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リウマチ専門医対談

リウマチ医の教育と未来

 

【中村】 リウマチ膠原病科は特定の臓器を対象としていないので、医学生、研修医にはなじみが薄いと思いますが、関節リウマチの罹病率は0.5-1%、変形性関節症にいたっては、中高年の30~40%と頻度の高い疾患を扱っています。また、SLEなどの膠原病は、免疫系を含め全身の諸臓器が侵されるため、専門医でなければなかなか手を出しにくい疾患です。そのため、現在、どこの医療施設でもリウマチ膠原病の専門医(以下リウマチ専門医)が望まれています。リウマチ専門医には大きくわけて内科系の先生と整形外科系の先生がおられるわけですが、今回はそれぞれの中から、最前線で診療・後輩の教育にあたっている順天堂大学の松下雅和先生(内科)と東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターの岩本卓士先生(整形外科)のお二方に集まっていただきました。
現在、大学で研修を行っている研修医の中で、リウマチ膠原病を志望している方は少ないのではないか、という印象がありますがいかがですか?
最初に、リウマチ医を志した動機を、まず松下先生からお願いします。

【松下】 私が膠原病・リウマチ内科を入局先と決めたのは、研修が終わる直前でした。大学を卒業する以前から将来の専攻科目を決めている仲間もいましたが、私は漠然と内科系に進むだろうという考えのみで、具体的な診療科を決めるには至っておりませんでした。当時、私が所属していた大学病院では、将来的に内科系を希望するなら内科研修医、外科系の診療科を専攻するのであれば、外科研修医と大きく分かれていました。私は、内科を中心とした研修を行いながら将来の専攻する診療科を決めようと考えていました。

【中村】 今の新臨床研修医制度が始まる前ですよね。

【松下】 現在の新臨床研修制度の前です。私どもの大学では、診療科は主に臓器別に分かれております。内科に関して例をあげると、循環器内科や呼吸器内科、消化器内科、腎臓内科などの8つの科と総合診療科が存在します。内科研修医はすべての診療科を各科3カ月ずつ、2年間かけてラウンドします。研修の全期間は3年間で、3年目はいわゆる他科研修となります。私が膠原病・リウマチ内科をラウンドしたのは研修医2年目の夏でした。担当した患者さんは、何度も入退院を繰り返しており、かつ入院期間も長期にわたっている方が多かった印象があります。さらに治療方針が決まるまで、様々な検査と時間を要するうえ、膠原病に対しては有効であると思われる治療も感染症などには有用ではないなど、非常に難しい場面に何度も遭遇しました。このような状況を自分の力で何とかしてあげたいという気持ちが強くなり、すべての研修が終わる頃、膠原病・リウマチ内科を自分の専門にしようと考えました。

【中村】 ほかの科は、だいたい臓器別に分かれていますけれど、リウマチ膠原病科は全身を診なければいけないのが特徴ですね。

【松下】 どの診療科も全身に目を向けることは必要だと思いますが、特に膠原病の診療においては幅広い知識が要求されると思います。

【中村】 病気が循環器だったら、心臓だけを診ていればいい、腎臓では腎臓だけ診ていればいいというだけではなくて、いろいろな臓器を診なければいけない。病気も非常に複雑ですから、一般の開業医や、一般病院の先生方だと手に負えないという患者さんがたくさんいるのではないでしょうか。

【松下】 そうですね。病状が安定していても、膠原病を基礎疾患に有しているという理由のみで診療を断られてしまう方もいらっしゃるようです。軽度の感冒様症状であっても我々の病院を受診される方が、多くおります。

【中村】 そういうのもやりがいですね、先生。

【松下】 その通りだと思います。むしろ私どもは必要とされているのだと実感できる瞬間でもあり、やりがいを感じることができます。

【中村】 どこに行っても頼られるということはありますね。ありがとうございました。
それでは、岩本先生はいかがでしょうか。岩本先生は整形外科ですから、最初は整形外科にお世話になったということですね。

