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利益相反

一般社団法人日本リウマチ学会における事業活動の利益相反(COI)に関する指針

 一般社団法人日本リウマチ学会(Japan College of Rheumatology, JCR)は、昭和32年(1957年)日本リウマチ協会として発足し、リウマチ性疾患に関する基礎的、臨床的な研究を進展させ、かつ社会的要請に応えるための各種事業を展開することにより、リウマチ学の進歩普及を図り、もってわが国の学術の発展に寄与することを目的としている。会員数は9,000名を超え(平成21年3月現在)、さらに増加傾向にある。事業内容としては、学術集会の開催、学会機関誌(Modern Rheumatology)の発行、教育研修の実施、専門医等の認定、海外の関係諸学会との連携活動、そして最近では生物学的製剤のガイドラインの作成や新薬の市販後調査などがあり、学術および社会活動を幅広く行なっている。

 わが国では、科学技術創造立国を目指して1995年に科学技術基本法を制定、1996年に科学技術基本計画が策定され、国家戦略として産学の連携活動が強化されてきた。20世紀後半以降の医学・医療の進歩は目覚ましく、医学における研究対象も、個体か ら臓器、細胞、分子へと移り、さらに遺伝子異常と疾病との関連や再生医学へと展開し、これらを基に未知の病態の解明とともに、創薬への応用、そして全く新しい概念に基づく治療法、予防法の開発にも応用されている。医学研究における成果を社会、患者に適切に還元していくことは、我が国の国民が安心・安全・快適な生活を享受する上で、極めて重要であると同時に、教育・研究の活性化や経済の活性化を図る上でも大きな意義を持つ。

 日本リウマチ学会が主催する学術講演会や刊行物で発表される研究成果には、各種のリウマチ性疾患を対象とした診断・治療・予防法開発のための臨床研究や、新規の医薬品・医療機器・医療技術を用いた臨床研究が数多く含まれており、その推進には製薬企業、ベンチャー企業などとの産学連携活動(共同研究、受託研究、技術移転・指導、奨学寄附金、寄付講座など)が大きな基盤となっている。産学連携による臨床研究が盛んになればなるほど、公的な存在である大学や研究機関、学会等が特定の企業の活動に関与することになり、その結果、教育・研究・広報・指導といった学術機関としての責任と、産学連携活動に伴い生じる個人が得る利益とが衝突・相反する状態が必然的、不可避的に発生する。こうした状態が「利益相反(conflict of interest : COI)」と呼ばれるものである。特に日本リウマチ学会では一般的な臨床研究の他、新規治療薬の市販後調査や各種ガイドラインの策定などを重要な事業としているが、これらは必然的に利益相反状態を生じる可能性を孕んでいる。この利益相反状態を適切にマネージメントしていくことが、産学連携活動を適切に推進する上で乗り越えねばならない重要な課題となっている。また、他の領域の産学連携研究とは異なり、臨床研究の対象・被験者として患者、健常人などの参加が不可欠である。臨床研究に携わる者にとって、資金及び利益提供者となる企業組織、団体などとの利益相反状態が深刻になればなるほど、被験者の人権や生命の安全・安心が損なわれることが起こりうるし、研究の方法、データの解析、結果の解釈が歪められる恐れも生じる。また、適切な研究成果であるにもかかわらず、公正な評価がなされないことも起こりうる。しかし、過去の集積事例の多くは、産学連携に伴う利益相反状態そのものに問題があったのではなく、それを適切にマネージメントしていなかったことに問題があるとの指摘がなされている。

 そこで近年、国内外において、多くの医学系の施設や学術団体は臨床研究の公正・公平さの維持、学会発表での透明性、かつ社会的信頼性を保持しつつ産学連携による臨床研究の適正な推進を図るために、臨床研究にかかる利益相反指針を策定し、適切な利益相反マネージメントによって、正当な研究成果を社会へ還元する努力を重ねている。 日本リウマチ学会においても、会員等に本学会の各種事業に参画、発表等をなすにあたり、スポンサーとの経済的な関係を一定要件の基に開示させることにより、会員等の利益相反状態を適正にマネージメントし、社会に対する説明責任を果たすために本学会共通の利益相反指針を策定する。


平成22年5月13日
一般社団法人日本リウマチ学会
理事長 宮坂信之
同 利益相反マネジメント小委員会
委員長 長澤浩平