対合,組み換えが任意に起こり,その結果,配偶子にはMRL系マウスとC3H系マウスのゲノムの種々のモザイクが形成される。仮にMRL系マウスが2つの異なった病像をそれぞれ支配する常染色体劣性遺伝子(AとBで表示)を有するとすると,A遺伝子座とB遺伝子座の間で組み換えが起こった配偶子との交配から生まれたN2世代の個体は,それぞれの遺伝子座のどちらかしかMRL/MRLホモ型にならないので,AとBの病像のどちらかしか発症しないことになる。すなわち,N2世代ではA病像とB病像とが分離して発症する個体が混在して生まれてくることになる。

 その結果,驚くべきことに,個々の膠原病病像が解離して発症することが明らかになった。図4はC3H/lprマウスとの戻し交配の例であるが,糸球体腎炎,血管炎,関節炎,唾液腺炎を単独に発症する個体や,これらを種々の組み合わせで重複して発症する個体が認められた↑14,23)↑。さらに,戻し交配系N2世代マウスから,各兄妹交配世代毎に組織病理学的な選択を行うことで,少なくとも糸球体腎炎を発症せず血管炎のみを発症する系統McH5/lprを樹立することができた↑24)↑。このマウスでは,したがって,血管炎を発症する背景遺伝子が糸球体腎炎のそれから選択的に分離,固定されたことを意味する。一方,MRL/lprマウスでは,従来,血中に増加する抗dsDNA抗体,抗myeloperoxidase抗体が血管炎発症の責任蛋白であるとされてきたが,このMcH5/lprマウスでは,これらの自己抗体は正常マウスレベルであり,したがってこれらの病態形質は血管炎という病理形態形質の発現には関与していないということも,この遺伝的背景の再構成といった方法によって明らかにし得た↑24)↑。

 この時点で,MRL/lprマウスの糸球体腎炎,血管炎,関節炎,唾液腺炎の発症は,実は,個々の膠原病病像に固有の,遺伝的に分離可能な背景遺伝子(感受性遺伝子)の有無によって決まるということが解った。以上のように,1つの遺伝子変異(loss-of-function mutation)があっても,マウスの遺伝的背景によっては発症する病像が異なるという現象は,最近ようやく注目されはじめた。というのも,種々の遺伝子ノックアウトマウスの病像が,実はそのマウスの遺伝的背景によって異なるという事実が数多くみつかってきたからである。

X.膠原病感受性遺伝子座の探索

 ついで,これらの感受性遺伝子の遺伝様式,またその実態を明らかにするために,各病像に関わる遺伝子座をトータルゲノムを対象に染色体上にマッピングした↑25〜29)↑。その原理と方法は,MRL系とC3H系マウス間での戻し交配系を例にとると,F1世代マウスの配偶子には,図3で示したように,MRL系とC3H系マウスゲノムのモザイクが生じる。仮に,MRL系マウスのどこかに常染色体劣性遺伝形式をとる疾病遺伝子があり,その近傍にMRL系マウスとC3H系マウス間で異なる遺伝マーカー(多型マーカー)があると設定すると,この間で組み換えが起こっている配偶子から生じたN2世代のマウスでは,遺伝子マーカーがMRL/MRLホモ型であるにかかわらず非発症であったり,逆にMRL/C3Hヘテロであるにかかわらず発症したりする個体が認められることになる。それ故,この疾病遺伝子の染色体上の位置を同定するには,疾病を発症する個体でMRL/MRLホモ型を示し,かつ発症しない個体ではMRL/C3Hヘテロ型を示すような
,すなわち,疾病遺伝子に極近接するために組み換え頻度が極めて低い遺伝マーカーを見つけ出せばよい。遺伝マーカーには,両系統マウス間でDNAのCAリピート回数が異なるマイクロサテライトをはさみ込むように設定したPCRプライマーセット(多型マイクロサテライトマーカー。すでに染色体位置が明らかにされている)を用いる。その結果,N2世代マウスでこのマーカー遺伝子型がMRL/MRLホモ型かそれともMRL/C3Hヘテロ型かは,このPCR産物を電気泳動し,そのバンドが1本か2本かを検出することにより容易に識別できる。

