慢性関節リウマチ(RA)の胃粘膜傷害は,薬物治療上極めて重要な課題である。その発症機序としていくつかの要因があげられているが,原疾患に特異的というよりは薬剤とくに非ステロイド抗炎症薬(NSAID)が主要因子と考えられている。
NSAIDは抗炎症・鎮痛・解熱作用のほか血小板機能抑制作用を有するため,リウマチ性疾患をはじめ心・血管系疾患の治療薬として広範に使用されている薬剤である。
本邦で実施されたNSAIDによる上部消化管傷害に関する大規模な疫学調査によれば,RA患者の胃潰瘍有病率は15.5%であり,一般母集団の2.2〜4.3%に比べて有意に高率である実態が明らかにされた。とくに胃潰瘍患者の41.3%が無症候性であったことから,RAの日常診療においては胃症状の有無にかかわらず,常に胃潰瘍に注意しながら診療に当たらねばならにことを示しているものと考えられた。
一方,本調査においては抗潰瘍薬を予防的に投与した群および未投与群について,胃潰瘍の有病率を検討した結果,有意差は認められなかった。すなわち,抗潰瘍薬の予防的効果については明らかにしえなかった。
アメリカ・リウマチ学会(ACR)によるRA治療ガイドラインによれば,NSAID起因性胃潰瘍の発症機序が内因性プロスタグランジン(PG)生成抑制にあるとして,PGの補充すなわちPGE1誘導体の予防的投与が推奨されている。
さらに,最近では選択的COX-2阻害薬が相次いで開発され,今後のRAの治療薬として注目されている。本邦では現在臨床試験の段階であるが,欧米では既に広く使用されていることから,今回はそれらの最新の知見を中心に胃粘膜傷害の面から本剤の有用性について検討し,今後の胃潰瘍対策に寄与したい。 |