リウマチ Vol.40 No.4 indexに戻る

リウマチ Vol.40 No.4

            
「変形性膝関節症の病因・脛骨骨切り術治療と変性軟骨の再生」
 
腰 野 富 久
横浜市立大学整形外科
 
〈Keywords〉 etiology:high tibial osteotomy:osteoarthritic knee:regenerated cartilage:treatments
 
会長講演


T.は じ め に

 変形性関節症とりわけ変形性膝関節症は従来,高齢者の膝痛として(さらに昔にはリウマチなどとして)捉えられ,年寄りになれば皆なるものと片付けられてきた。しかし近年,高齢人口の増加に伴い,いわゆる成人病の予防,治療が進歩すると,それを免れた人は結局,いわゆる“脚・腰が痛くなる"ようになってくる。このようにして膝痛のある高齢者は増加の一途をたどっているのが現状である。従来これら膝痛はもう治らないものとみなされ,一時的ないわゆる「いやし」療法の対象となり,お灸,針,もみ治療,温泉療法などで紛らわしてきたのが,ついこの間までであった。しかし,近代的な医療の光がこの分野にも当たるようになり,その病因の一端が明らかとなり,それに対する医療の手段が見出されるに及んで医療当事者のみならず一般人の見方,考え方も変化してきた。著者が1970年代に変形性膝関節症の手術を始めた頃は,驚異の目でみられ,変形のひどい患者さんに手術の話をすると患者さんが次回より外来に来なくなってしまった。どこへ行ったのだろう。手術をしないで治す(?)所へ行ったのだろうか? またその頃は患者さんの膝周囲にはお灸の跡があったり,またX線像には打ち込まれた針をみる例がきわめて多かった。しかし最近ではお灸の跡のある人は皆無である。単なる「いやし」の医療から,病因治療の方向へ進んだものと思われる。さらには長年の臨床的治療研究の成果から変形性膝関節症の変性した軟骨も再生させることもでき,きわめて理想的に治療し得る疾患であることが証明され,その治療方針に沿って医療を進めることが本道となってきた。
 今回はこの最近の知見も含めて本症の治療と軟骨の再生について述べる。

U.関節軟骨と変性

 関節軟骨の変性を調べるには関節軟骨の表層・深層における生理的特性を調査することが必要となり,以下の実験を試みた。

1.軟骨細胞内のフィブロネクチン量および産生能の調査
 成牛のcarpometacarpal jointの表層軟骨細胞内のフィブロネクチン量はradio-immunoassay法(RIA法)による定量では深層軟骨細胞に比べて少なかった(P<0.05)。また,↑35↑S-methionineの存在下に表層軟骨と深層軟骨の組織培養を行い,フィブロネクチン産生量,およびPHA super-natant(PHAS),interleukin-1β(1L-1β)の刺激によるフィブロネクチン産生量の変化を調査した。フィブロネクチン産生量は表層軟骨細胞の方が深層軟骨細胞に比べて少なかった(P<0.01)。表層軟骨細胞ではフィブロネクチン産生量の変化は少なかったが,深層軟骨細胞では,PHAS刺激により変化が大きく(P<0.05),1L-1β刺激では変化が小さかった(P<0.05)↑1)↑。

2.膝関節軟骨細胞におけるCD44の発現(コラーゲン関節炎マウス)

 コラーゲン関節炎マウスについて感作後4・5・6週において膝関節滑膜表層細胞の増殖を認めた。また,感作後6週でパンヌスの形成と関節軟骨の破壊を認めた。また,感作後6週での関節炎発症率は93.3%(n=15)であった。
 滑膜表層細胞と関節軟骨細胞におけるCD44の発現を認め,それぞれ感作後4週よりも6週の方が陽性数が多かった(P<0.05)(P<0.01)。軟骨細胞におけるCD44の発現も,パンヌス形成や軟骨破壊が生じる前に認められ,CD44がコラーゲン関節炎の関節軟骨変性過程に関与している可能性があると考えられた↑2)↑。