 まず常染色体の平均10cM断片をカバーする各多型マイクロサテライトマーカーの遺伝子型を決定し,その遺伝子型と,あらかじめ設定した一定のグレード以上の病像を呈した個体数(陽性個体数)とのassociation studyをカイ2乗検定し,その値の高いマーカーがある染色体を選ぶ(ゲノムワイドスクリーニング)↑30)↑。図5に,N2世代マウスの血管炎と関節炎の例を示すが,血管炎では,腎動脈の外弾性板の破壊以上の病像をきたしているものを陽性個体とした場合,D 4 Mit 89という多型マイクロサテライトマーカーの位置でMRL/MRLホモ型でこの病像の発症率が高いことが解る。関節炎では,足関節の滑膜組織の肉芽形成以上の進行性病変を呈するものを陽性個体としたが,D 7 Mit 69の位置でMRL/C3Hヘテロ型の場合にこの病変の発症率が高いことが解る。それ故前者では,MRL/lprマウスでD 4 Mit 89マーカーの近傍に血管炎の発症に感受性を示す劣性遺伝子が,後者では,MRL/lprマウスでD 7 Mit 69マーカーの近傍に関節炎の発症に抵抗性を示す劣性遺伝子が存在することを意味する。

 こうして得られた特定の染色体上のマーカーを基点として,その近傍にある疾病遺伝子にできるだけ近いマーカーを求める(リンケージ解析)。図6は第10染色体上にマップされた唾液腺炎感受性遺伝子座の例であるが,第10染色体上で唾液腺炎の発症と最も高い相関を示す領域(38cMから40cM)を探し当て,これを感受性遺伝子座Asm 1(Autoimmune sialoadenitis in MRL mice 1)とした↑28)↑。この領域と位置的に相同なヒト染色体の領域(マウスーヒトシンテニー)をデーターベースで検索すると,macrophage migration inhibitory factorやintegrin β2などがマップされていることが解る。

 一方,各個体の病像のグレード,あるいはそれから算出したインデックスを用いて,病像を連続した量的形質として数量化することで,量的形質を支配する遺伝子座(QTL)を求めることも可能となる↑31)↑。糸球体腎炎を例にとると,各個体の腎糸球体一個一個の病像をグレード化し,集計して個体毎のインデックスを求め,全検索個体を対象に,各マーカー位置でのオッズ比をlogarismに換算したLODスコアでもって連鎖検定を行う。図7は第4染色体のQTL解析であるが,左がセントロメア側,右がテロメア側で,このようにして得られた2つのピークを示すところが感受性遺伝子座ということになる。われわれはこれらをそれぞれAgnm 1(Autoimmune glomerulonephritis in MRL mice 1),Agnm 2と命名した(Lu L-M et al. in preparation)。

 このようにしてMRL/lprマウスの膠原病の感受性遺伝子座(糸球体腎炎Agnm,血管炎Arvm;Autoimmune renal vasculitis in MRL mice,関節炎Paam;Progressive autoimmune arthritis in MRL mine,唾液腺炎Asm)をマップした(表4)。これからいえることは,1) MRL/lprマウスの各膠原病病像は複数の遺伝子群に支配されていること,2) それらは感受性のみならず抵抗性,また優性のみならず劣性に作用する遺伝子が含まれていること,3) 雄のみあるいは雌のみにおいて作用している遺伝子も存在すること,などが解る。そこでこれから,この遺伝子座のデーターに基づいて膠原病の遺伝様式,感受性遺伝子座の特性について概説したい。