【岩本】 僕は平成12年卒ですので、卒業すると同時に、何科にするのかを決めなければいけませんでした。自分はとにかく外科系に行きたくて、その中でも機能回復できる科ということで整形外科に来ました。約5年間は、一般の整形外科で、けがや加齢性による病気を治療しました。正直に言いますと、自分からリウマチ医を志したというよりも、初めは教授から「リウマチの研究をしてみないか」ということで機会をいただきました。
自分としては、リウマチはどちらかと言うと、整形外科にとっては難しい病気というイメージがありました。おそらく大半の整形外科医はそうだと思います。
研究する機会をいただいて、研究と同時に、外来診療や手術にも携わっているうちに、リウマチは大変興味深い疾患であると感じました。先ほど松下先生もおっしゃっていましたが、リウマチは非常に大変な病気ですし、若い方でも機能的に非常に大きな問題が生じることがあります。それが薬物療法と手術療法のコンビネーションにより劇的に改善することに非常にやりがいを感じました。研究期間が終わってからも引き続きリウマチ診療に携わりたいという思いから、現在も続いています。

【中村】 機能回復という観点からいえば、関節リウマチの場合、いろいろな関節が侵されますから、やりがいも数倍あるという感じでしょうか。

【岩本】 難しさも、やりがいもかなりあります。

【中村】 難しいでしょうね。変形性関節症などでは、関節が多くても1つ、2つぐらいですが、リウマチの場合は3つ、4つ、あるいはもっと手術しなければいけない場合もあります。難しさとやりがいを感じて、先生方はリウマチを志したということでよろしいでしょうか。

次の質問に移ります。リウマチ医はどのような生活を送っているのか、お話ししていただきたいと思います。例えば、救命救急ですと、毎日、朝から晩まで、当直もあるというような生活です。リウマチ医は一体どういう生活をするのか、多分、一般の先生方、研修医、学生さんには分からないところも多いと思います松下先生、何かひと言お願いできますか。

【松下】 リウマチ医の生活と一言でくくるのは非常に難しいと思いますが、総合病院において主に病棟診療に従事している先生の生活についてお答えさせていただこうと思います。先程、救急救命の話がありましたが、関節リウマチの患者さんも決して急変がないわけではありません。関節リウマチは関節のみが病変部位ではなく、肺や腎臓をはじめ多臓器に合併症が見られる疾患です。特に入院されている方は、決して状態が良いとは言えず、急に様態が変化し、救命救急に関わる処置が要求されることもあります。しかし病状が落ち着いているときは、皆でディスカッションをしたり関連した文献に目を通したりなど、考える時間を持つこともできます。分からないことはその場で解決、それが無理であればその日のうちに答えを導き出すという診療を心掛けています。このように患者さんの様態が急変した時は、忙しいという状況となりますが、安定しているときは余裕をもって考える時間が持てます。プライベートに利用する時間も作りやすい診療科だと思います。

【中村】 最近は、リウマチ救急を提唱している先生もいらっしゃいます。膠原病の中には生命にかかわるような病態の方も、本当にお亡くなりになる方もいらっしゃいますので、救急対応と、じっくり考えて治療する、その両方ができるということですね。

【松下】 まさにその通りだと思います。これは科を問わず言えることだと思いますが、特に我々の分野はその差が大きいといと感じます、じっくり考えられる時間もあれば、考えている間もなく手を動かさないといけない場面も多々あります。

【中村】 一方では、病状が落ち着いていれば、比較的ゆっくりできるということですね。

【松下】 そうです。臨床的なことや基礎的なことなどに関して、じっくりと考察をする時間をとることも可能です。

【中村】 その時間を利用して研究もできるということですね。
岩本先生はいかがでしょうか。

【岩本】 そういった意味での内科的な救急というか緊急事態ももちろんあるのですが、それに関しては、松下先生がおっしゃったとおりです。われわれ整形外科の分野に限って言えば、基本的に救急が結構多くあります。たとえば、救急外傷、交通外傷や労働災害などで夜間に呼ばれたり、緊急手術があります。
リウマチ整形外科に関して言えば、慢性に関節の破壊が進行するものなので、緊急の事態というよりは、基本的には計画的に手術をすることのほうが多いですね。現在、大学でも9割以上は予定手術です。整形外科の中で見れば、緊急事態、救急が少ない科だと言えると思います。 ですので、そういった夜間の救急などに呼ばれるのが苦手という方には向いているのではないかと思います。