V.病     因

 本症には一次性(特発性)の変形性膝関節症と二次性のそれと2つあるが,後者は外傷・感染など原因のはっきりしたものであり,全体の10.6%を占める↑3)↑。しかし前者の特発性の原因は想像の域を出ていない。
 本症の一次性(特発性)の病因に関しては,松本↑4)↑は下肢の形態より力学的に考察を進め,伊勢亀ら↑5)↑は半月板にその原因を求めている。本邦健常人(青年)の立位膝外側角(femoro-tibial angle, FTA)↑6,7)↑(図1)は男性178.43↑°↑±2.67↑°↑(n=135)(約2↑°↑外反),女性176.43↑°↑±2.81↑°↑(n=179)(約4↑°↑外反)↑8)↑で女性のほうが体格の大きさの割に骨盤が大きい分だけ,より外反位をとる(P<0.01)。それにもかかわらず,内反膝を呈する本症は女性に多く好発する↑3,9,10)↑。また発生率は体重の重い人に高い(とくに疼痛が著明な症例では)。これらのことから一次性膝関節症の原因は,第一に肥満であり,第二に筋力の低下(膝の安定性の低下)である。この両者が相乗して病因となりうることは,これまでに報告してきた所見から十分想定できる↑10)↑。本病患者の体重は同年代の健常人に比べて有意に重く,また大【腿】四頭筋力は同様に,同年代の健常人の平均値より有意に低下している↑10,11)↑。

1.O脚変形(内反膝)
 1) 幼児および小児O脚の追跡
 日本人に圧倒的に多いO脚変形(内反膝)↑12)↑を有する変形性膝関節症患者のO脚はいつからO脚になったかという単純な発想から調査を試みた。
 2歳時の立位膝外側角(femoro-tibial angle, FTA)が195↑°↑―201↑°↑(平均197↑°↑±2↑°↑,17↑°↑内反)の4例6膝を矯正装具療法などを施行せず,2歳より平均12.0±2.1年間(8―14)追跡した結果,全例で自然矯正することなく立位FTAが180↑°↑―184↑°↑(内反膝)に終わった(平均182↑°↑±2↑°↑,2↑°↑内反)。これと同時に観察した2歳時立位FTA183↑°↑―194↑°↑(平均188↑°↑±4↑°↑)の7例12膝を平均5.8±3.4年間(2―11)追跡した結果,立位FTAは平均176↑°↑±1.0↑°↑(174↑°↑―179↑°↑,1↑°↑―6↑°↑外反)であった(中島ら↑13)↑)。このことから,ある程度(FTA195↑°↑)以上のO脚は自然矯正は期待できず,内反膝の成人になることから証明された。
 2) 幼児の早期処女歩行の厳禁
 幼児の処女歩行月齢は矯正装具↑14)↑適応である重度O脚(立位FTA195↑°↑以上)16例32脚では平均10.7±1.0カ月(9―12)であった。これに対し足底板の適応である軽度O脚例(同194↑°↑以下13例26脚)は平均11.8±1.4カ月(10―14)で,前者が処女歩行が早く(P<0.05),乳幼児を早く歩行させることがO脚の原因の一つであることが示唆された↑15)↑。
 3) 変形性膝関節症からの逆追跡
 内反変形の著しい(荷重X線Grade3―5,表1)変形性膝関節症患者の小児期の普通写真を調査した。しかし現在60―70歳の人の小児期は1930―1940年に当たるため,多くは写真を撮影していないか,あっても第二次世界大戦で焼失または紛失しているため入手が極めて困難であった。辛うじて得られたもの12例では全例,小児期にO脚であった↑15)↑(図2)。これにより変形性膝関節症の予防は,まず幼児期のO脚を予防し,小児期にO脚は矯正しておくべきことが示唆された。
 4) 女性に多発
 本症の罹患は女性に多く,外来でも男性の3倍となっている。また手術をしなければならないような中等度以上の症例では女性は男性の20倍である。男性は女性に比べて筋力が強く,また膝関節面が大きい。同体格(同身長)の男女を比較すれば,男性の筋力は女性のそれより大きく,脛骨上端の面積はより広い↑10)↑。

 この点,最近までに行ってきた研究↑10)↑は脛骨上端を楕円とみなし,X線の正面・側面像より脛骨上端の横径,縦径を測定して,面積を計算することができる(図3,表2)。これを各症例について算出し,その面積で体重を除すれば,脛骨上端単位面積当たりの体重が求められ,男2.32±0.40kg/cm↑2↑,女2.51±0.41kg/cm↑2↑となる(表3)。これを比較すると,女性のほうが男性より大きい(P<0.01)。換言すれば女性の方が同一面積当たりの荷重負荷が大きく,これが女性に変形性膝関節症が多発する原因である。また,女性のほうが本症が発症した場合,重症になりやすい。実際,手術適応のある症例数を比較すると,前述のように女性は男性より症例的に多い。