Y.膠原病感受性遺伝子座の特性

 まず,各病像の発症には,複数の遺伝子座の間に「相加性と階層性」があることがわかった。関節炎の例では,Paam 1,2,3の3個の遺伝子座のうち,Paam 1(遺伝子型MRL/MRL),あるいはPaam 2(MRL/C3H)のみではたかだか30%程度の発症率しかなく,Paam 3(MRL/MRL)に至っては,これのみで発症する個体数はゼロであった。しかし,Paam 1とPaam 2とが,あるいはPaam 1とPaam 3とが揃うと発症率は約80%に上昇する。それ故「相加効果」があるといえる。一方,Paam 2とPaam 3とが揃っても,相加効果はみられず,したがってPaam 1は関節炎の発症において他の2つの遺伝子座に対して優位に作用しているといえる(階層性)(Kamogawa J et al. in preparation)。唾液腺炎,血管炎でもこれに相似する現象がみられる↑28,29)↑。これらの結果は,膠原病の病像がMather Kの提唱した「ポリジーン遺伝」の概念に従うことを示すものと考えられる(図8)。すなわち,ある閾値に規定された疾病という量的形質は一個一個の遺伝子のみでは発現しがたく,特定の複数の遺伝子の組み合わせにより相補的にはじめて発現するといえる。

 さらに興味深いのは「病像の臓器組織特異性」である。MRL/lprマウスの肉芽腫性動脈炎は,腎動脈のみならず,大動脈主分枝,四肢の動脈にも発症する。F2世代マウスを対象に大動脈主分枝の血管炎についてのQTL解析を行うと,その領域(Aaom 1;Autoimmune aortitis in MRL mice 1)は第4染色体上の腎臓の血管炎の感受性遺伝子座であるArvm 1を共有したが,テロメア側の遺伝子座Arvm 2ではまったく感受性がみられなかった(Yamada A et al. in preparation)。すなわち,Arvm 2は腎臓の血管炎に特異的であると考えられる。このことは,KussmaulとMaierが最初に報告したperiarteritis nodosaは腎臓に好発するとし,その後,これが全身性に発症するとするpolyarteritis nodosaに修正されるに至ったが,実は宿主の遺伝的背景に規定された一現象であったと推定される。

 次に,膠原病病像の「マスター遺伝子座」が存在する可能性を探ってみると,腎臓の血管炎と糸球体腎炎の感受性遺伝子座は,第4染色体上のセントロメア側とテロメア側の領域でそれぞれ共有していると思われ,さらに,唾液腺炎Asm 2は,テロメア側のものの近傍に位置していた。それ故,膠原病の多様な病像は個々の発現に関わる遺伝子の一部を共有しているものと推定される。

 また,これらのモデルマウスでの感受性遺伝子座がヒトの膠原病のそれと関連するかについては,マウスでの研究成果をヒト疾患の解析に反映させる上で重要な課題である。われわれは関節炎感受性遺伝子座Paam 1を第15染色体上の約20 cMの領域にマップしたが,この領域のヒト染色体相同領域に相当する第8染色体長腕には,1999年塩澤俊一らのグループが,慢性関節リウマチ患者のsib-pairの連鎖解析でマップした感受性遺伝子座↑32)↑があり,これと偶然にも一致した。このことから特定の感受性遺伝子は種のバリヤーを越えることが示唆された。ヒトの場合にはより緻密なマッピングは不可能に近いが,モデルマウスでは,以前,レプチン遺伝子の発見に肥満モデルマウスであるob/obマウスが貢献したごとく,可能である。それ故,近いうちにこの領域に位置する慢性関節リウマチの感受性遺伝子そのものを同定し得ると期待している。

 ここに至りわれわれは,「膠原病の病像多様性,類似性の起源」について以下の仮説を提唱するに至った(図9)。すなわち,膠原病の発症には複数の遺伝子が補足し合ってはじめて病像の発現につながるところのポリジーン遺伝が関与し,そのポリジーンの組み合わせが病像の多様性と類似性を規定する,というものである。MRLモデルマウスでは,図9の中央のCに位置するマスター遺伝子としてlprやgld遺伝子が該当し,B,D,GにはAgnm 1,Arvm 1,Aaom 1あるいはAgnm 2,Arvm 2,Asm 2が該当すると考えらる。

Z.膠原病の候補遺伝子

 これまでにマップした膠原病の遺伝子座に位置する遺伝子のうちで,MRL系とC3H系マウス間で顕著な遺伝子多型を有する遺伝子を「候補遺伝子」とした。その一つは,第5染色体上の56cMにマップされた糸球体腎炎感受性遺伝子座Agnm 3に位置するOpn(オステオポンチン)で,この領域は糸球体腎炎に対し優性感受性を示した。われわれは以前,このオステオポンチンの「構造蛋白」にMRL系マウスとC3H系マウス間で多型が存在することを明らかにしていたが↑33)↑,アミノ酸1個の欠失と,heparin binding siteとCa↑++↑ binding siteを含むアミノ酸9個の置換で,うち6個は立体構造変異を引き起こし得るものであった。これらはオステオポンチン多型蛋白の機能的差異を誘導し得ると考えられた。