【中村】 じっくり計画を立てて手術ができるということですね。しかも、難しい手術を、ジグソーパズルのように組み立てながらという面白みですね。

【岩本】 そうですね。一つ一つの手術は、通常の整形外科の手術よりも、僕は難しいと思います。関節の変形の程度はかなりのものがあります。ただ緊急事態ということに関して言えば、手術後のトラブル、合併症などありますが、救急の手術は少ないと思います。

【中村】 では少し話題を変えさせてください。先生方の私生活では、何か趣味などをお持ちでしょうか。

【岩本】 趣味と言える趣味はないのですが、強いて言えば、最近子どもが生まれたので、子どもと過ごす時間が作りやすいことは私にあっています。

【中村】 松下先生はどうですか。内科系で、時々重症の方もいらっしゃるということですが、趣味など何かおありでしょうか。

【松下】 患者さんの病状が落ち着いているときは、早く仕事を終えることも可能です。私どもの勤務先は幸いにして医局員が多く、皆で集まりスポーツなどを楽しむこともあります。個人的にはカメラを趣味の一つにしておりますので、学会などで遠方に出かけた時は、空いている時間を利用して写真撮影を楽しむこともあります。

【中村】 ぜひ、作品を見せてください。
さて、先生方は、実際研修医を指導されていらっしゃいますね。初期研修医の生活について、簡単にお話ししていただけますか。

【松下】 私たちの教室では、研修医は指導医と1対1のペアになり、充実した研修ができるように心掛けています。将来の進路が他の科であっても役立つよう、膠原病に関連したことのみではなく、自分が持っている一般内科学的な知識を可能な限り教える努力をしております。具体的な研修医の生活は、遅くとも朝9時には出勤し、日中は指導医とともに入院患者さんの診察にあたります。一段落したら個々の症例に関して指導医とともに考察し、診療グループや教授とともに週1-2回は病棟回診をする機会を設けております。日中は、食事以外はなかなか自由な時間はないと思います。しかし患者さんの様態が落ち着いている場合は、適度な時間に仕事を終えることも可能で、休日も本来の意味での休日にすることが可能です。しかし、現在の研修制度ではラウンド期間が短いため、なるべく多くの時間を臨床に費やし、リウマチ学の奥深さを知っていただきたいと考えております。

【中村】 ラウンド期間はだいたいどのくらいですか。

【松下】 だいたい1カ月か2カ月ですね。

【中村】 もう少し長期戦が必要ですよね。

【松下】 是非とも研修期間を長くして頂きたいです。そしてその科の特徴をより深く知ってもらいたいと思います。当科の例をあげれば関節リウマチに対する生物学的製剤でしょうか。この療法は、関節リウマチの一般的な経過や病態を良く理解したうえで投与する場合と、そうでない場合では、結果は同じであっても、医師としてのやりがいが異なってくると思います。漫然と投与するのではなく、病態や作用機序をしっかり理解したうえで使用し、効果を実感できればリマチ診療の魅力が増すと思います。このような観点からも研修期間が短いことは非常に残念です。

【中村】 岩本先生はいかがでしょうか。後期研修医でお話をお願い致します。

【岩本】 後期研修医になりますと、ある程度整形外科と科の専門を決めている研修医になります。まず、基本的な手術に関して、手術の助手から始めて、なるべく手術に入ってもらいます。あとは周術期の管理を学んでもらいます。やはりリウマチの患者さんは、手術に際して、肺や呼吸器合併症、首が悪いために全身麻酔が難しいといった問題、また手術中に体勢を取ることが難しいなど、リウマチ患者さん特有の問題が非常にありますので、そういった注意点を見逃さないように十分注意して学んでもらっています。
次第に慣れてきた段階で、整形専門医の指導のもとに、実際に手術も行ってもらっています。