W.脛骨骨切り術による膝内反変形矯正の効果

 高位脛骨骨切り術に関する報告↑7,16〜21)↑から変形性膝関節症で膝の内反変形を矯正して軽度外反位にすると,疼痛寛解し患者の日常生活動作も著しく改善することは明白である(図4)。しかし高位脛骨骨切り術は非常に難しい手術で,良好な手術成績を得る高度な知識と技術を要する。

1.高位脛骨骨切り術後の正座
 東アジアを含めた広くアジア地域では生活習慣から膝の可動域が大きいことが望まれ,これは膝手術後であっても同様である。本邦ではとくに女性には正座が要求される。また回教国ではお祈りのときに正座と同程度の膝屈曲が要求されるので重大である。変形性膝関節症の症状の中で膝可動域の制限は最も重大なADLの制限を来す。変形性膝関節症手術の中で正座を可能とすることができるものは高位脛骨骨切り術だけである(図5)。最近の報告(黒坂↑22)↑)での13膝にさらに3膝加えての16膝では高位脛骨骨切り術後全例正座し,平均正座時間は25分を越えた。術後の最大屈曲(正座位)は155↑°↑±1.39↑°↑となり,術後の除痛,筋力の回復も良好で,日本整形外科学会変形性膝関節症機能評価点は3膝を除いて全例100点であった。術後正座させるには単なる骨切り術のみでなく骨棘切除,膝関節の支帯・関節包の解離,脛骨近位内側の軟部組織の広範解離などを加える必要がある。

2.高位脛骨骨切り術の長期成績
 長期追跡の手術治療例はすでに高齢に達しているため,多くは何らかの内科系疾患などで死亡しているが,追跡して得た症例につき高位脛骨骨切り術後15―27年の長期成績(53症例(男11,女42)75膝,手術時年齢60±6.7歳)を調査した。
 術後の疼痛寛解,歩行能力など日常生活動作の向上は著しく,この状態が15年以上長期にわたって維持されていることがわかった↑23)↑。

 (1) 総合評価(日本整形外科学会変形性膝関節症機能評価点;日整会点数による)は術前56.8±10.5点が,術後5―9年88.7±10.2,術後10―14年88.7±10.1,術後15年以上では81.7±12.5であり,また術後15年以上では総合評価点80点以上のもの48膝,65―79点のもの24膝,50―64点のもの3膝であった。術後に長期間高い総評価点が維持されることが証明された(図4)が,術後15年以上では高齢化のため身体機能の低下とともに,評価点はやや低下する傾向であった。

 (2) 合併症は15年以上経過した75膝の中で,一時的な腓骨神経麻痺が2膝にみられたが,いずれも術後
3―4週で消退し,成績には影響を与えなかった。
 患者の満足度は術後15年以上たっても良好で,わからないと答えた1膝以外はとても満足であった。

 (3) 下肢アライメントは術前では立位膝外側角(femoro-tibial angle,FTA)186↑°↑±6.5↑°↑(約6↑°↑内反),術後15年以上では171↑°↑±7.9↑°↑で,一度正しいアライメント(約10↑°↑外反位)にしたものは長期にわたって変化なく維持された(図5)。術後15年以上の群におけるアライメントごとの日整会点数(前述)による総合評価は立位FTA175↑°↑以上73.3±16.8点,170↑°↑―174↑°↑では84.7±10.2点(175↑°↑以上の群より高得点でP<0.05),165↑°↑―169↑°↑では86.2±8.9点,160↑°↑―164↑°↑では80.5±12.9点,160↑°↑未満77.5±6.5点であった。