 マウスオステオポンチンは,フィブロネクチンなどと同様,細胞接着配列であるRGDモチーフを有し,種々のインテグリンと結合する細胞接着分子である↑34)↑。一方,別途にEta-1としてもクローニングされ,MRL/lprマウスのCD4↑-↑CD8↑-↑T細胞に高度に発現し,マクロファージ存在下でB細胞をポリクローナルに活性化するサイトカインとしての活性を有する↑35)↑。そこでMRL型とC3H型の2種類のオステオポンチン多型蛋白を合成し,それぞれの脾細胞培養系におけるIgG3抗体産生に対する促進能について比較定量すると,その結果,培養上清中に検出されるIgG3抗体量は,MRL型オステオポンチンを加えた場合に有意に高値を示し,また,IgG3 mRNAの発現量も促進されるのがわかった(Miyazaki T et al. in preparation)。それ故,オステオポンチン蛋白多型が糸球体腎炎の感受性を規定していると考えらた。

 もう一つの候補遺伝子としてCD72について述べる。血管炎感受性遺伝子座の一つであるArvm 1は,第4染色体上の約20cMの位置にマップされ,MRL対立遺伝子劣性遺伝様式を示した↑29)↑。この領域は,前述のごとく,糸球体腎炎感受性遺伝子座Agnm 1でもあったが,この領域にCd 72が位置している。まず,MRL系マウスのCD72 mRNAにはC3H系マウスのそれとは明らかに異なるalternative splicingのあることが見出された↑29)↑。すなわちRT-PCRで,図10に示すごとく,exon 3あるいはexon 4を欠失する,2系統間で異なったバンドパターンがみられた。さらにMRL系マウスでは,exon 7からexon 8にかけての塩基配列がC3Hマウスのそれとは異なっていた。すなわち,MRL系では,exon 7に3塩基の挿入とexon 8に21塩基の欠失があった。このexon 8の欠失の理由は,genomic DNAの解析結果から,intron 7/exon 8 junctionのDNA多型(AG->CT)のためにAG splice siteが21塩基分下流側にずれるためであった。

 CD72は主にB細胞に発現するU型膜貫通性蛋白で,細胞内領域に細胞の分化,活性化に対して負のシグナルを誘導するとされるITIMモチーフ(immunoreceptor tyrosine-based inhibition motif)を持っており,CD72ノックアウトマウスではB細胞の抗原刺激に対する増殖,分化が促進するとされている↑36)↑。MRL系マウスのCD72は,ITIMモチーフは保存されているものの,細胞外領域の少なくとも2か所の顕著な変異はCD72の機能的差異を生み出すと推定される。

 では,このような「遺伝子多型の組み合わせ」がどのように病像に関与するのであろうか。図11で説明すると,病像が完成するまでにはさまざまの遺伝子(ここでは1から6)がカスケード反応的に関与するが,遺伝子多型はこのカスケード反応を「量的」に修飾することで「ある閾値を超えたかたちでの病像の発現」を支配していると思われる。すなわち,非発症個体では,3番目の遺伝子の多型がA型であるために2番目から4番目の遺伝子への反応系が抑制される(ブレーキ)。ところが,3番目の遺伝子の多型がB型である場合には抑制されない。ここには,MRL/lprマウスモデルではFasやCd 72が該当すると考えられる。その結果4番目の遺伝子発現量が増強される。一方,5番目の遺伝子多型がB型である場合には,4番目から6番目への反応を促進しないが,A型であると促進する(アクセル)。その結果,最終的に,サイトカイン,抗体など,疾病の発症に直接関与する6番目の遺伝子の発現量が相加的に増強され,疾病の発症につながる。なお,「病態形質」として把握される6番目の遺伝子そのものには,腎炎原性IgG3抗体のように,必ずしも遺伝子多型を有する必要はないといえる。