【中村】 全身の疾患を合併している点が、普通の整形の患者さんと違うところですよね。通常の整形の患者さんは、だいたい元気な方が多いですからね。

【岩本】 そうですね、何の問題もなく手術できる方も多いのですが、関節リウマチの場合、手術すること自体非常にリスクが高い患者さんもいらっしゃいます。

【中村】 感染などにも気を付けないといけないですね。
松下先生は、後期研修医に関して何かひと言ございますか。

【松下】 後期研修も、基本的には前期研修医と同じ方針で指導しております。しかし前期研修医と絶対的に異なる点はすでに、自分の専攻する診療科に入局していることです。したがって当科に特化したことはもちろん、入局先に関連した内容も意識して取り入れ、自分の科に戻った後も、リウマチ性疾患に関する知識が生かせるよう努力しております。

【中村】 ほかの科にすすまれても、膠原病を診たことがある医師は、診たことがない医師に比べて、万が一膠原病患者が回ってきたときでも膠原病の理解がありますから、診察しやすいでしょうね。膠原病患者はいろいろな科と関連があります。皮膚科に行っても呼吸器科に行っても、どうしても診なければいけませんので、研修は非常に大事ですよね。

【松下】 そうだと思います。何科に進もうと、リウマチ性疾患を疑う患者さんにめぐり合うと思います。その場合、すぐに専門科に依頼するのではなく、ある程度の検査とその評価ができるようになって欲しいと考えております。治療とまでは言いませんが、どこまで精査をして専門家に見せるべきか、という一線が引けるようになれば良いのではないかと思います。

【中村】 それは大事ですね。分かりました。
先ほど来、少しずつ話は出ているのですが、リウマチ専門医の特徴の、「ここがいいよ」というところをもう一度お聞かせ願えますか?

【松下】 私は現在、東京で勤務しておりますが、いままで東京以外の様々な地域で診療した経験を持っております。そこで実感したのは、東京から離れてしまうと、関節リウマチを始めとした膠原病を専門とする医師が非常に少なく、自分の専門領域が如何に必要とされているのかを身をもって感じることができました。我々のニーズが非常に高いことを改めて認識させられました。

【中村】 今、日本の中でも、リウマチ専門医、あるいは専門施設が非常に少ない地域があるということが問題になっております。
岩本先生はいかがでしょうか。

【岩本】 リウマチの手術というのは、かなり難しいものが多いと思います。自分は整形外科の中でも、さらに手の外科を専門にしているのですが、リウマチの患者さんは手が非常に変形します。先ほど少し話しましたが、整形外科では、一般的にリウマチの患者さんを診るのが難しいというか苦手と思っている先生が多く、「これは治らない、手術はなかなか難しい」と、断られることがかなり多いようです。そういう中で、患者さんが「何とかしてほしい」と求めてくださることは、非常に専門性が高くて、光栄なことだとつくづく感じます。日本の人口に対しリウマチ患者さんは1%近くおりますので、専門的な治療を求めている患者さんの数も非常に多いです。今、自分は大学病院にいるということもありますが、全国から患者さんがいらっしゃって、求めていただけることは非常に光栄だと思っています。

【中村】 一般の整形外科ですと、脊椎なら脊椎、股関節なら股関節、膝関節なら膝関節というように関節ごとの専門に分かれてしまいますが、リウマチを専門とすると全部診なければいけません。それも特徴かと思いますが、いかがでしょうか。

【岩本】 確かに、整形外科の中では非常に細分化されて、だいたい関節のパーツで分かれるところがあります。リウマチを専門とする整形外科医は皆さん、肩や肘や手から、足・膝・股関節と背骨まで全身を診ることになります。全身の関節を総合的に扱い、いろいろなことを経験できる点は、先生がおっしゃるようにメリットだと思います。

【中村】 しかも、全身性の病気、例えば、糖尿病、高血圧、肺疾患等も診なければいけないということで、将来、万が一開業しても、一般の内科系の患者さんも診ることが容易だと考えております。 リウマチ膠原病というのは、内科あるいは整形外科の中の特殊分野であり、リウマチ専門医は、内科の専門医あるいは整形外科の専門医を取得した後にとるsubspecialityとなっていますが、病院の中でのリウマチ科の位置づけはどのようになっているでしょうか?