X.変性軟骨の修復と再生

1.膝関節症膝関節内の臨床的観察(高位脛骨骨切り術術中,術後)
 変形性膝関節症の変性軟骨の病態は変性・破壊と修復の繰り返しである。内側型変形性膝関節症に高位脛骨骨切り術を施行して,内反変形をやや外反位に矯正したときの膝内側部の変性部位の観察は種々な方法で行われてきた↑16,17,24,25)↑。大【腿】骨内側顆荷重面を中心に観察した結果↑26)↑では,内側型変形性膝関節症73症例(男13,17膝;女60,72膝)89膝(右45,左44)を対象とした。高位脛骨骨切り術時年齢は平均65歳(47―80歳)で,全例手術時に関節軟骨を観察し,また術後3カ月―4.5年(平均24カ月)でY・ブレードプレート抜去時に主に大【腿】骨内顆荷重面の関節軟骨を再観察した。初回手術時の関節軟骨の変性Gradeは表4の基準↑25,26)↑,高位脛骨骨切り術後同じ部位の関節軟骨の修復(再生)のStageは表5の基準を用いた↑17,24,26)↑。変形性膝関節症に関する日整会点数(前述)による総合評価は,各Stageに属する症例群の間で差はみられなかった。高位脛骨骨切り術時の膝関節内とくに大【腿】骨内側顆荷重面は変性Grade2が2膝,変性Grade3が3膝,変性Grade4-aが7膝,変性Grade4-bが32膝,変性Grade4-cが42膝であった。残る3膝は変性と修復が混在して変性Gradingは分類が不能であった(表4)。術後3カ月以上平均2年以上経た内固定抜去時の変性関節軟骨の修復状態は,修復Stage1が1膝,修復Stage2が28膝,修復Stage3(図6)が25膝,修復Stage4が22膝,修復Stage5が7膝であったが,修復がまったくみられないものは4膝であり,残る2膝では修復の程度に関してはっきりした解釈が得られなかった(表5)。立位X線正面像で膝内側の関節裂隙が術後に拡大したのは調査した82膝中54膝(65.8%)であった。この内側関節裂隙の拡大した膝の方が関節軟骨の修復は良好であった(P<0.05)↑26)↑。手術時の関節軟骨変性がGrade4の方がGrade2,Grade3の症例より軟骨再生は良好であった。換言すれば荷重面の関節軟骨が削脱し,骨の露出している症例の方が軟骨の修復は良好であった。

2.変性軟骨から脛骨骨切り術より再生した軟骨のIGF-1とIGF-1mRNA
 成長因子として軟骨細胞の増殖や軟骨其質の合成を促進するInsulin-Like Growth factor-1(以下IGF-1)に着目し,再生軟骨における局在発現様式について調査した。
 対象症例は16人24膝,男性は1例2膝,女性は15例22膝であった。高位脛骨骨切り術時の平均年齢は65歳で,内固定抜去時までの平均観察期間は約15カ月であった。
 再生軟骨におけるIGF-1とIGF-1mRNAの分布についてその陽性細胞数の割合はIGF-1mRNAは浅層で66.7±1.8%,中間層から深層では91.7±3.2%と中間層から深層にかけて陽性細胞の割合が高かった。関節軟骨の深層において細胞の増殖などが活発であることは再生軟骨においても同様であった。またIGF-1については浅層で89.8±2.6%,中間層から深層にかけて90.6±3.5%と全層にわたりほぼ均一に陽性細胞像を認めた↑27)↑。

Y.お わ り に

 今度高齢人口の増加に伴ってますます症例が増加の一途をたどる変形性関節症の中で,とくに多い変形性膝関節症について最近に得られた知見も加えて,病因より治療さらには再生軟骨について概説した。病因,病態,治療,予防に関する研究の今後ますますの発展が期待される。