[.環境因子による膠原病病像の修飾

 われわれは膠原病が,Mather Kが植物遺伝学の分野で提唱したポリジーン遺伝に規定される疾患であるとしたわけであるが,とすれば環境の影響を受けやすいはずである。一方,炎症性サイトカインやウイルスなどは,インターフェロン転写活性化因子IRF-1を誘導し,その結果,IFN遺伝子や種々のIFN誘導遺伝子,細胞増殖遺伝子が活性化する↑45)↑。そこで,われわれは,MRL/lprマウスにこのIRF-1を強制発現させることで,環境因子が膠原病病像を修飾するか否かをシミュレートした結果を示したい。

 われわれは,谷口維紹のグループが作出したC57BL-IRF-1マウス↑38)↑をMRL/lprマウスに繰り返し戻し交配して,トランスジーン以外をできるだけMRL系マウスのゲノムに置き換えたMRL/lpr-IRF-1マウスを作製した。トランスジーンの構成はEμをエンハンサーとして組み込んだヒトIRF-1 genomic DNA全長である。FISHと多型マイクロサテライトマーカーでIRF-1トランスジーンが組み込まれている染色体位置を探り,選択的に戻し交配を重ねて,IRF-1トランスジーンを含むC57BLマウスのゲノムで組み換わっている第4染色体上の領域を7cM幅以下に絞り込んだ。

 これらのマウスを剖検したところ,lpr遺伝子の表現形質であるリンパ節腫脹には差を認めなかったが,驚くべきことに,糸球体腎炎,血管炎,関節炎の発症は顕著に抑制されていた。一方,唾液腺炎,涙腺炎,膵炎などのexocrinopathyはむしろ促進される傾向にあった。組織病理所見では,ほとんどのIRF-1トランスジェニックマウスで,腎糸球体は正常に近いもので,腎血管も,血管周囲にリンパ球の集積があるにかかわらず血管壁の破壊はみられず,関節炎もほぼ完全に抑制されていた。しかしながら唾液腺炎,涙腺炎は全く抑制されずむしろより重篤で,導管上皮増殖巣の出現が顕著であった(Nishihara M et al. in preparation)。

 これらの結果から,「IRF-1の発現は膠原病の病像多様性を修飾する」という結論に至った。IRF-1はおそらく,図12に示すように,特定の膠原病感受性遺伝子の発現,あるいはその後のカスケード反応に関わる遺伝子の発現を選択的に抑制すると考えらる。このことは,膠原病がなぜ経過中にもとの病像を離れて他の病像に移行したりするのかを説明できるひとつの事実である。

\.ゲノム交雑による病像多様性の発現

 MRL系マウスがこのような多様な病像を発症するゲノムを備えている理由は,このマウスがもともと図2に示した4系統のマウスゲノムの「モザイク」であるためと考えられた。そこで各病像の感受性遺伝子座がどの系統に由来するのかを探索したところ,それぞれがLG系とAKR系の2系統に由来していた↑28,29)↑。したがって,ゲノムの交雑が膠原病の病像多様性を規定していると考えられた。

 ところで,LG,AKRマウスなど,実験動物として系統化されたマウスは,お互いに遺伝的相同性が高く,その遺伝的隔たりはたかだか数万年単位であろうと推定される。それ故,人類の歴史上でもヒトゲノムの交雑が膠原病の病像の多様性を十分に引き起こし得たと考えられる。現在まで実験動物として系統化されてきたマウスのほとんどは,ヨーロッパとそこから大航海時代に伝搬した地域に生息するMus musculus domesticus亜種で,わずかにMus musuculus musculusのゲノムが混在しているとされている。MRL系マウスもこれに相当する。一方,Mus musculus musculsとMus musculus castaneusはアジア大陸に生息し,これらの交雑から派生したMus musculus molosinusは日本に生息する野生マウスで,国立遺伝研で樹立された,これに由来するMSM系マウスは,MRLマウスとは約100万年の遺伝的隔たりがある。