【松下】 当院での正式な診療科名は膠原病・リウマチ内科となっており、関節リウマチのみならず、それ以外の膠原病にも力を入れて診療しております。膠原病は発熱や皮疹、全身倦怠感など非特異的な症状で発症することが多く見られます。これらの原因を検索し、診断を確定する機会が非常に多いことも当科の特徴と言えます。さらに内科の中では、関節のレントゲンを見ることが多い科で、関節リウマチに対する生物学的製剤も当科に特化した治療法であります。つまり当院における膠原病・リウマチ内科は、膠原病を専門的な立場から診療する科であることはもちろんのこと、確定診断にいたらない症例を診療する機会も多く、総合診療科に近い立場でもあります。

【中村】 最近は、超音波やMRIなど、いろいろな検査が進歩しておりますので、そのような検査を駆使して関節、骨を診ることができる科でもありますね。ある人が言っていたのですが、リウマチ膠原病科というのは、平たく言えば発熱と関節痛の科です。熱発、不明熱で入院して、病院の中のさまざまな科を回って、最終的にリウマチ膠原病科で診断がつくという症例が、よくみられますが、松下先生のところはどうでしょうか。

【松下】 当院でも同じことが言えると思います。関節痛や発熱、皮疹などの原因を精査していたら、結果的に関節リウマチを始めとした膠原病であったということは多々あります。

【中村】 そういう不明疾患の最後の砦と言っていいのでしょうかね。

【松下】 そうですね。不明熱や関節痛、筋肉痛などの原因精査を任され、結果を出せたときには、まずは良かったと思います。さらに適切な治療が行え、病状の改善が得られたら大きなやりがいを感じることができます。

【中村】 まず、全知識を総動員して診断を下す。そして、治療に持っていくという、非常にやりがいのある科ですね。
岩本先生の所はいかがでしょうか。膠原病リウマチ痛風センターということで、一般の整形外科とは分かれていますけれども。

【岩本】 われわれの整形外科は、リウマチ患者さんを診るのに特化した整形外科というかたちになっています。もちろん手術もするのですが、それと同時にリウマチ患者さんの診断をし、生物学的製剤を始めとした抗リウマチ薬をわれわれ整形外科医も使用しており、内科的治療と両方を行っています。もちろん、リウマチ患者さんがけがをしてしまった場合、そういった手術もします。1人のリウマチ患者さんを内科的に治療して、それで及ばないところは手術もしてということで、すべてできるという立場にいると思います。

【中村】 関節リウマチ患者さんの真の意味での主治医という立場でしょうか。

【岩本】 そうですね。あとは、呼吸器をはじめとした内科的合併症の多い患者さんは、やはりわれわれ整形外科には難しい場合もあります。私どものリウマチセンター最大の特徴は、内科と整形外科が、平たく言えば仲が良いと言いますか、同じ医局で、外来の診察も隣同士でやっています。なかなか大学病院では連携が難しいところもあると聞いておりますが、当リウマチセンターは非常に連携が良いので、内科の先生がリウマチ患者さんを治療して、「手術をお願いします」というやり取りが非常にスムーズだということが、われわれの考えるもっとも良いところだと思います。