文     献

1) 林  毅:ウシ関節軟骨における表層および深層軟骨細胞のフィブロネクチン産生能.横浜医学46:49-55,1995
2) Sato MI, Koshino T, Takagi T:CD44 expression on chondrocytes in knees of DBA/1 mice with typeU collagen-inducedarthritis. Clinical and Experimental Rheumatology 17:185-190, 1999
3) 腰野富久:変形性膝関節症の病因,分類と臨床所見.リウマチ25:191-203,1985
4) 松本 淳:変形性膝関節症の病因について.整災外28:113-114,1985
5) 伊勢亀冨士朗,末安 誠,水島斌雄 他:変形性膝関節症の周辺:半月性因子について.臨整外10:303-313,1975
6) Koshino T, Morii T, Wada J:High tibial osteotomy with fixation by a blade plate for medial compartment osteoarthritis of the knee. Clin Orthop North America 20:227-243, 1989
7) 腰野富久:変形性膝関節症の手術的治療(High Tibial Osteotomyについて).日本整形外科学会誌45:1121-1133,1971
8) 腰野富久,高沢晴夫,岡本連三 他:スポーツ選手の膝レ線所見:とくに膝の外反度と膝蓋骨高位について.臨整外9:994-1002,1974
9) 木村史夫,入江柏氏,添田勝教 他:臨床像からみた変形性関節症の病因に関する2,3の考察.東北整災8:280-286,1965
10) 腰野富久:変形性膝関節症の病因,診断と治療.整形外科43:1629-1638,1992
11) 腰野富久,大木田勝子:肥満と整形外科疾患:変形性膝関節症.臨成人病22:429-434,1992
12) 腰野富久:変形性膝関節症の病因:特に遺伝性素因としての内反膝・外反膝.関節外科8:189-196,1989
13) 中島邦晴,腰野富久,斎藤知行 他:長期経過を観察し得た小児O脚変形における立位膝外側角の変化,日本小児整形外科学会雑誌8:4-7,1999.
14) Koshino T:A short leg corrective brace for varus deformity of the knee in young children with rickets. The Knee 1:20-24, 1994
15) 腰野富久:O脚からOAまで:長期追跡からみた変形性膝関節症の発生と骨切り術の効果.日本整形外科学会誌73:S1,1999
16) Koshino T, Tsuchiya K:The effect of high tibial osteotomy on osteoarthritis of the knee:clinical and histological observation. Int Orthop 3:37-45, 1979
17) Koshino T, Morii T, Noyori K:Regeneration of articular cartilage after high tibial osteotomy for medial compartment osteoarthritis of the knee. SICOT '90, XVII World Congress. Sept Montre´al, Canada, 1990
18) Coventry MB, Ilstrup DM, Wallrichs SL:Proximal tibial osteotomy:a critical long-term study of eighty-seven cases. J Bone Joint Surg Am 75:196-201, 1993
19) Hernigou PH, Medevielle D, Debeyre J et al:Proximal tibial osteotomy for osteoarthritis with varus deformity. J Bone Joint Surg Am 69:332-354, 1987
20) 腰野富久,森井孝道:変形性膝関節症の病型分類と高位脛骨骨切り術,術後9年以上の長期成績からみた各手術法の適応.整災外29:151-159,1986
21) 安田和則,青島喜満,冨山有一 他:内側型変形性膝関節症に対する高位脛骨骨切り術の長期成績:術後10年以上経過例の検討.臨整外25:3-10,1990
22) 黒坂 望,腰野富久,斎藤知行 他:正座可能とする高位脛骨骨切り術の症例の選択と手術手技.第48回東日本整形災害外科学会.1999年9月,横浜
23) 腰野富久,斎藤知行,中島邦晴 他:変形性膝関節症に対する高位脛骨骨切り術術後15年以上の長期成績.日本整形外科学会雑誌70:826-832,1996
24) 腰野富久:膝蓋・大【腿】関節障害の病態と治療.日関外誌6:173-180,1987
25) Koshino T, Machida J:Grading system of articlar cartilage degeneration in osteoarthritis of the knee. Bull Hosp Jt Dis 53:25-28, 1993
26) 腰野富久:高位脛骨骨切り術における27年間の術式の改良と成績とくに力学的,X線学的,病理学的評価.日本整形外科学会誌69:S640,1995
27) 安羅有紀,腰野富久,斉藤知行 他:変形性膝関節症に対する高位脛骨骨切り術後の再生軟骨における成長因子IGF-1の遺伝子の発現の頻度.日本整形外科学会誌73:S1606,1999

表 1 変形性膝関節症のGrade

GradeX線所見(立位X線正面像による)

0 正 常
1 骨硬化像または骨棘
2 関節裂隙の狭小化(3mm未満)
3 関節裂隙の閉鎖または亜脱臼↑*↑
4 荷重面の摩耗または欠損(5mm未満)
5 荷重面の摩耗または欠損(5mm以上)

↑*↑亜脱臼とは,立位正面X線像で脛骨関節面内側端が大【腿】骨関節面内側端より5mm以上外側へ偏位しているものをいう(ただし,骨棘は除外して測定する)。

表 2 脛骨関節の面積↑*10)↑

膝数面   積

男 180 27.4± 3.0
(19.5―37.6)
変形性膝関節症群 P<0.01
女 632 21.5± 2.1
(15.7―31.1)

男 54 27.9± 3.2
(22.5―36.5)
対照群 P<0.01
女 134 21.7± 2.1
(17.4―28.1)

↑*↑1

4π・A・B・0.8↑**↑(A:横径,B:縦径)
↑**↑0.8はX線像の拡大率の補正

表 3 単位面積当たりの体重↑*10)↑

膝数W/1

4π・A・B・0.8

男 149 2.32±0.40
(1.51―3.52)
変形性膝関節症群 P<0.01
女 491 2.51±0.41
(1.60―3.96)

男 42 2.39±0.33
(1.95―3.46)
対照群 NS
女 108 2.47±0.38
(1.73―3.62)

↑*↑体重(Wkg)/1

4π・A・B・0.8(cm↑2↑)