 われわれは,MRL/lprマウスとこのMSM系マウスとの戻し交配マウスを作出したところ,その雄マウスの約20%にもとの両系統にはみられない,新たな関節病変が発症することを発見した(Kamogawa J et al. in preparation)。その足関節の組織病理像は,腱,【靱】帯の骨付着部に相当する部位に軟骨細胞がマトリックスを伴って増生しているものであった。この病変の発現はMHCやlpr遺伝子に非拘束性で,トータルゲノム解析結果では,少なくとも第18染色体上に,ヘテロ接合体で感受性を示す遺伝子座がマップされた。すなわち,100万年ぶりのゲノムの出会いが特定の対立遺伝子のヘテロ接合体を形成することにより,新たな病像を生み出したと考えられる。

 以上,これら一連の結果からわれわれは,膠原病の病像多様性・類似性はゲノムの交雑に基づく遺伝子多型の組み合わせに規定される,と結論したい(図13)。言い換えれば,ゲノム交雑は,遺伝子多型を含むポリジーンの種々の組み合わせを生み出し,このことが種々の環境下における生物集団の生存を可能としてきた一方で,病像の多様性を必然的に生み出すことにもなったということになる。

].ま  と  め

 膠原病の病像の多様性と類似性の起源をゲノムに求めるべく,モデルマウスにおいてその遺伝様式,感受性遺伝子を解析した。その結果,

 1. 膠原病の病像は,複数の遺伝子が補足し合ってはじめて量的形質,あるいは閾値効果に規定されて質的形質につながるとされるポリジーン遺伝の形質として把握し得ること
 2. 膠原病の病像の多様性・類似性は,臓器組織特異性も含めて,これらのポリジーンの種々の組み合わせに規定され得ること,また,環境因子により修飾され得ること
 3. 膠原病のポリジーンの少なくともいくつかは,遺伝子の多型そのものであること
 4. ポリジーンの組み合わせを生ぜしむるゲノム交雑は,新たな膠原病病像をも生み出すポテンシャルを有すること
と結論づけることができる。

 モデルマウスのゲノム病理学的なアプローチにより,われわれは膠原病という複雑な病像のしくみを包括的に把握することができたと考える。本稿のはじめに述べた「膠原病の病像多様性と類似性は,膠原病が独立した疾患の寄せ集めであるためなのか,それとも,何らかの普遍的な機序による必然的結果なのか」という問題は,少なくともモデルマウスの解析からすれば,後者であり,ゲノム交雑による必然的結果ということになる。この概念は,今後のヒト染色体相同領域,相同遺伝子の解析を含めて,膠原病の病理発生,個々の疾患カテゴリーの再編,予後判定のための研究における重要な足がかりとなるだろう。
謝辞:本稿は,第89回日本病理学会総会(平成12年4月,大阪)における宿題報告「膠原病の病像多様性・類似性の起源:モデルマウスのゲノム解析によるアプローチ」の原稿をもとに作成したものです。紙面の制約上詳細は省略させていただいた。愛媛大学医学部第二病理教室員,共同研究者はじめ関係者諸氏に深く御礼申し上げます。

文     献

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著者紹介
 1970年 京都府立医大卒業
 1974年 神戸大医学部 助手
 1979年 東北大医学部 助手
 1981年 ウプサラ大,カロリンスカ研究所 客員研究員 1983年 東北大医学部 講師
 1985年 同 助教授
 1996年 愛媛大医学部 教授(現職)
主要研究テーマ:膠原病,自己免疫病の病理学,腎・血管の病理学

表 1 日本病理学会剖検輯報による症例集計(1987―1996)
膠原病の重複

(症例数)全身性エリテマトーデス
(907)慢性関節
リウマチ
(1740)全身性
硬化症
(406)多発性筋炎・
皮膚筋炎
(688)結節性多発動脈炎
(463)シェーグレン症候群
(186)