【中村】 理想的な診療体系ですね。ありがとうございます。
それでは、学生、あるいは研修医に、勧誘のひと言をお願いしたいのですが。

【松下】 私は関節リウマチを内科的な立場から診療しております。近年、関節リウマチに対する治療は生物学的製剤の登場などで目覚ましい変化を遂げました。さらに2009年にはACR/EULARから新たな診断基準も提唱されております。この診断基準ではまず関節症状の評価から始まります。関節痛は内科的な疾患でも見られますし、整形外科的な疾患でも出現します。つまり内科、外科を問わず幅広い知識が要求される分野であります。現時点では、患者さんの人数に比してリウマチ診療を専門にしている医師が相対的に不足している状況だと考えます。リウマチ科を専攻すると様々なニーズに多大に貢献でき、大きな充実感を得られることと考えます。ぜひ皆様にもリウマチ医を志してもらいたいと思います。

【中村】 膠原病は、病気としては免疫もからんでいるし、症状も多彩ですし、研究という面でも極めて興味深いですよね。

【松下】 そうですね。学問的にも非常に興味深い分野だと思います。

【中村】 面白いと言ったら失礼かもしれないけど、非常に興味深いです。
岩本先生はいかがでしょうか。

【岩本】 外科系に興味があるけれど、やはり内科的なこともしたいという方には、一番ぴったりだと思います。リウマチの治療は難しく、ドラマティックに変わっています。そういった中で、内科的な治療と外科的な治療の両方ができる科であるというのが、まず一つ、われわれの一番良いところではないかと思います。
あとは、リウマチの薬物治療が良くなってきていることで、手術も、さらに興味深さが出ています。今までは、手術ではもう手に負えないぐらい変形してしまったものが、手術で機能を回復できる程度に抑えられていますので、これからさらに必要となる科だと思います。 機能回復という点から見てみますと、究極の機能回復と申しますか、歩けなかった方が本当にスタスタと歩けるようになり、そういった手術成績を見るにつけ、喜びが非常に多いです。救急外傷にとらわれないことで、ある程度の時間も作れます。患者さんには女性の患者さんが多いので、女性医師にも向いている科ではないかと思います。

【中村】 時間は、ある程度はドクターの裁量で作れるところが、リウマチ医、本人としては良いところですね。

【岩本】 あとは、研修医や学生さんだけではなく、ある程度整形外科で年数を積んだ先生にも、是非リウマチ医を志してもらえれば、より良いのではないかと思います。

【中村】 もともとのご専門のベースを生かしてということもできますね。
最近治療が進んでいる生物学的製剤について、一言お聴きしたいと思います。

【松下】 いままでは、関節リウマチは難治性であるという考えを抱いていた方が多かったと思います。しかし生物学的製剤の登場でその治療が大きく変わり、骨破壊を予防し、完全寛解に導ける可能性が出てきました。患者さんからの「本当に良くなりました」という感謝の言葉の数も、以前よりさらに多くなったと実感しております。しかし、まだまだ全員の方に有効ではなく、様々な問題点が存在することも事実であります。我々の使命は、さらに有効な治療法を見出すことだと考えております。

【中村】 生物学的製剤は分子標的治療薬の一つですが、一般の病気にこれだけ幅広く導入しているのは、今のところリウマチ膠原病科だけですね。あとは特殊な疾患だけにしか使っていません。このような未来的な治療をリードする科でもあると思います。
(岩本先生)先生のところも、やはりそういうことも。

【岩本】 新しい薬がどんどん出ていますので、勉強するわれわれも大変です。手術しても、今までは変形が進行してしまうと言われていたものが、手術プラス薬物療法のコンビネーションで、手術後の治療の成績も良くなっていくことが見込まれます。そのあたりは今後のテーマでもあり、興味深いところではないかと思います。

【中村】 わかりやすく言うと、今まで寝たきりになっていたような方が、普通の方と同じように生活できる、仕事ができる、そういう時代に入ってきたということですね。松下先生、岩本先生本日はお忙しいところ長い間ありがとうございました。


リウマチ科は内科分野からも整形外科分野でも際立ったスペシャリティーを発揮できる科です。また、最新の生物学的製剤と手術を駆使して、患者の予後も改善しております。全国で求められやりがいのある科、患者に感謝される科。そんなリウマチ科の一員になってみませんか?