表 4 軟骨変性の分布↑25)↑

Grade 0: 正常0膝
1: 黄色変性0 
2: 不整と軟化2 
3: 線維化と摩耗3 
4-a: びらん7 
4-b: 骨露出を伴う潰瘍32 
4-c: 象牙化42 
5-a: 骨破壊(深さ5mm未満)0 
5-b: 骨破壊(深さ5mm以上)0 
変性と修復の混在↑*↑3 

計89 

 ↑*↑一部,再生・修復があり,分類に入らないもの

表 5 変性軟骨修復の分類↑24)↑

Stage 0:修復再生なし4膝
1:ピンク色と黄色のフィブリレーション1 
2:島状に散在する白色のフィブリレーション28 
3:表面を部分的に被覆する白色のフィブリレーション25 
4:全体を覆う白色線維軟骨の過成長22 
5:全体を覆う白色線維軟骨の平滑化7 
  判定不能↑*↑2 

計 89 

↑*↑初回の高位脛骨骨切り術時の軟骨変性の病態が“変性と修復の混在”など不詳のため軟骨修復の分類が判定不能なもの

図 1 膝外側角(femoro-tibial angle, FTA)↑7)↑
膝正面X線像で大【腿】骨軸と脛骨軸の交点の外側の角を測定する。通常は立位で撮影したものについて計測する。

図 2 両膝変形性関節症(62歳,女性)
a:右立位正面X線像
b:左立位正面X線像。著しい膝痛と内反変形で来院したが,両膝とも内側関節裂隙の閉鎖と摩損を認め(荷重X線Grade4)脛骨は大【腿】骨に対して著しい内反位をとる。両膝とも高位脛骨骨切り術を施行した。
c:両下肢の普通写真(来院の1年前)。両膝とも著しいO脚を呈する。肥満も認められる。
d:両下肢の普通写真(患者が5歳時に撮影されたもの,A)。来院の57年前の普通写真にて,両膝のO脚を認め,隣りの子供Bに比べて下肢の内反もみられる。


図 3 脛骨上端関節面シェーマ↑10)↑
脛骨上端関節面はほぼ楕円形を呈し,横径Aおよび縦径Bを求めることにより,面積S=A・B・1
4πで求められる。X線像で計測する場合は,拡大率(0.9×0.9)を乗ずる。

図 4 変形性膝関節症,内側型↑3)↑(70歳,男性,右)
a:立位膝正面像(術前)。右膝痛著しく500m以下の歩行制限,階段の昇降困難であった。膝内側間接裂隙の閉鎖とその周囲の骨硬化像を認め(荷重X線Grade3),内反膝を呈し,立位膝外側角(FTA)は183↑°↑であった。1970年11月12日に高位脛骨骨切り術を施行し,内反変形を矯正した。変形性膝関節症に対して高位脛骨外反骨切り術を多数例に組織的に施行した,本邦第1例である。
b:立位膝正面像(術後5年)。術後経過良好にて,立位FTAは172↑°↑と良好に保たれた。この後術後10年の追跡調査でも疼痛消失し歩行距離制限なく,階段昇降能増強し,膝可動域は0―142↑°↑で術前と同様であった。日整会点数による総合評価は90点であった。

図 5 変形性膝関節症,内側型↑3)↑(64歳,女性,左)
a:立位膝正面像(術前)。左膝痛,階段昇降,歩行障害著しく,O脚が著しくなった。膝内側に関節裂隙の狭小化,その周囲に骨硬化像を認め(荷重X線Grade2),内反膝を呈する。立位膝外側角(FTA)は184↑°↑で,高位脛骨骨切り術にて内反変形を矯正した。
b:立位膝正面像(術後15年)。膝痛まったく消失し,歩行能,階段の昇降能とも著しく増強した。
c:立位膝側面像
d:正座位膝側面像。正座も可能であり,患者のADL,QOLとも増強し,日整会点数による総合評価は100点であった。


図 6 左膝関節,大【腿】骨内側顆荷重面(女性)↑26)↑
変形性膝関節症,内側型↑3)↑に対し高位脛骨骨切り施を施行して,内反変形を矯正して23カ月後の内固定材摘出時の関節内所見である。上記骨切り術時には軟骨変性Grade4-cで,大【腿】骨内側顆荷重面には軟骨がまったくなく,骨の露出を認めた。現在は上方の部分(A)に白色の再生軟骨を認め,荷重面の約4分の1を覆っている(Stage3)。しかしまだ下方部分(B)には骨の露出をみる。

 

ページトップに戻る
Copyright Japan College of Rheumatology All rights reserved