全身性エリテマトーデス ― 13
0.7% 16
3.9% 11
1.6% 1
0.2% 22
11.8%

慢性関節
リウマチ 13
1.4% ― 20
4.9% 12
1.7% 4
0.8% 31
16.7%

全身性
硬化症 16
1.8% 20
1.1% ― 32
4.7% 2
0.4% 20
10.8%

多発性筋炎・
皮膚筋炎 11
1.2% 12
0.7% 32
7.9% ― 3
0.6% 8
4.3%

結節性多発
動脈炎 1
0.1% 4
0.2% 2
0.5% 3
0.4% ― 1
0.5%

シェーグレン
症候群 22
2.4% 31
1.8% 20
4.9% 8
1.2% 1
0.2% ―

表 2 膠原病モデルマウス
―MRL/lprとMRL/gldマウス―

系統マウスMRL/MpJ-lpr/lpr↑a)↑MRL/MpTn-gld/gld↑b)↑

変異遺伝子 lpr
lymphoproliferation gld(C3H/HeJマウス由来)
generalized lympho-
proliferative disease
病像 血管炎
糸球体腎炎
関節炎
唾液腺炎
間質性肺炎
自己免疫現象 高ガンマグロブリン血症
自己抗体
免疫複合体
サイトカイン異常

 ↑a)↑E Murphy, et al, 1978  ↑b)↑M Nose, et al, 1993

表 3 膠原病の発症における遺伝的背景の重要性

系統リンパ節腫脹↑a)↑膠原病↑b)↑自己免疫現象↑c)↑

MRL/lpr + + +
C3H/lpr + − +
B6/lpr + − +
MRL/gld + + +
C3H/gld + − +
MRL/+ − −(加齢+) −(加齢+)

↑a)↑CD4↑-↑ CD8↑-↑ B220↑+↑ T細胞の集簇
↑b)↑糸球体腎炎,血管炎,関節炎,唾液腺炎など
↑c)↑高ガンマグロブリン血症,自己抗体,免疫複合体,サイトカイン異常

表 4 膠原病の感受性遺伝子座
―MRL/lpr×(MRL/lpr×C3H/lpr)F1, (MRL/lpr×C3H/lpr)F2マウスによる―

病理遺伝子座染色体(cM)MRL対立遺伝子

糸球体腎炎 Agnm 1# 4(10―28) 劣性感受性
Agnm 2# 4(57―65) 劣性感受性
Agnm 3# 5(55―57) 優性感受性

血管炎(腎臓) Arvm 1# 4(13―28) 劣性感受性
Arvm 2# 4(49―69) 劣性感受性
Arvm 3 3(55―61) 劣性抵抗性 雌のみ

関節炎(足関節) Paam 1# 15(12―30) 劣性感受性 雄のみ
Paam 2 7(24―24) 劣性抵抗性
Paam 3 2(44―47) 劣性感受性 雄のみ
Paam 4 1(86―101) 劣性感受性

唾液腺炎(顎下腺) Asm 1# 10(36―45) 劣性感受性
Asm 2# 4(49―49) 劣性感受性 雌のみ
Asm 3# 1(62―67) 劣性感受性
Asm 4 18(21―24) 劣性感受性

 chi-square:P<0.0034  (#P<0.0001)

図 1 膠原病の病態・病理の多様性と類似性

図 2 MRL/lpr,MRL/gldマウスの由来

図 3 交配により病像が分離する例(戻し交配の例)

図 4 膠原病の種々の病像の遺伝的分離
―MRL/lpr×(MRL/lpr×C3H/lpr)F1マウスによる解析―

図 5 病像形質の有無とマーカー遺伝子型とのassociation study
―MRL/lpr×(MRL/lpr×C3H/lpr)F1マウスの場合―

図 6 唾液腺炎感受性遺伝子座のマッピング
―MRL/lpr×(MRL/lpr×C3H/lpr)F1マウスによる―

図 7 糸球体腎炎のquantitative trait loci(QTL)解析
―MRL/lpr×(MRL/lpr×C3H/lpr)F1マウスによる―

図 8 膠原病のポリジーン疾患としての特性
―感受性遺伝子の相加性と階層性―

図 9 膠原病の病像多様性・類似性の起源
―MRLモデルの解析から―

図 10 CD72遺伝子多型とalternative splicing

図 11 遺伝子多型の組み合わせの疾病発症における役割
―病像発現に至るカスケード反応を量的に修飾する―

図 12 環境因子による膠原病の病像多様性の修飾
―MRL/lprマウスにおけるIRF-1強制発現によるシミュレーション―

図 13 膠原病の病像多様性・類似性は,ゲノム交雑に基づく遺伝子多型の組み合わせに規定される


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