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リウマチ Vol.40 No.2

            
「変形性膝関節症の治療と変性軟骨の再生」
 
腰 野 富 久
横浜市立大学整形外科
会長講演

 変形性膝関節症の治療には病因,誘因,risk factorに対する治療と対症療法がある。今回は前者に的をしぼり,また変形性膝関節症の中で大部分を占める一次性(特発性)のものに対する予防および治療を概説する。

1.誘因,risk factorに対する処置
 O脚などの,変形,肥満,加齢,筋力低下などに対する考慮が必要である。
 O脚は一度成立してしまえば,学童期以後は手術以外での治療は期待できない。
 5歳以前の乳幼児期に短下肢矯正装具で治療してO脚などの変形を矯正しておくことが必要である。また,中高年では膝装具の着用で疼痛の軽減と機能の改善が得られる。減量は最も重要な保存的治療の一つであるが,実行するには最も難しく多くは期待できない。大【腿】四頭筋訓練(膝伸屈位下肢挙上訓練)を毎日励行するよう指導することは膝装具と同様に最も効果的な治療である。消炎剤,筋弛緩剤は疼痛,腫張の著しい症例に処方される。

2.観血的治療
 1) 高位脛骨骨切り術(high tibial osteotomy)
 病変が高度になるに従って,膝内側の関節軟骨の変性が著しくなり,軟骨はしだいに摩減し,関節裂隙は狭くなり,内側部への荷重圧は増大する。大【腿】骨内側顆関節面の骨皮質の変性と摩滅はさらにひどくなり,変形はさらに増大して,ここに悪循環が繰り返される。このような症例の変形を矯正し,内側関節面に加わる荷重を外側のより健康な側に移動させ,内側の病変部の修復を促進させることがこの手術法の目的である。

3.高位脛骨骨切り術後15〜27年の成績
 (53症例(男11,女42)75膝,手術時年齢60±6.7歳)
 総合評価(日整会点数)は術前56.8±10.5点が,術後5〜9年88.7±10.2,術後10〜14年88.7±12.5以上では総合評価点80点以上のもの48膝,65-79点のもの24膝,50-64点のもの3膝であった。

4.変性軟骨の再生
 高位脛骨骨切り術施行して内反変形を矯正し,術後2年目に膝関節内を観察した112症例142膝では関節軟骨の再生は著明で,骨切り術時に変性の著しかったGrade 4,Grade 5の膝の方が再生は旺盛であった。
 軟骨再生はピンク色の線維性組織が潰瘍面を覆い,術後半年を過ぎると,白色の再生軟骨が骨露出部に点状に出現する。術後1年をすぎると白色再生軟骨は島状に拡大する(以上StageT)。術後2年でほぼ全潰瘍面を覆い,表面にfibrillationを伴い,さらに厚く過成長する。これが平滑化して白い再生関節面が完成する(以上StageU)。この再生軟骨は軟骨細胞を含む一部硝子化した線維軟骨である。内反変形の矯正が良好なほどstageが進み,膝内側関節裂隙の拡大と相関した(p<0.05)。
 
  2) 人工膝関節片側置換術(unicompartmental knee replacement)

 本症は内側部に骨破壊の限局する場合が多いので,unicompartmental型人工関節による片側置換術が適応となる症例もある。これは後療法期間も短く,除痛効果も確実であるなど長所が多い。適応は脛骨骨切り術と同様であるが,症例は65歳以上で外反強制にて外反位のとれる膝が望ましい。

 3) 人工膝関節全置換術(total knee replacement)

 変形性膝関節症のうち内側部,外側部ともに変性高度な内側・外側型,または全型の症例に適応がある。
 変形性膝関節症患者は慢性関節リウマチ患者に比べて運動量が大きいので,looseningを起こしやすいことを考慮し,適応は人工関節の耐久性の問題もあるので,関節面の破壊高度で,70歳以上の症例に厳選すべきである。変形性膝関節症の型分類による選択では,骨の存在は無視し,関節裂隙の狭小化(関節面の軟骨変性)を基準に内側・外側型,および全型を選ぶべきである。
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